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 芸術の秋。
 10月16日水曜日。美しい音楽が聴きたくて,東京都交響楽団の第889回定期演奏会に行きました。愛知県に住む私はなかなかサントリーホールに行く機会がなかったことと,曲目のワーグナー「ジークフリート牧歌」,ブルックナーの交響曲第7番に魅かれて,聴きにいくことにしたのです。
 18日金曜日の夜にNHKホールで行われるNHK交響楽団の定期公演のチケットを持っていたので,その両日に挟まれた17日は,かねてから行きたかった東北に出かけることにしました。私が東北に行きたかった目的はふたつあって,そのひとつは奥州市水沢にある国立天文台水沢の見学,もうひとつは花巻市の宮沢賢治記念館に行くことでした。このことはまた後日書きましょう。

 奇しくもこのコンサートの日は指揮者の小泉和裕さんの70歳の誕生日ということで,お祝いムードが一杯で,コンサートの最後には花束が贈られて,カーテンコールまでありました。
 私はいつもNHK交響楽団の演奏を聴いているので,東京都交響楽団の演奏会にははじめて行きましたが,以前NHK交響楽団にいたヴィオラの店村眞積さんやコントラバス の池松宏さんがいて懐かしい気持ちになりました。

 「ジークフリート牧歌」(Siegfried-Idyll)はリヒャルト・ワーグナーが妻コジマ・ワーグナーの誕生日とクリスマスの贈り物として作られた曲です。
 1870年12月25日の朝,現在リヒャルト・ワーグナー博物館となっているスイス・ルツェルン州トリープシェンの自宅でこの曲は妻のために演奏され,事前にその存在を知らされていなかったコジマをいたく感激させたというエピソードがあります。妻のための演奏は午前7時30分からはじまりました。演奏はその日のうちに数回繰り返されたといいます。オーケストラが階段上にいたため,5歳だった長女イゾルデと3歳の次女エヴァはこの曲を「階段の音楽」と呼んで親しみました。とても温かみのある音楽で,胸がいっぱいになります。
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 その次の曲がブルックナーの交響曲第7番でした。アントン・ブルックナーの交響曲第7番は,ブルックナーが作曲した交響曲のなかで,はじめて初演が成功した交響曲として知られています。私の大好きな交響曲第4番と並び,最も人気が高い曲のひとつです。
  この曲の初演が大成功したことによってブルックナーは生きている間に交響曲作曲家としての本格的な名声を得ることができたといわれます。私は,ブルックナーの交響曲のなかでは,深刻でもなくやぼったくもなく,最も都会的な感じのするものだと思います。 ただし,評論家の宇野攻芳さんも書いているように,第7番は第4楽章の規模が小さくさりげなく,少し物足りないのが残念な曲でもあります。
 
 私は,クラシック音楽を聴き,満天の星空を見ることさえできれば満ち足りて,あとは何もいらない,といつも思うので,この日のコンサートは最高でした。特に,この音響のよいサントリーホールで秋の夜長を過ごせたことはとても満足でした。また機会があったら,ぜひまた足を運びたいものだと思いました。
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 ところで…。
 いつも日本のオーケストラを聴くと思います。都響のホームページに池松宏さんが「日本のオーケストラは楷書体で,かしこまって弾く空気があると感じています。海外とは文化の違いもありますが,少しわくわくと楽しい雰囲気で音楽をやれないかなと。」と書かれてあったのですが,まさしくそのことです。私は,昨年ウィーンでドイツ・カンマーフィルの演奏を聴いたとき、まさにそれを感じました。どうして日本のオーケストラはもっと楽しく,表情豊かに,体で表現しないんだろうかと。でも,都響はN響よりは楽しそうでした。