DSC_1072DSC_1063DSC_1064DSC_1066DSC_1079DSC_1086

●安価なホテルに期待するものは…●
☆6日目 5月14日(木)
 この旅で,私は,カンザスシティを出発してから「W」字のようにドライブして,ついに,セントルイスまで戻ってきた。あとはインターステイツ70を直線に西に走れば,カンザスシティまで戻ることができる。ミズーリ州は,その東の州境にセントルイスがあり,西の州境にカンザスシティがある。その間の距離は,250マイル(400キロメートル),4時間のドライブである。
 私は,セントルイスには,2002年に来たことがある。その時は,ブッシュスタジアムで,ロサンゼルス・ドジャースに所属していた野茂英雄投手を見た。当時はセントルイスという町も,まだ再開発中で,ブッシュスタジアムも今のものとは違っていたし,空港に降りたときに,ずいぶん田舎に来てしまった,という印象を持った。
 そしてまた,ミシシッピ川を越えた東側のイーストセントルイスには治安が悪いから近寄るなと,当時の「地球の歩き方」に書かれてあったのを今でも覚えている。

 私は,カンザスシティが,実は,その市街地のほとんどがカンザス州ではなくミズーリ州だということは強く認識していたのだが,イーストセントルイスが,ミズーリ州ではなくイリノイ州だということは,恥ずかしい話だが,これを書いている今になって,やっと認識した。
 私には「イリノイ州=シカゴ」であり,シカゴとセントルイスがどうして結びつかない。
 私の宿泊していたホテルは,そのイーストセントルイスの,さらに東の郊外であった。
 私は,危険だといわれているイーストセントルイスがどのあたりを指しているのかよく分からなかったが,ホテルを予約した時に,さすがに,ここまで東に離れていれば,その,危険なイーストセントルイスではないだろうと思っていた。

 ホテルは,今日の写真のようなモーテルであった。
 例のごとく,きわめて安価なホテルであったから,入口にフロントがあって,部屋は外から入る形式で部屋の中はかび臭いものであった。
 安価なホテルの朝食は,たとえそれがついていると書かれてあっても,期待をしてはいけない。
 このホテルもまた,単に菓子パンとコーヒーがあるだけだった。
 以前書いたことがあるが,ホテルは,1ルーム10,000円を下ると,こうした様になるのだが,私は,こんな朝食なら,むしろ,そういうサービスすら不要で,朝食は近くのマクドナルドで済ませればいいと思っている。
 朝,そんな朝食を済ませてチェックアウトをするためにフロントへ行ってみると,1組の夫婦がくつろいでいた。
 私は,何事か話をしたのだが,内容は全く覚えていない。

 私は慣れっこになっているので,当たり前のように思っているのだが,考えてみると,ほとんどの日本の人は,こういう旅行なんて無縁だろう。だから,ふとその気になって,ドライブに出て自然豊かなところに行ってその地で宿泊しようと考えても,ひなびた旅館はあったとしても,気楽にふらっと車を停めて1泊できるようなそんなところがない。
 こういうモーテルが日本にあってもいいと考えたオーナーが「旅籠屋」というチェーンを作ったが,それほど多くあるわけでないのが,残念である。
 それに,小さなキャンピングカーを買って,道の駅などで宿泊しているのを見ることもあるが,設備が整っているとは言い難い。その点,アメリカはとても便利なのである。

 私はホテルをチェックアウトして,そのままインターステイツ64で西に,セントルイスを目指して走って行った。ミシシッピ川を越える鉄橋が見えて,その向こうには,懐かしいセントルイスの摩天楼とゲートウェイアーチがかすんで見えてきた。
 ミシシッピ川を渡る橋に差し掛かった時,左右にすさんだ街並みが見えた。これが噂のイーストセントルイスなのであろう。
 私は,メンフィスへ行ったときに西から東に越えたミシシッピ川を,今度は東から西に渡った。今日の写真も,また,道路のセンターに引かれたイエローラインに注目していただきたい。