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 多くの学校が休校になっていますが,そもそも,小学校はともかくとして,中学校や高等学校に通う必要などあるのかなあと不登校寸前だった私はずっと思っていました。
 私自身,学校に行っても授業中は寝ているだけでした。高等学校では,歴史などは授業など聞かなくても教師の生半可な知識より詳しい本を読めばわかったし,数学は自分の力で問題を解いて解いて解きまくるだけのことで大学入試問題もできるようになりました。中学校では,5分でわかるものを50分もかけて説明していて,最後の5分だけ集中して聴けば事足りてまどろっこしいだけでした。しかも,それまで自由放任で居心地がよかったのに,もともとできる問題などやる必要もないのにそれを書いてノート提出しろなどというアホな教師が突如出現し,そんな教師を相手にするのは時間のムダでしかありませんでした。そんな「写経」をする時間があれば,自分のペースでできない問題を時間をかけて取り組むほうがずっと効率が高く,勉強になるのです。やったふりなんてまったく意味ないのです。最悪なのは体育で,速く走る方法を教えてくれたわけでもないし,生涯スポーツの楽しみ方を習ったこともない。単に球技を自分たちでやっているだけでした。
 悪名名高きブカツだって,私は高等学校ではそれまでなかった将棋部を作って全国優勝しましたが,運動部だって群れてお遊びしているだけのようなものなら学校でやる必要もないし,真剣にやりたかったら地域のスポーツチームに入って専門家の指導を受けたほうがどれだけよいか,そう思っていました。
 それはともかく,私が高等学校で受けた英語の授業はとりわけひどいものでした。クラスに来たアメリカからの留学生の英語をある教師は理解できないし,別の教師は「ほいっち・どー・よー・らいく」などと発音していて,そんな英語なら耳に毒なので聞かないほうがマシ,という状況でした。私が英語を覚えたのは,もっぱらNHKラジオ第2放送の英語講座でした。
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 学生時代もそんな不良だった私が何十年にもわたってずっと主に聴いていたのは,今は「実践ビジネス英語」というネーミングに代わったのですが,その昔は「やさしいビジネス英語」というなまえの講座でした。少しも「やさしくない」「やさしいビジネス英語」は,非常に内容が濃くて,大好きでした。現在は週3回の放送ですが,はじまったころは確か月曜日から土曜日まで週6回ありました。テキストを買って真っ黒になるまで書き込んで,何度も2倍速にして聴きました。しかし,当時の私にはかなり難しく,どれだけ聴いても知らない単語が出てくるのには参りました。英語は底なし,どれだけ勉強すればいいのだろうと思っていました。
 当時は日本ではまだ定着していなかった client などの単語も当たり前に出てきましたし,時差ボケ防止薬として Melatonin も紹介されていました。AK47という銃も出てきました。そういえばだれも指摘しませんが,AKB48はこの銃から発想された名前なのかもしれません。
 今の私はそんな情熱もなく,英語を覚える気もなく,海外旅行に行ったときに困らない英語力さえあればいいと思っているので,上達する意欲のかけらもないのですが,それでも,毎週,「NHKゴガク」のアプリを使って,気の向いたときにテキストも買わずに聴き続けています。当時はあれだけ難しいと思っていたこの番組がテキストを見なくても理解できるのが,自分でも不思議であり驚きです。
 
 さて,自宅籠城をしていると暇なので,少しはまじめに聴いてみるかと久しぶりにテキストを買ってみました。とはいえ,本屋さんに行くのも面倒なのでネットで電子ブックを買いました。私が力を入れて聴いている「まいにちドイツ語」講座のほうはは紙媒体でないと書き込めないので困るのですが,英語なら別にメモをとる必要もないので,あとで処分に困らない電子ブックにしたのです。
 それを読んでいて,この講座のテキストの末尾に,和文英訳問題が連載されていたのを思い出しました。これはテキストの付録にしては質が高いすばらしいもので,下手な学校の授業など受けるよりもずっと力がつきました。その連載が今も続いていたのです。これを読むだけでもテキストを買う価値があるというものです。
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 さて,今日の話題は,この和文英訳をAIにやらせてみようということなのです。
 AIの発達で,将棋ソフトの実力がプロの棋士の実力を越したのが評判となったのももうずいぶん前のことですが,それを逆手にとって,今は,将棋ソフトの評価値を使って,プロの対局が楽しめるようになってきました。有効利用ができるようになったわけです。
 今回は,それを和文英訳でやってみようという私の企みです。
 でははじめます。テキスト5月号から文章を引用してみます。

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【問題】
 16世紀のデンマークの天文学者ティコ・ブラーエは,史上最高の眼視による天文観測家とたたえられている人物で,あのケプラーの先生にあたる大天文学者としても有名ですが,たいへんな激情家でもあったと伝えられています。
【人間の訳した最優秀解答例】
     The 16th-century Danish astronomer Tycho Brahe, who is praised as the best naked-eye astronomical observer in history, is famous as Johannes Kepler's mentor, but he is also said to have been a man of hot blood, too.
【Google翻訳】
     The 16th-century Danish astronomer Tycho Brahe, who is praised as the highest visual astronomical observer in history, is well known as a great astronomer who was the teacher of Kepler, but he was also a very passionate person. It has been told.
【Weblio翻訳】
     It is famous for the astronomy observations to stop at and person full of as a large astronomer equal to the teacher of that Kepler, but Danish astronomer Tycho Brahe of the 16th century is informed it to look at the best eyes in history when it was the serious passions.
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 いかがでしょうか? ずいぶん楽しめますが,AIもまだまだという気もします。しかし,機械翻訳させて,それを利用して間違いを直しきれいな英語にする力さえあれば(それができるにはかなり英語力が必要なのですが),和文英訳は事足りる時代のようです。
 ところで,先日,「カキツバタ」を機械翻訳させて驚きました。「カキツバタ」は英語では「rabbitear iris」とか「iris laevigata」とかいうようです。それを何と「oyster fly」と訳すのです。「カキ=oyster」らしいのですが,こんなもの「もしもし=if if」と訳すようなものです。そこで「oyster fly」を訳させると今度は「カキフライ」となります。次に「カキフライ」訳させると「deep fried oysters」です。どうやらAIは混乱と迷走を繰り返しているようです。修行が足りません。
 しかし,私が仰天した,さらに驚いたことは,yahoo質問箱に「カキツバタを英語でどういうのですか?」という質問があって,その答えにこの「oyster fly」が登場していたのです。こんな答えを投稿した人はかなりのアホですが,ネットの情報なんて,そんなものかもしれません。これこそが「世間」であり「世論」なのでしょう。
 自宅籠城をしていると,いろいろなことがわかって愉快です。

IMG_0532 (3)カキフライ