DSC_1659s (5)cz DSC_1659s (6)n

☆☆☆☆☆☆
 地上のことはさておき,空の上ではおもしろい出来事が連日あって,この春は忙しい毎日です。月というものがなくいつも天気がよければ予定も立つというものですが,月明かりと雲が予定を阻害します。しかし,それもまたよしと思える歳になってきました。
  ・・
 さて,この春の見ものは,第一にアトラス彗星(C/2019Y4 ATRAS)でしたが,あえなく分裂して,期待に反して明るくならず,でした。そうこうするうちに,南半球ではスワン彗星(C/2020F4 SWAN)が明るく見えているという情報が伝わって,南半球なんて関係ないや,と思っていたら,彗星が太陽に近づいてくるにつれて日本でも地平線すれすれに見ることができるようになったのには,うれしいというより参りました。このことはすでに書きました。

 これらのことはパプニングとして,私がずっと楽しみにしていたのは,パンスターズ彗星(C/2017Y4 PanSTARRS)がおおくま座にある銀河M81,M82,NGC3077に大接近するということと,月齢2の月が金星と水星に接近するというふたつの出来事でした。
  ・・
 彗星は銀河M81,M82,NGC3077に接近したあとは次第に遠ざかるのですが,最も近づくのが5月23日で,その前後数日は同じ画角の写真の視野に入ります。また,条件最悪のスワン彗星とは違って,この時期は新月の前後なので条件もよく,また,彗星の位置も北極星に近いので,一晩中見ることができます。
 しかし,このごろはすでに梅雨空のようになってしまい,3月から4月にかけて毎日晴れ渡っていたのがなつかしく感じるようになりました。5月23日もまた,さえない天気でしたが,予報では明日以降も晴れそうになかったので,ダメもとで,曇ってしまったときは深夜のドライブを楽しむつもりで出かけました。
 現地に着いたとき,なんとか北極星とおおくま座が見える程度で空のほとんどは曇っていてがっかりしました。おおくま座のM81とM82はとてもわかりずらいところにあるので,晴れていても視野に入れるのが大変なのに曇り空では打つ手もなく,しかも,この日はおおくま座は天頂に近く望遠鏡を覗くのもまた大変でした。苦労のあげく,なんとかふたつの銀河M81とM82の近くにあるおおくま座24番星(4.5等星)をファインダーに入れることができたので,やっと場所が特定できました。
 おそるおそる写してみたのですが,はっきりと銀河と彗星が写っていました。それにしても,こんな曇り空でも8等星の彗星が写るのが驚きです。
  ・・
 こうして,私は,前回のスワン彗星に続いて,今回もなんとか写真に収めることができて,すっかり満足しました。

☆ミミミ
その翌日5月24日は,月と金星と水星の接近でした。
私が上に書いた彗星を写した23日は金星が午後8時ころには思っていたより高い位置に簡単に見つけることができたので,次の日も晴れていれば期待できそうかな,と思ったのですが,当日は雲があって絶望的でした。しかし,前日に金星の位置を確かめることができたのが幸いしたことと,幸運にも雲が切れて,沈む寸前に美しい姿を写すことができました。
これもまたツキにめぐまれました。
DSC_5431 (3)x