しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

カテゴリ:「知る」 > 社会を知る

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 NHKBSで放送がはじまった「舟を編む〜私,辞書つくります〜」がおもしろいです。
 あらすじは
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 元読者モデルで出版社編集部員の岸辺みどり。担当していたファッション誌の廃刊が決まり,突然辞書編集部への異動を言い渡されてしまう。みどりを待ち受けていたのは,超まじめな上司・馬締光也をはじめとする,クセの強いメンバーたち。
 彼らは一冊の辞書「大渡海」編さんのために,並々ならぬ情熱と十数年にわたる歳月をかけていた。
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というものです。
 「舟を編む」は三浦しをんさんの原作で,2011年に単行本が発売されました。そして,その2年後に映画化もされて,私は,当時,原作も読んだし,映画もみました。
 原作とそれに基づく映画は
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 「玄武書房」の社員たちが,「大渡海」という広辞苑レベルの中型事典の編纂にかけた10年以上もの作業と,その間に起こった人間模様を描く。
 大学院で言語学を学んだがコミュニケーション能力ゼロの若手社員馬締光也が,辞書作りを通して,コミュニケーションの大切さを知り,体現していく。
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というもので
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 時は1995年。「玄武書房」の辞書編集部では,編集者の荒木が,定年と妻の病気を理由に部署を去ろうとしていた。荒木に代わる編集者として見つけたのが,大学院で言語学を学んだオタク風のコミュニケーション力など皆無の馬締。馬締に「右という言葉を説明してみろ」と言うと、ぼそぼそと「西を向いたとき北に当たる方」と答える。彼の言語感覚に感心して,馬締を辞書編集部に引き抜く。
 それから13年後,ファッション誌の編集部にいた岸辺みどりという若い編集者も加わり,翌年の3月に決定した「大渡海」の出版は,最後の確認作業に学生アルバイトもたくさん雇ってごった返していた。
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 という内容だったので,今回のドラマは,主人公を岸辺みどりとして,原作からちょうど13年後の姿を描こうとしているのかもしれません。

 はじまったばかりなので,ドラマがどのように進展していくかは知りませんが,第1回の放送で私が興味をもったのが,「なんて」という言葉でした。ドラマでは,岸辺みどりが「なんて」の意味を悟る場面で三省堂の「大辞林」の解説が効果的に使われていました。
 私は,手元にあった三省堂の「新明確国語辞典」と,もっとも信頼している岩波書店の「国語辞典」を引いてみたのですが,何も書いていない,というほど,内容に乏しいもので,がっかりしました。
 これでは埒が明かないので「ChatGPT」に聞いてみましたが,これがすばらしいものでした。そこで,さらに,「ChatGPT」にいくつかの文章を英訳してもらうことにしました。これもまた,すばらしいものでした。もう辞書「なんて」いらないなあ,と思いました。
  ・・
 実は,私は,これまで,「新解さんの謎」をきっかけとして,国語辞典にはかなり興味をもっていて,こだわりもあったのですが,この13年という月日は,それを変えてしまったようです。つまり,辞書「なんて」引かなくても「ChatGPT」に聞いたほうが早く,かつ,おもしろいのです。

 今の時代,スマートフォンの普及で,一時,一眼レフカメラの存続が危ぶまれました。今は,それぞれの役割分担が次第にわかってきて,何とか共存をしているようです。また,将棋AIが開発されたことで,将棋界は,はじめは不正疑惑などもあって迷走をしていたのですが,藤井聡太という新星が現れたこととと相まって,それをうまく活用することで,あらたな顧客を生み,今のところ,とりあえずは共存に成功しています。
 また,昔は,どの家庭にも百科事典というものが存在していましたが,今や,死滅してしまいました。辞書はそれとは若干異なるものでしょうが,それでも,多くの人にとっては,辞書もまた,同じでしょう。
 辞書の在り方を真剣に考えないと,今後は,百科事典と同じく,死滅の道をたどることになるのかもしれません。私は,そのことの方に興味があります。

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Happy New Year 2024.
◇◇◇

 2024年になりました。今年はどんな1年になるでしょうか。
 1年前の今日,「おわりのはじまり」と書きました。
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 テレビもほとんど見なくなったし,新聞や雑誌の類も,恥ずかしいような内容ばかりなので,読む気にならなくなりました。
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 そうした生活にすっかりなじんできたので,かなり世情には疎くなったのですが,それで,何の問題もなかったし,精神的にも健全になりました。現役でない私には,自分に関わりのない情報や自分にはどうしようもできない情報を知ったところで,それは不安になるだけのことで,意味がないのです。そこで,余生は,わずらわしいことは現役世代に任せて,悠々自適,好きなことだけを楽しむのです。
 現代はSNSの時代ですが,SNSとつき合うにもコツが要ります。
 TwitterがXというなじまぬ名前に変わったのですが,それはともかくとして,Xは「おすすめ」は無視して,「フォロー中」だけを見るのがコツです。こうすれば,不快なものを見ることがなくなります。YouTubeもまた,「ホーム」は無視して「登録チャンネル」だけを見ればいいのです。そしてまた,コメントには無礼なものも少なくないので,これもまた,見ないに限ります。いずれにせよ,長年つき合ってきたおかげで,自分にふさわしいものだけがフォローされたり登録されたりしているおかげです。
 それにしても,YouTubeには「外国に比べて日本はすばらしい」という番組がやたらと目につくのですが,そんなことはないですよ。どの国にも,いいところもあれば悪いところもあります。本当にこの国を愛するのなら,自画自賛して,他国を批判して浮かれているよりも,冷静に現状を捉えて,もっとよくしようと考えた方がいいと,私は思います。

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 今もっともやりたいことは,人の少ないどこかに出かけて,時間を忘れ,ゆったりと過ごすことです。今年は,まず,水戸へ行って梅が見たい,そして,佐渡島で飛んでいるトキを見たい,と思って,計画を立て,予約をしました。
 海外は,私がまた行きたいと思うのは,オーストリアとニュージーランドだということが確信できるようになりました。オーストリアでは鉄道で旅したい,そして,ニュージーランドでは車で走りたいのです。
 次に,良質のクラシック音楽をコンサート会場でたくさん聴きたい,ということです。クラシック音楽はとてもこころが休まります。
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と昨年書いたことは,今年も変わりません。
 水戸へ行って梅が見たい,佐渡島で飛んでいるトキが見たい,は実現しました。それに伴って,さらに,行きたいところがどんどんと湧き出てきたのは,うれしい誤算でした。そこで,その後,ずいぶんと多くの場所に行くことができました。日本国内には知らないところがたくさんありました。
 ただし,昨年は海外に行くことはできませんでした。それは,まとまった時間がなかったからです。2023年は,頼まれ仕事をすべて引き受けたことで,ちょっと働き過ぎました。そこで,2024年は,もっと自由な時間を増やして,海外旅行しまくるぞ! と思っています。
 多くのコンサートには行くことができました。2024年で引退する井上道義さんが指揮する演奏会に足繁く通うようになったことで,NHK交響楽団の定期公演に加えて,読売日本交響楽団や東京都交響楽団も聴くことができました。そしてまた,何と,「弓よりも刀が似合う」という石田泰尚さん率いる石田組のコンサートの追っかけもはじめてしまいました。
 コンサートは,そのどれもが上質ですばらしいものでした。2024年も,引きつづき,というより,さらにエスカレートしそうです。もうすでに,多くのチケットを購入してあります。
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 そして,最後に,もっと星を見たい,そして,宇宙に溶け込みたい,ということです。だれもいない深夜に宇宙と会話をするのはすばらしいことです。
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 これもまた,働き過ぎたのが原因で,2023年はほとんど宇宙と会話ができませんでした。これが2023年で最もよくないことでした。今は,再始動に向けて準備中です。

 2023年に悟ったのは,私のような年寄りは時間に追われて生活をしてはいけない,ということでした。仕事であれば,しないと他人が困りますから,たとえ気が乗らないことがあってもすることになります。しかし,仕事から離れて,自分の意思で好きなことをするのは,しなくても他人が困ることはないので,しなくても他人が困ることはないことをするのは,結構たいへんなのです。おっくうになって,しなくてもいいや,と思ってしまうのです。だから,「しなくても困らないこと」をするのは気力がいるのです。その気力こそが,若さの源となるのです。2023年の猛暑にやられてへばってしまった私は,やっとそんなことがわかりました。
 だから,「しなくても困らないこと」をいかに楽しく行うかが,2024年を過ごすためにもっとも大切なことなのです。


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 お金が無尽蔵にあるような「本物の富裕層」はともかく,私のような「インチキ富裕層」は,浪費をすればたちどころに貯えは底をついてしまいます。そこで考えるのは「コストパフォーマンス」です。
 男の道楽というのは限がありません。趣味として,単に鳥を撮るという楽しみのために,百万円以上もするような望遠レンズを買ったりする人もいれば,百万円の10倍もするような高級車を購入したりする人もいるわけです。
 人それぞれ楽しみが異なるので,その人が納得の上で浪費をすることは自由であって,他人がとやかくいうこともないのですが,私のように,やりたいことが次から次へと湯水のように出てくると,真剣に「コストパフォーマンス」を考慮する必要が出てきます。「コストパフォーマンス」というのは,百万円の望遠レンズを買うのと,そのお金で10回旅行をするのと,どちらが自分には快適なのか,というようなことです。

 実は,この3年間,私は「あること」のために,使う上限を決めた上で無駄遣いをしました。その目的は,そうした無駄遣いをすることで,自分の金銭感覚を確かめてみたかったということですが,その結果,いろいろなことを悟りました。だから,結果的にそれは駄遣いにはならかなったわけです。また,そうしたことによって,自分なりの「コストパフォーマンス」がわかるようになってきました。
 自分なりの「コストパフォーマンス」は,たとえば,旅に出たとき,何にお金を使うか,ということです。
 旅というのは,家を出てから戻るまでがすべて快適でなくてはいけない,と私としては思うわけです。だから,お金を節約して,混雑する車内で不快感を味わいながら何時間も移動する,などということは,なるべく避けたいのです。また,その反対に,高級旅館に泊まって大広間でバイキング形式の朝食をとる,などというのも,いくら食材が高級であっても,私には楽しくはないのです。
 そこで,私は,往復の列車はグリーン車を利用し空いた車内で快適に過ごしつつも,泊るのは,安価であっても,小さな旅館,できれば,お客さんが私ひとり,どいうほうが好ましいのです。だから,そのようなお金の使い方をするわけです。

 このように,ひとそれぞれ価値感や趣向が異なり,それに基づいてお金の使い方が異なるわけだから,何をもって贅沢か,というのは,一概にはいえないことになります。
 それよりも,最も大切なのは,どうお金を使うことが自分にふさわしいか,ということを知っているかどうか,ということなのでしょう。よく,無駄遣いをしないように,といわれますが,小さいころより,無駄遣いをしないように,というよりも,自分としてのお金の使い方を知ることのほうが大切に思います。


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 津軽といって思い出すのは,ストーブ列車で,よくテレビの旅番組で出てきます。一面の雪原を列車が走り,車内にはストーブがあって,スルメを焼いているのです。それを見て,私は,乗ってみたいと思ったり,こんな寒いところは御免だと思ったり,あるいは,おそらく日本のことだから,ものすごい団体ツアー客でごった返しているのだろう,と思ったりと,複雑な気持ちになるのです。
 ともかく,そんなイメージしかなくて,具体的にそれがどこをどう走っているのか,私はさっぱり知りませんでした。そもそも津軽鉄道というのだから津軽半島に違いなのですが,私は大いに誤解をしていて,岩木山あたりの大平原を想像していました。そして,そんなだだっ広いところをどうやって旅するのだろう? などとと思っていたわけです。情けない話です。

 今年2023年の春に青森県に行ってみると,そんなわけがなく,岩木山あたりなんて大平原どころか山岳地帯だから,冬になっても大雪原なんかになるわけもなく,実際は,五所川原市から北に延びる平野のことだったのです。これなら簡単に旅できるわい,と思いました。ただし,極寒の地。真冬に旅ができるかといえば,正直,よくわかりません。青森市まで行ってしまえばあとはどうにでもなる気がしないでもないのですが…。
 それにしても,私はこれまで,氷点下30度の冬のフィンランドへオーロラを見にいったり,真冬の北海道・大雪山へスキーに行ったりしているのに,どうしてこうも青森県の冬に怖気づいているのでしょう? こんなの,行ってしまえば何とかなる… ような気がしないでもありません。思い切って,来年の2月にでもいってみようか,などと,考えたりもしていました。

 さて,そんな津軽半島ですが,何かがある,といえばあるし,何もない,といえば何もないわけで,果たして津軽鉄道に乗って終点の津軽中里までいったところで,その先,龍飛岬までどうやって行くの? とも思うし,未だ??? という感じがしていました。
 本当に,日本の旅というのは,行ってみない限り,読めません。
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 「小泊行きのバスは,一日に一回とか聞いてゐましたけど,」とけいちやんは立つて,台所に貼りつけられてある時間表を調べ,「あしたの一番の汽車でここをお立ちにならないと,中里からのバスに間に合ひませんよ。大事な日に,朝寝坊をなさらないやうに。」ご自分の大事な日をまるで忘れてゐるみたいであつた。
 一番の八時の汽車で五所川原を立つて,津軽鉄道を北上し,金木を素通りして,津軽鉄道の終点の中里に九時に着いて,それから小泊行きのバスに乗つて約二時間。あすのお昼頃までには小泊へ着けるといふ見込みがついた。日が暮れて,けいちやんがやつとお家へ帰つたのと入違ひに,先生(お医者さんの養子を,私たちは昔から固有名詞みたいに,さう呼んでゐた)が病院を引上げて来られ,それからお酒を飲んで,私は何だかたわいない話ばかりして夜を更かした。
    太宰治「津軽」
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 太宰治,いいなあ。

キャプチャ 津軽


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 一度行ってとても気に入った山形県ですが,あれ以来,まだリピートできていません。ほかにも行っていないところがたくさんあって,後回しになってしまっているからです。
 前回行ったとき,酒田市あたりまで足をのばすことができなかったので,次は行ってみたいと思っていました。また,出羽三山のうち,行くことができたのは羽黒山だけだったので,今度は雪のない時期に月山と湯殿山にも行きたいと思い続けているうちに,再び冬になってしまいました。
 私は,アメリカ50州に劣らず,日本のすべての都道府県にも一応は行ったのですが,その中で,もっとも印象の薄いのが秋田県です。秋田県は,田沢湖と角館しか行ったことがありません。山形県や青森県にもあまりなじみがなかったころ,行ったところで何があるの? と思っていたのと同様に,秋田県でも,きっと,今は,何があるの? と思っていても,何か惹かれるところがあるのだと思います。しかし,県営名古屋空港からは秋田空港までの直行便がありません。ではどうするか? と考えてみました。

 調べてみたら,FDAで「おいしい山形空港」まで行けば,秋田市まで,車でわずか2時間40分程度ではないですか。こりゃいいや,と思いました。これなら,再び行きたいと思っていた山形県も,これまで印象の薄かった秋田県も,ともに観光することができるではないですか。
 そんなわけで,秋田県に行くには,このコースがいいという結論になったわけです。
  ・・
 まず,山形県ですが,前回行くまでは全くの無知で,行きたかったのは天童市だけだった,というありさまだったのですが,実際は魅力がいっぱいで,ずいぶんいろいろなところに行くことができました。また,山形県には多くの有名な温泉があることを知らず,中でも,もっとも人気がある銀山温泉すら私の眼中にはありませんでした。また,上山市にある斎藤茂吉記念館は,前回行ったときはちょうど閉館日だったので,今度こそは行ってみたいのです。
 秋田県は,なぜか名前だけがずっと気になっているのが由利本庄市です。よくテレビ番組の「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」で出て来る地名だから,というだけの理由です。さらに調べてみると,秋田県の観光地は,すでに行ったことがある田沢湖と角館くらいのもので,特にほかにみつからないのです。しいていえば,乳頭温泉,男鹿半島などかな。いや,きっと行けば,もっとあるはずです。

 ということだったのですが,実は実は,このことについて,私自身にも意外と思える展開がまっているのです。そのことは,いずれまた。

秋田


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 ある日友人が,五島列島へ行ってきたというので,このところ,離島に行くことがマイブームとなってきた私は関心をもちました。それまで,五島列島は,興味がなかったし,よく知りませんでした。それに,遠いし,ずいぶんたくさんの島々があるようなので,どこをどのように観光するのか,皆目見当がつきませんでした。
 すでに書いた尾瀬,黒部渓谷同様に,本の助けがないと,まったく把握ができないので,普段は本には頼らないのですが,今回は特別に「地球の歩き方JAPAN・島旅」の「五島列島」編を購入しました。そして,読んでいたら,次第に興味が湧いてきました。1年中,いつ行っても楽しい,というのも魅力でした。なかなか冬に行くことができるところがないのです。
 とてもよさそうで,こりゃハワイより楽しいかも,と思うようになってきました。

 五島列島へのアクセスは,飛行機でも行くことができるようですが,調べてみると,運賃が異常に高いのです。そこで,船,ということになるのですが,船は,長崎港や佐世保港,さらには,博多港から出ているようです。その中で,博多港からフェリーで行くには,かなり時間がかかるのですが,夜乗って,個室で寝ていれば着く,と書いてあったので,これがよさそうと,このルートに惹かれました。
 ということで,博多港から行くには,先日,壱岐島と柳川市へ行ったときのように,まず,県営名古屋空港から福岡空港までFDAで行ってから博多港へ出て,フェリーに乗る,という方法をとるのがいいと思いました。
 現地に着いたら,たっぷり時間をとって,最も南の福江島から北に向かって,船を使って,いくつかの島を順に観光する,というのが楽しそうです。そして,帰りは,もっとも北の宇久島から,博多港へ行くか,それとも,佐世保港や長崎港へ行って,そこで観光をする,という方法があります。あとは,日程次第です。

 狭い日本とはいえ,まだまだ,いろいろな場所があるものです。
 それにしても,離島へ行くのは,どの島もけっこう面倒であり,工夫が必要です。それを調べるのが楽しいともいえますが。

五藤列島


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 歳をとると,日々健やかに憂いなく過ごしたいものです。その秘訣は,自分に要らない情報は一切耳に入れない,ということです。情報といっても,その多くは,というか,ほとんどは,人々を不安にして,その結果,モノを買わせるためにある,ということが目的であるといっても過言ではありません。
 ということで,これまで何度も書いているように,私は,新聞は購読をやめたし,テレビのニュースも見ません。たとえば,ミサイルが降ってこようと,そんなことは,自分に何かできるわけではないのです。また,芸能人が何かしようと,関係のないことです。知る必要がある情報は,台風が来るとか地震が起きた,ということくらいのものです。

 そんな生活を続けていると,自分に必要な情報は何か,そして,それを不快なく手に入れるにはどうすればいいかという方法もわかってくるものです。その結果,私は,ニュース以外にもほとんどテレビを見なくなってしまいました。それでも,巷に出ると,病院の待合室などではテレビ放送がずっとついているころがあって迷惑します。そこで,見る気がなくても目に入ってくることがあるのですが,民放では,相変らず,無教養で不勉強なお笑いタレントが,単に受けを狙ってしゃべくっているだけなので,私には不快なものでしかありません。将棋で次の手を「指す」ではなく「打つ」と言ったり,ひどいものです。
 今も私が自分の意思で見る番組といえば,気に入ったシリーズだけ見るNHKの朝の連続テレビ小説と大河ドラマ,そして,クラシック音楽に旅番組とサイエンス番組くらいのものです。しかし,クラシック音楽は,実際にコンサートホールに行かないときは,テレビの映像で見るよりも,音としてラジオから聴くほうがはるかにいいことがわかりました。そこで,次第に,そのほとんどはNHKFM放送を聴くだけになりました。旅番組も,その多くは,すでに何度も取り上げられたものだし,私は,観光地というところにはあまり関心がないので,今見ているのは,火野正平さんが自転で走る「にっぽん縦断こころ旅」くらいのものとなりました。また,サイエンス番組は,その多くは内容に乏しく,知っていることばかりなので,唯一「コズミックフロント」を長年見ていたのですが,この番組は11月末で終了だそうです。

 そんな私なのですが,11月末で,NHKBSPがなくなってしまうのだそうです。そして,NHKは4K放送に力点を移すことにするそうです。しかし,今でもテレビをほとんど見ないのに,4K放送なんて,私にはまったく興味がありません。どんな鮮明な画像といったところで,見たい番組すらないのだから,必要がありません。そのようなわけで,一体全体,何を騒いでいるのか,まったく理解ができないわけです。
 それよりも,NHKはやたらとチャンネルばかりたくさんあっても,臨時ニュースでも入ると,すべてのチャンネルで同じ番組に切り替わってしまいます。どうしてそうするのか,その意味すらわかりません。BSしか写らず総合テレビが見られない,とか,総合テレビは見えてもEテレが見られない,なんていうことがあるのでしょうか? また,スポーツ中継の途中,1時間ごとにニュースを挟んだり,こんなバカげたことに高額な受信料を払いたくないと思っています。もっとチャンネルごとに差別化して,総合テレビは報道番組だけにして,Eテレは教養番組,BSは音楽番組やドラマ,といったようにわけたほうがずっといいのに,と私は思います。そして,見たい番組だけ,あるいは,見たいチャンネルだけに課金すればいい。

 また,このごろは,NHKはテレビ画面にやたらとQRコードやら,意味のない字幕を画面に出しているのですが,あれもまた,不快なだけのものです。そんなものはまったく無意味です。というか,画面に余分なものをつけではいけません。実際にはないはずの,MLBでストライクゾーンが表示されたり,NFLでフィールドラインが表示されたりする,アメリカの悪しきテレビ中継をまねる必要などないのです。オプションでならともかく,真実を伝えるのが使命のテレビが,真実以外のものを消す方法もなく表示していはいかんのです。話はずれますが,先日,ある新聞に花火の写真が載っているとネット上で知りました。その写真は,いくつかの花火を合成した美しいものでした。しかし,真実を報道することが使命である新聞が,写真を画像処理なんてしちゃいかんだろう,と私は思いました。報道写真は芸術写真ではないのです。
 4Kだろうと8Kだろうと,百歩譲って,受信料と無関係ならば,好きにやってもらってかまいませんが,私が払ったお金でやるのなら御免です。そんなことよりも,新聞社の報道写真に限らず,NHKもまた,本質的に,テレビ画面の在り方というものについて,改めて勉強し直すことのほうが優先だろう,と私は思います。

無題


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 これまで行ったことがなかった,または,どこにあるのかを知らなかった,というところについて書いてきたのですが,どこにあるのかは知っていても,どうやっていくのか? がよくわからないところもまた,少なくありません。
 私は冒険家でもないし,めんどうなことは嫌いなので,小笠原諸島? 船で24時間? と聞くだけで行く気がなくなるので,小笠原諸島は,はじめから候補にもなりません。また,東シナ海にも,ものすごくたくさんの島々があるのですが,どうやって行くのか? と,離島に凝りはじめた私が絶望感に襲われる場所も少なくありません。おそらく,最も困難なのは,吐噶喇列島でしょう。これもまた,小笠原諸島同様に,船で延々と行くしか方法がないようですし,それがまあ,とても大変そうなのです。
 昨年末に,よく知らないまま石垣島へ行ってみて,後で地図を見て,こんなに遠かったんだ,と驚く有様ですが,まだ,沖縄本島には行ったことがないし,奄美大島も屋久島も知りません。しかし,あまり行きたいとも思わないです。性に合わないというか,なんというか…。
 しかし,そんな中で,長年ずっと気になっているのが,種子島なのです。それはおそらく,鉄砲伝来,という史実と,ロケットの打ち上げ基地,ということから来るものなのでしょう。
 そこで,調べてみました。

 種子島は,飛行機で行くこともできるようです。種子島に限らず,離島の多くは飛行機も飛んでいるのですが,どこも料金が高く,乗りたいと思いません。しかし,飛行機を利用せずとも,これまで行った佐渡島や壱岐島と同じように,鹿児島港から高速船に乗れば,容易に行くことができそうです。
 さて,ここで問題のは,鹿児島港までどうやっていくか,ということです。
 以前書いたことがあるのですが,格安航空はさまざまで,私には,安ければいい,というものではないのです。県営名古屋空港を利用しているFDA が鹿児島空港まで飛んでいればまだしも,それ以外の航空会社で鹿児島空港まで飛んでるものは,すべてセントレア・中部国際空港なので,そこまで行くのが,面倒です。さらに,これは有名な話ですが,鹿児島空港は鹿児島市内から非常に遠く,鹿児島空港から鹿児島港までがたいへんなのです。
 そこで考えたのは,FDAで熊本空港までFDAで行って,そこでレンタカーを借りて,南九州の旅行を兼ねて,そのついでに1日種子島に行く,というのがよいように思えてきました。実現するのがいつのことになるかわかりませんが。

種子島


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 三浦半島,東は横浜市,西は鎌倉市までしか行ったことがなかったわけですが,先日,横須賀市へ行き,その次に浦和市までいったことで,次第に,どんなところかわかってきました。思ったよりも東京から近いところでしたが,横須賀市から先の意外な素朴さがすてきでした。
 結局,JRを利用するよりも品川駅から京急電鉄を利用するほうが簡単だと知ったのですが,その終点が三崎口駅で,三崎口駅から,多くの観光地があることを知ったので,そのうちにぜひ行ってみようと思いはじめました。

 調べてみると,三崎口駅にレンタサイクルがあって,これを利用すれば,気軽に様々なところを移動できるようです。それにしても,私が知っていたのは,城ヶ島という離島の名前だけでした。また,意外なことに,先日出かけた柳川市で訪れた北原白秋がこの城ヶ島とゆかりがあるというのもまた,偶然というか,興味深いというか。
 いずれにしても,東京近郊に住んでいる人以外は,三浦半島といっても,なぜか,鎌倉市しかなじみがないのです。鎌倉市以外に行ったことがあるという人も,私のまわりにはいません。また,テレビの旅番組でとりあげられることもほとんどないのが不思議な話です。なぜなのだろう?

 司馬遼太郎さんの書いた「街道を行く」にも,三浦半島記があります。
  ・・・・・・
 司馬遼太郎の旅の拠点は,三浦半島の付け根部分にあたる横浜・磯子のホテル。ここから〈毎日勤め人のように〉半島に通い,鎌倉幕府出現の背景を考える。
 司馬さんは,源頼朝の挙兵成功の理由を,三浦,房総,伊豆の3半島の連動にあったと思い至る。それぞれの半島の勢力が海路を使って連携したのだ,と。大楠山の山頂から3半島の位置を改めて確認し,衣笠山では,頼朝を助けた三浦大介義明に思いを馳せる。そして,若宮大路,鶴岡八幡宮,極楽寺坂,朝比奈切通しなど,頼朝や義経,新田義貞らの足跡を辿る。
 半島を下り,横須賀で考えたのは,「スマートであれ」が教育方針だった旧海軍のこと。日露戦争で活躍した連合艦隊旗艦「三笠」を訪ねて,かつて出会った品のいい元海軍士官の紳士たちを思い出すのだった。
  ・・・・・・
というわけで,私が期待した割に,書かれているのは,鎌倉市と横須賀市までにとどまってきて,「その先」に触れていないのです。

 そんなわけで,もっとすずしくなって,天気がよいときに,こりゃ,1日楽しく過ごせそうだと思ったら,ワクワクしてきました。

キャプチャ


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 首都圏に住んでいる人にはあたりまえかもしれませんが,私は東京近郊はあまり知りません。そこで,このところ,NHK交響楽団の定期公演を聴くために東京へ出かけた折,機会を見つけては足をのばすことにしています。その中で,今日は,千葉県の話題です。
 千葉県といって私が行ったことがあるのは,成田国際空港と東京ディズニーランドくらいのものです。房総半島は,特に,これまで無縁な場所でした。ただ一度,2009年に,列車で,佐倉市と茨城県の潮来市,そして,銚子市まで行ってみたことがありましたが,そこで驚いたのは,神奈川県と距離は同じくらいなのに,首都圏といっても,千葉県はずいぶんと寂れているということでした。当時,JRの駅が無人駅だったのには衝撃を受けました。今はどうなのでしょう?

 そこで,一度,房総半島を1周してみようと考えました。
 レンタカーでまわってもいいのですが,せっかくなので,列車で行こうと考えて,時刻表とにらめっこしました。現在は,乗り換え案内のさまざまなアプリがあるのですが,実際に目的地まで一目散に出かけるときはこうしたアプリはとても便利なのですが,楽しみで旅をするときは,時刻表の方がずっとわかりやすく,おもしろいです。しかし,どのくらい時間がかかるのだろう?
 地図をみると,千葉県の海岸線にそってずっと線路があって,太平洋側が外房線,東京湾側が内房線というらしいのですが,私は,その境目が先端の館山駅だとばかり思っていました。しかし,そうではなく,安房鴨川駅でした。東京駅を朝7時15分に出発する「わかしお1号」という特急に乗ると,千葉駅を経由して,外房線を走り,早くも午前8時45分に勝浦駅に到着するので,意外に時間がかからないものだ,と思いました。
 ところが,その先,勝浦駅から館山駅までの列車がほとんどないのです。いかにも乗る人がいない,という感じです。考えようでは,これはとても愉快なことです。つまり,空いているに違いがないからです。
 その先は,安房鴨川駅,館山駅と乗り換え,それぞれの駅で1時間から2時間程度の時間をとって,午後2時42分に館山駅を出る列車に乗れば,内房線で千葉駅に午後4時54分に着く,という感じでしょうか。
 こりゃ楽しそうだ,と調べながら思いました。

 ここまで調べたら,あとは実行するだけです。幸い,猛暑だった2023年の夏もどうやら終わりをつげ,秋になったので,いよいよ決行することにしました。ところが,ここに,とんだ事態が待ち受けていたのです。このことは,また,いずれ書くことにしましょう。

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 せっかく入会資格ができたので,「ジパング倶楽部」に入会することにしました。
 海外からの旅行者には,多くの日本人がその存在を知らない「JAPAN RAIL PASS」という特典があります。これだけ円安で国民が苦しんでいるのに,外国人観光客にこれ以上の待遇を与える必要などないと私は思うのですが…。むしろ,インバウンド公害税をとるべきです。さて
  ・・・・・・
 「ジパング倶楽部」はJRグループ共通のシニア会員制度で,男性満65歳以上,女性満60歳以上が入会できます。また,夫婦のどちらかが満65歳以上であれば夫婦会員になれます。
 JR線を営業キロで201キロメートル以上利用する際に,乗車券,特急券等が3割引(入会後はじめの3回は2割引き)で購入できます。ただし, 新幹線「のぞみ」「みずほ」の特急料金及びグリーン料金,「はやぶさ」の特急料金及びグランクラス料金は割引になりません。また,4月27日から5月6日まで,8月11日から20日まで,12月28日から1月6日までは利用できません。
  ・・・・・・
というものです。

 もともと海外旅行ばかりをしていたので,国内旅行にはほとんど興味がなかったのですが,近ごろ,「今行かないとこの先も行かないだろうというところ」にわざわざ出かける旅行をはじめたら,おもしろくなってきました。また,これまでは,飛行機を使って現地まで行って,そこでレンタカーを借りるという旅行をしていたのですが,これからは列車もいいなあ,と思うようになってきたので,入会したわけです。
 愛知県に住んでいると,東京以北を旅行するとき,どこに行くにも,とりあえず東京に出なければならないのですが,これがとても馬鹿らしいのです。むしろ,岩手県や山形県よりも遠ければ飛行機で行くことができるのですが,それより近いと中途半端に遠いので,車では遠く飛行機では近すぎるから,列車で行くことになります。
 ただし,東京へ行くだけなら,「ジパング倶楽部」を利用して3割引きにするよりも安価なチケットがあります。たとえば,「ジパング倶楽部」を利用して「ひかり」の指定席に乗るより,JR東海ツアーズのずらし旅を利用すれば「のぞみ」のグリーン車のほうが安いのです。

 列車に限らず,この国では,何かをしようとするとき,かなりの知恵が必要です。たとえば,外食をするときも,なんらかの割引があったりクーポンがあったりして,それが一切なければ何ということもないのですが,後でもっと安かったとわかったときには,むしろ損をしたという思いの方が強くなってしまいます。これでは,サービスが逆効果ではないか,と思うこともあります。
 旅もまた同様で,JRのチケットだけでも,あまりに多くの値引きがあるので,それを調べるだけでも大変です。まあ,先に書いたずらし旅以外は,「ジパング倶楽部」の3割引きがもっとも安価だと思うので,せいぜいこれを利用して,まめに旅をしたいものだ,と思って,時刻表まで購入してしまいました。
 「ジパング倶楽部」は,旅を楽しむ以上に,ボケ防止に最適かもしれません。

 …ということだったのですが,このたび,まさにボケ防止に最適な出来事が起きてしまいました。このことはまたいずれ。


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 数年前なら,どうなっているのか全く見当がつかなかった紀伊半島でした。謎に包まれていたそのころがずいぶん昔のように思えるのですが,それも2年ほど前のことにすぎません。ここ2年毎年のように車で出かけて,およそどんなところかわかってきました。
 紀伊半島の内陸部には,有名な熊野古道があり,また,日本で最も広いといわれる十津川村がありました。熊野古道は,四国八十八霊場同様,軟弱な私は,それを歩く気はありませんが,十津川村ののどかさは気に入りました。また,海岸線に沿って走れば,奇妙な岩やらもあって,どこも風光明媚,美しい風景を眺めながらドライブができました。
 ただし,はじめに行ったとき,白浜で1泊したのですが,「アドベンチャーワールド」へ行き忘れました。というか,たかが動物園なのに,ずいぶんと入園料が高かったので見送ったのです。そして,あとで,なかなかすばらしいところだと知って,ずいぶん後悔しました。

 そこで考えたのが,「アドベンチャーワールド」へ行くのを利用して,紀伊半島を列車で1周してみようということでした。
 調べてみると,紀伊半島は,名古屋駅から紀伊勝浦駅までは「南紀」という特急が,そして,紀伊勝浦駅から大阪駅までは「くろしお」という特急が走っています。「アドベンチャーワールド」がある白浜市は紀伊勝浦駅と大阪駅の途中にあります。
 そこで,2泊3泊でまわることを考慮して,どのように行けばいいか考えてみました。
  ・・ 
 まず,時計回りに行くか,反時計回りに行くかでずいぶん迷いました。名古屋駅を始発として,反時計回りにまず大阪駅を経由してまわるか,あるいは,時計回りで行くか,ですが,せっかく列車に乗るのに,暗い時間では景色を見ることができないので,時計回り,つまり,名古屋駅から南下して行くほうがいいことがわかりました。これなら,早朝に名古屋駅を出発して紀伊勝浦駅まで行き,紀伊勝浦駅から白浜駅までは普通列車で移動。そこで下車して,だらだらと観光をしたのち,白浜市近郊で1泊して,翌日の午前中に白浜アドベンチャーワールドへ行き,午後,白浜駅から大阪駅に行く,という行程です。そして,大阪でさらに1泊して,大阪の観光をしてから帰る,というスケジュールです。

 これまで書いてきたように,私が行きたいと思っているところは,青森県,秋田県,福島県,また,黒部渓谷,尾瀬など,すべて,冬の旅には不向きなところです。そこで,紀伊半島の海岸沿いは,さすがに雪は降らないだろうから,冬に行くのがいいかな,と考えています。
 今年の12月のはじめのころなんて,どうだろうか?

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 これまであまり興味がなかったのですが,歳をとったら,車の運転するのをやめて列車でのんびり旅をするのも悪くないと思うようになってきたので調べていくうちに,けっこういろいろと乗りたい路線がでてきました。どうも私の性格上,凝りはじめるときりがないのです。困ったものです。
 まず,興味をもったのが,只見線とわたらせ渓谷鉄道でした。しかし,名前だけは知っていても,これらもまた,これまでに書いた黒部渓谷と尾瀬のように,私は,それがどこを走っているのか皆目見当がつきませんでした。そこで調べてみました。

●只見線
  ・・・・・・
 只見線は,会津若松駅から魚沼市の小出駅までを結ぶJR東日本の鉄道路線です。
 会津若松駅から会津坂下駅まで会津盆地の南方を通り,その先は只見川沿いの谷間を上流へと奥深く遡って行きます。田子倉湖付近から長大な六十里越トンネルで県境を越え,破間川沿いに谷を下り,破間川の魚野川との合流点近くの小出駅で上越線と接続します。
 全線でローカル色の濃い車窓風景が続き,また,秘境ともいえる地域を縫うように走っています。
  ・・・・・・
 ということですが,途中の会津川口駅構内に「金山町観光情報センター OASIS」があって,そこでは飲食品・土産物類を,只見駅前の「只見町インフォメーションセンター」では,特産品の土産を売っていたり,観光情報やレンタサイクルも実施しています。また,会津宮下駅前の三島町観光交流館「からんころん」には観光案内があり,レンタサイクルを利用できるそうですから,途中下車をして楽しむこともできそうです。
 只見線は,2011年7月の新潟・福島豪雨で甚大な被害を受け,会津川口と只見間の27.6キロメートルで運休が続き,存続が危ぶまれたのですが,幸い,2022年10月1日から再開しました。
 では,この只見線にどうやって乗るか? です。
 只見線は,何らかの手段で会津若松駅まで行けば,そこで只見線の始発に乗ることができて,4時間30分程度で終着の小出駅に着くという方法が最適です。しかし,時刻表を見ると,全線を走り抜ける列車は1日に3本くらいしかないことと,会津若松駅の1番列車の始発が午前6時8分で,これに乗ると終点の小出駅到着が午前10時41分ということなので,会津若松駅周辺に1泊する必要があります。会津若松市といえば,鶴ヶ城,そして,白虎隊ですが,私は行ったこともないので,前日は会津若松市の観光をすることにして,この方法で行くのがいいなあと思います。
 なお,会津若松駅までは,名古屋からは飛行機よりも新幹線の方が便利です。まず,東海道新幹線で東京駅へ出て,東京から東北新幹線で郡山駅まで行き,JR磐越西線で会津若松駅まで,トータルで5時間程度です。小出駅からはJR上越線で浦佐駅まで行き,浦佐駅から上越新幹線で東京駅まで,そして東海道新幹線で名古屋駅まで,トータルで3時間30分程度なので,意外と近いです。
 これなら冬景色でも大丈夫か?

●わたらせ渓谷鉄道
  ・・・・・・
 1989年,JR東日本足尾線を引き継いだ第三セクターのわたらせ渓谷鐵道は「わ鐵」の愛称で地元住民や観光客に愛される人気のローカル線で,桐生駅から日光市の間藤駅までの全長44.1キロメートルを約1時間半かけて走ります。
  ・・・・・・・
 といいうことなので,わたらせ渓谷鉄道は,只見線よりは簡単に全線制覇ができそうです。
 車窓から広がる四季折々の景色を楽しんだり,乗り降り自由の1日フリーきっぷでレトロな雰囲気の駅を散策しながら,だらだらと進んでいくのがよさそうです。週末は窓ガラスのない「トロッコ列車」の運行もしているそうなので,これもねらい目かもしれません。
 また,終点の間藤駅の駅前のバス停から日光駅行きのバスが出ているということなので,これまもまた,まず,桐生市あたりに前日到着して1泊し,1日かけてわたらせ渓谷鉄道の沿線を楽しんだ後,翌日,日光観光をする,というのがよさそうです。日光には以前1度行ったことがあるのですが,陽明門が思ったより小さいと感じたこと以外は,ほとんど記憶にありません。
 桐生までは,東京駅からだと,JR宇都宮線で小山駅まで行き,小山駅からJR上毛線で桐生駅まで2時間30分程度です。また,日光からは東武鉄道で東武日光駅から浅草駅まで,あるいは,日光駅からJR日光線で宇都宮駅まで行って,そこから,東北新幹線に乗るか在来線で東京駅までというコースになります。

 いずれにしても,前回書いた尾瀬にせよ,今回の只見線やわたらせ渓谷鉄道にせよ,東京からなら比較的簡単にアクセスできそうですが,名古屋からだと,まず,東京へ行く,という余分な行程が必要になります。
 東北地方も,むしろ,山形,花巻,青森あたりまで行くのならFDAに乗れば短時間でアクセスできるのですが,ちょっと中途半端な距離なので,逆に縁遠いということになるわけです。

xxxzzz


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 日本国内は,これまで行ったことがあろうがなかろうが,どこもだいたいの位置はわかるし,そこがどうなっているのかも,およそ想像がつきます。しかし,ずっと気になっていてあまりに有名なのに,そこがどこなのかがよくわからない場所が私にはふたつあります。それが黒部渓谷と尾瀬なのです。
 黒部渓谷は前回書いたので,今日は尾瀬についてです。

  ・・・・・・
 夏がくれば 思い出す はるかな尾瀬 遠い空
 水芭蕉の花が 咲いている 夢見て咲いている 水の辺り
  ・・・・・・
 尾瀬といって,私が思い出すこの歌は,作詞・江間章子,作曲・中田喜直の「夏の思い出」です。
 子供のころ岩手山の近くのミズバショウの咲く地域に住んでいた江間章子さんは,1944年(昭和19年)にたまたま訪れた尾瀬で目にした一面に咲き乱れるミズバショウ,そのときの感動を詩にしたのがこの歌ということだそうですが,実際は,ミズバショウは5月末に咲くので,夏に来てもミズバショウを見ることはできないということです。
 それで尾瀬という名前だけは知っていたのですが,私は,尾瀬の場所を完全に勘違いしていて,日光より南,群馬県だとばかり思っていました。なぜだろう?
 ところが,以前,福島県の大内宿へ行こうと浅草駅から会津リバティに乗ったとき,会津高原尾瀬口駅を通ったので驚きました。どうしてここが尾瀬なんだろう? 私には,この場所が尾瀬とはまったく結びつかなかったからです。
  ・・
 今回,尾瀬についても黒部渓谷と同じようにガイドブックを買って調べてみて,長年の謎が解けました。尾瀬というのは,東側からはこの会津高原尾瀬口駅のあった会津口,南西側からは上越新幹線の上毛高原駅からアクセスる沼田口,そして,北西からは上越新幹線の浦佐駅からアクセスする越後口の3箇所の中央にある,尾瀬沼や尾瀬ヶ原といった自然豊かな地であったのです。

 こりゃ,愛知県から日帰りできるようなところじゃないわい,と思いましたが,東京からは日帰りコースもあるようでした。
 歳をとった私は,もう,長い距離を歩いたり,山登りはムリなので,尾瀬という場所がどういうところかわかればいいと妥協して,山小屋で1泊するのではなく,会津口からは桧枝岐(ひのえまた)温泉,沼田口からは片品温泉,などの温泉宿に泊って,1日散策するのがいいのかなあ,と思うようになりました。
 時期は,5月下旬ごろか,9月中旬ごろか? 日本の旅ではハイシーズンはどこも同じなので,これもまた困ってしまいます。

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 日本国内は,これまで行ったことがあろうがなかろうが,どこもだいたいの位置はわかるし,そこがどうなっているのかも,およそ想像がつきます。しかし,ずっと気になっていてあまりに有名なのに,そこがどこなのかがよくわからない場所が私にはふたつあります。それが黒部渓谷と尾瀬なのです。
 今日は,そのうちで,黒部渓谷についてです。
  ・・
 黒部渓谷としてよく報道されるのが,トロッコ列車,雪の壁,下の廊下,そして,黒部ダムなので,私も名前だけは知っていました。しかし,それらがどうつながっているのかがまるでわからないし,位置関係も不明でした。だから,どうやって行くのかも,見当がつかなかったのです。
 おそらく,団体ツアー旅行にでも申し込めば,難なく連れて行ってくれるのでしょうが,他人様と一緒に行動をするなんて,まっぴらです。それに,行きたいと思う場所に自由に行けないかもしれません。
 そこで,本に頼らない私にはとても珍しいことですが,「るるぶ情報版」というガイドブックを購入してみました。いつも書いているように,私は,国内であろうと海外であろうと,予習もしないで旅に出るのです。それは,その土地に行ってみたいということ以上に,そこがどうなっているのだろう,という好奇心のほうが強いので,それが満たされさえすれば,期待外れだろうが満足できるのです。しかし,そこがどこかがわからなければ,話になりません。

 先にあげた黒部渓谷の中で,下の廊下だけは,40年ほど前に誘われたことがあります。そのときに行けばよかった,という後悔が1パーセントくらいはあるのですが,軟弱な私は,そんな危険なところに行きたいとは,昔も今も思いません。ただし,そこが黒部渓谷のどこに位置しているかだけを知りたいのです。
 ガイドブックを読んでみて,私はやっと納得しました。
 それでわかったのは,-というか,そんなことも知らないのか,という声が聞こえてきますが- ①トロッコ列車というのは黒部渓谷鉄道というのが正式名称で,宇奈月温泉から欅平へ運行しているもの ②黒部アルベンルートは,まず,富山鉄道立山線で立山駅まで行って,そこから,立山ケーブルカー,立山高原バス,立山トンネルトロリーバス,立山ロープウェイ,黒部ケーブルカーと乗り継いで,黒部ダムに着いて,さらに,関電トンネル電気バスで扇沢駅に出て,路線バスでJR信濃大町駅に行くというもの,つまり①と②はまったく別ものでした。
 そして,雪の壁というのは,4月の中旬から6月下旬まで,②の黒部アルベンルートの立山高原バスが走るために除雪したところのことであり,下の廊下というのは,①の欅平と②の黒部ダムを結ぶ26キロメートルにわたる縦走路でした。
 これで納得しました。しかし,周りの人に話をすると,やはり,①のトロッコ列車と②の黒部アルペンルートを混同している人が少なくないのです。

 こうして,やっと黒部渓谷がどこかはわかったのですが,では,どうやって行くのか,ということは,現在考慮中です。トロッコ列車は事前に予約さえしておけば,宇奈月温泉に泊ってそこから往復するだけだと思うのですが,黒部アルペンルートのほうが難物です。行くことができる時期が限られている上に,夏は非常に混み合いそうです。行くとすれば,5月のゴールデンウィーク後,梅雨入り直前がベストか?
 いずれにしても,行ってみなくては本当のところはわからないのでしょう。

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 それにしてもつくづく思うのは,2020年の春以前に,私は海外で行きたいと思っていたところにすべて行っておいてよかったということです。
 あれから3年。せっかくパスポートを更新したけれど,もう,以前のように海外旅行に行くことはできません。その最大の理由は,行きたいと思うところが残っていない,ということにあります。しかし,それ以上に,気力と体力がなくなっということがあります。まさか,これだけ気力と体力がなくなるものだとは思いませんでした。行きたいと思わないんだもの…。「65歳の壁」は予想以上でした。
 さらに,それに輪をかけるのが,異常なほどの物価高です。海外の物価が高くなってしまったことに加えて,度を越した円安もあります。今,海外に出かけようと思えば,以前の1.5倍くらいは予算が必要でしょう。こんなことでは行くことができません。それに加えて,ロシアのウクライナ侵攻のためにシベリアの上空が飛べない,ということもあります。そこで,アメリカやオセアニアはともかく,ヨーロッパに行くには,北極を経由するにしても,西アジアを経由するにしても,どちらも片道14時間もかかってしまいます。冷戦時代に逆戻りです。3年前なら,フィンランド航空を利用してヘルシンキに行って,そこで乗り換えれば,簡単に行くことができたのに,ヨーロッパは非常に遠い国になってしまいました。
 私が,60歳を過ぎたら,きままにヨーロッパを鉄道旅行しようと思っていた夢は,これで潰えてしまいました。

 というわけで,私は,これまではまったく行く気がなかった日本国内に目を向けはじめたのですが,行ってみると,それはそれで奥が深いものでした。
 しかし,それはそれで,別の大きな問題がありました。
 そのひとつは,どこへ行っても人多すぎ,ということです。日本はただでさえ人が多いのに,円安も手伝って,再び海外からの観光客が増えてきました。今,京都へ行くと,そのほとんどが外国人観光客だそうです。ただし,日本の夏の異常な暑さに,もう二度と来るものか,と感じた人たちが少なくないといいます。こんな暑い時期に,日本に来ること自体,クレイジーだと思うのですが,何事も「知らない」というのはこういうことです。
 もうひとつの問題は,日本の旅は天候次第,ということです。これまで海外旅行をしたときに,天気なんて気にしたことがありませんでした。しいて言えば,出国のときに台風が来ないようにと祈っていただけでした。
 しかし,日本を旅するには,12月から2月までの冬は寒すぎるし,北国は雪が多いから,雪景色を目当てにするのならともかく,旅行をするのは骨が折れます。3月から5月までの春は天候に恵まれればいいのですが,なかなか晴れないし,運が悪いと,大陸から黄砂がやってきます。また,ゴールデンウィークは異常な人混みを見にいくようなものになってしまいます。さらに,6月から7月下旬までは梅雨でだめだし,8月は暑すぎるし,ひょっとすると台風が直撃してしまいます。また,秋は紅葉シーズンで,やはり,すごい人混みです。
 そこで,なんとか恵まれた旅ができるのは,桜が咲く前の3月や,ゴールデンウィーク以前の4月中旬,そして,比較的気候が安定していて,紅葉にはまだ早い9月下旬から10月の初旬しかありません。
 
 ということですが,それでもなんとか,いろいろなところに出かけてみた結果,私が楽しいと感じる旅は,有名な観光地でもなけれは,大きくて立派な旅館でもなく,静かな場所で,小さくて小ぎれいな旅館で,おいしいものを食べることだ,ということがわかってきました。
 では,この先どこに行きたいのか? ということなのですが…。
 以下,次回。


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 昔から,「裸を見られたらどこを隠すか?」という問いに対して「顔を隠す」というのがあります。つまり,それが誰だかわからない,ということが,自己を特定されない根本となるわけです。もっとも,近ごろは,顔全体を隠さなくても,口元さえ隠せば,だれなのかわからないということが明らかになったわけで,これがいわゆる「マスク美人」と揶揄されることです。…というのは,今日の本筋からはなれた余談です。
 と,ここまでは前置きで,近年,YouTubeの動画の中に,ディープフェイクを用いた画像が話題となっているというのが今日のお話です。

  ・・・・・・
 ディープフェイク(deepfake)とは,機械学習のひとつであるディープラーニングを使用して,ふたつの画像や動画の一部を結合させて,元とは異なる動画を作成する技術のことですが,巷では,現実の映像や音声,画像の一部を加工し,あたかも本物のように見せかけるフェイク動画を指しています。
  ・・・・・・
 魅力的な女性が出ているような動画があるのですが,実は,その女性というのは偽画像で,実物ではない,というものです。他人の体に有名人の顔を貼ってしまうのは犯罪ですが,その反対に,自分の体に,無名の人や作り物の顔を貼るのなら,もはや,たとえ裸を大衆にさらしたところで,他人には人物は特定できないから恥ずかしくなくなってしまいます。
 事実を伝えることを旨とする報道でこれを行ってはいけません。現在問題となっているのはこちらのほうで,いくらでもウソのニュースが作れてしまうのです。
 しかし,フィクションであれば,それは単に,アニメを実写のように置き換えたものとみなせるわけで,Vtubeと同じです。こうなると,変に顔を隠したりぼかしたりしてごまかしたり,音声合成ソフトで作られているYouTubeチャンネルよりも,見る側はずっと快適でしょうし,こうして作られた人物をアイドルとして売り出したところで,はじめからそう断ってあれば何ら問題はないと思われます。
 現在放映されているNHK大河ドラマ「どうする家康」の合戦シーンでも,バックの映像はコンピュータグラフィックだし,多くのテレビドラマや映画でも,グラフィックが使われています。
 出回っている多くの天体写真や風景写真も,それが赤外線で写したものか,紫外線で写したものかで画像は違うし,また,画像処理をしてしまえば,それが果たしてどこまで真実といえるのか? また,コンピュータグラフィックとしてのディープフェイクではなくとも,整形した女性は,真実を加工したものという意味では同じことです。

 このように,毎度のこと,コンピュータというだけで,ディープフェイクによる偽造が問題視されていますが,これまでだって,同じようなものでした。
 むしろ,ある種の思想教育のように,それが真実でなくても,真実であるように教え込ませることのほうが,ディープフェイクよりもずっと悪質でしょう。また,過去の文献やらから,現在はそれが正しいとされている歴史上の出来事なども,本当にそれが真実だったのかはわかりません。事実,私が子供のころに習った歴史で,今は正しくなかったとされることが少なくありません。
 また,テレビの報道番組に出てくる街頭インタビューでも,多くのインタビューから伝える側の意図に即したものだけをとりあげて編集して放送しているから,それが果たして真実といえるかどうかは,はなはだ疑問ですし,新聞でも,それを記事にするかどうかは編集者の意図が働いているわけだから,それもまた,真実といえるかどうか疑問が残ります。
 ここ数年,世の中で起きたコロナ禍でさまざまなに報道されたことの中にも,これと同じようなことが少なくありませんでした。正しいと学問的に証明されていないようなことすら大手を振ってまかり通ってきましたし,本当はよくわからないことのほうが多かったのです。
 そうしたとき,声が大きい人,権力のある人,専門家と称する人が,単に個人の意見として言ったことが真実としてまかり通っていたりするのです。

 若いころ,自分が実際に見ることができること以外は,すべて虚構なのではないか,と思ったことがあります。本当はニューヨークなんてこの世にはないけれど,あるように信じ込まされているだけの虚構であるとか,あるいは,自分の頭だけが作り上げた幻なのではないか? さらに,自分が実際に見ていることすら,実際は,頭のなかで組み立てただけの虚像ではないか?
 このごろは,昔の映像を見ても,そうした映像に出てくる人が今生きているかどうかもよくわからないし,もう亡くなった人の虚像を入れることだってできないことではないし…。
 そんなこともまた,以前,「Star Trek」でやっていたような。
 こうなると,自分が今生きていることすら,虚構ではないか,とさえ思えるようになってきました。
  ・・
 それにしても,近年のコンピュータ,特に人工知能の発達で,ディープフェイクのようなことが簡単にできるようになると,本当に,何が真実で何が真実でないのか,これまで以上にその境目がなくなってきてしまいます。これからの社会で生きていく若い人たちは,現実とは何か? 真実とは何か? そうした重大な課題に,今まで以上に直面しているのかもしれません。


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 歳をとって物質欲もほとんどなくなり,必要なモノでもこだわりもないのですが,このたび,iPhoneを買い替えました。
 それまでは,6年ほど前に買ったiPhone8をずっと不自由なく使っていて,買い替える必要性も感じていなかったのですが,iPhone8が2023年秋のiOS17のアップデートの対象外となってしまったことと,2023年9月にiPhone15が発売されるそうなので,それを待ってもよかったのですが,電源端子がLightning端子からUSB-C に変わるとか? ということだったので,それでは持っている多くのコードがむだになるではないか,とiPhone14を買う決心をしたのです。

 私は,ずっと以前から,iPhoneもiPadも,Appleショップで購入します。そして,iPhoneには,格安SIMを入れています。
  ・・
 iPhone8はiPhoneの第11世代目のモデルで,2017年9月に発売されたものです。そのころに頻繁に海外旅行をしていた私は,iPhone6を使っていたのですが,iPhone 7では日本国内でApple Payを利用可能にするFeliCaが日本向けのモデルのみ有効だったのでパスして,全世界のモデルでFeliCaが利用可能になるiPhone8の発売を待ちわびて,発売と同時に購入したのです。
 今回購入したiPhone 14は第16世代のiPhoneで,2022年9月に発売されたものです。
 iPhone8に比べて,カメラ機能として,画素数は1200万画素と同じということですが,ソフト的にかなり進化しているらしいです。しかし,私は,カメラは別にニコンZ50を使っているので,カメラの性能にはあまり気にしていません。

 という次第で,注文してまもなくiPhone14が届いたので,これまでの使っていたiPhone8からアプリを移行をすることにしました。先日,新たにiPadを購入したときは,何の問題もなく移行できたので,今回もそのつもりだったのですが,思いのほかめんどうでした。それは,iPadとは違って,データ通信や,銀行などのアプリが存在してからです。
 まず,データ通信ができないのに驚きました。それは,APN構成プロファイルをダウンロードして設定する必要があったからです。しかし,こういうことは,ドコモ,au,ソフトバンクなどのキャリアで購入する人は知らない知識でしょう。何事も安く上げるには知恵が必要です。
 また,銀行などのアプリは,設定がそれぞれの銀行で異なっているのが,煩わしいというより,何か,とても滑稽でした。おそらく,その煩わしさの違いというのは,それぞれの金融機関の担当者の能力の違いなのでしょう。何か,それぞれの金融機関の内情がわかるようでした。
 もっとも快適だと思ったのは,顔認証です。こんなに便利なものだとは思いませんでした。指紋認証も便利だったのですが,それとは全く別物でした。それにしても,256ギガバイトのものを買ったのですが,60ギガバイトくらいしか使っていない! 私は,iPhoneで動画見ないし,撮らないし,どうしよう? もったいない話です。


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キャプチャ

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 2023年6月17日,第8期叡王戦第5局が柏の葉「三井ガーデンホテル」で行われるはずでした。しかし,叡王戦が第4局で終わってしまったために実現せず,その代わり,同じ日に「藤井聡太叡王を囲む会」が開催されました。
 このときのプログラムの第1部で行われたトークショーがYouTubeにアップされていたので見ました。それが「AIビッグ対談 藤井聡太叡王 Ponanza開発 山本一成CEO」でしたが,すばらしいというか,秀逸なものでした。優秀な人同士の対談というものは,聴いているほうが賢くなった気になるというものです。いい時間になりました。
 内容については,このYouTubeを見ていただくことにして,私は,それを見ていて,いろいろなことに思いをめぐらせました。今日はそのお話です。

 AIということばがあまりに有名になって,ひとり歩きをしています。関係のないことまでAIというラベルをはったり,AIを活用したわけでもないのに,AIというラベルを張った研究を公表する大学の先生がいたり…。
 これもまた,世の常ですが,私は,そんなAIの限界と可能性にとても興味があります。
 たとえば,「将棋AI」でいえば,これまで,私の知る限り,つぎのふたつの局面で,「将棋AI」のアルゴリズムはどうなっているのだろう? と疑問に思ったことがあります。プログラム的にはかなりの問題だと思うのですが,これについて,だれもわかりやすい解説をしていないことが不思議です。
 そのひとつ目は,以前このブログに「「将棋AI 」未だ未熟なり」として書いたことがあるのですが,2022年2月3日に行われた第80期将棋順位戦B級1組,先手佐々木勇気七段対後手藤井聡太竜王で,将棋AIが納得のいかない変化手順を示したものです。
 そしてふたつ目は,2023年5月28日に行われた第8期叡王戦五番勝負第4局,先手菅井竜也八段対後手藤井聡太叡王で,藤井聡太叡王が80手目△2九龍を指したのですが,これが23手の即詰みでした。しかし,「将棋AI」はこれを読めなかったのです。こういうものを見ると「藤井聡太のAI越え」とかいって興味本位で語られるのですが,少なくとも,「将棋AI」が詰みのある局面でそれが読めない,というものを私ははじめて見ました。人間的には盲点であっても,「将棋AI」は通常,これを見逃さないのです。

 これでは,AIもまだまだだなあ,と思ってしまいます。というのも,こうした人工知能の技術がすでにさまざまな社会生活で実際に活用されているわけですが,そこに次のようなミスがあったらたまりません。たとえば,医学の病理検査で異常を見逃してしまったり,入国検査で怪しい人を入国させてしまったり。それがこんなことでは,本当に役立つのかしら? 正しいのかしら? と疑問になってしまうのです。
 そうした技術活用のひとつとして,山本一成CEOが研究している車の自動運転があるわけです。今私が乗っている車も,多くの最新技術が使われていて,たとえば,車線をはみ出して通行すると,警告音が鳴ります。これは,将来の自動運転につながる研究開発中の技術だと思うのですが,それが,鳴ったり鳴らなかったり,あるいは,意味もなく鳴ったりと,まったくもって安定しません。つまり,信用できるものではないのです。
 こうした経験から,私は,こんなことではいつまでたっても自動運転などできるわけがないと,確信してしまいます。しかし,その最大の理由は,AIのせいだけではなく,というか,それ以上に,この国の道路整備がひどすぎるということにあります。交差点ごとに右折帯があったりなかったり,あるいは,変則だったりするし,信号のシステムも交差点によって違うし,センターラインの表示の形式も一定ではありません。また,通行帯を示すラインも,消えていたり,あるいは,元から書かれていなかったりすることもよくあるのが,この国の道路です。このように,人間が運転していても戸惑い,あるいは理解不能なことが少なくないのに,人工知能がこれを判断できるとは思えません。きちんとラインが引かれ,全国でルールが統一されているアメリカの走りやすい道路と比べたら雲泥の差です。
 こんな現状では,日本では,いくらAI技術が進化したとしても,自動運転はムリでしょう。それは,日本という国の交通インフラがあまりにもあいまいであり,いい加減だからです。

 おそらく,日本がこの先,さらに世界から遅れることになる要因は,こうした,何事につけても忖度社会で,その場限りのやったふりが蔓延する日本という社会の在り方のせいだと私は思います。人的なミスが多発しているマイナンバーカード,その原因は日本社会のシステム上の愚かさから来るものなのに,それを解決せず,しかし,半ば強制的に普及させようとしたり,行政が交通整理をしないものだから支払い方法が多すぎるゆえに一向に進まないキャッシュレス社会,そうした現状を見ても,それは明らかでしょう。つまり,日本の科学技術の発達を阻害している要因は日本という国のシステムであり,そこに住む人間にあるのです。

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 これまで,この3年間で私の気持ちが変わった,旅の行先について書いてきました。
 海外旅行ができなくなって,これまでは敬遠気味だった日本国内のいろんな場所を旅してみると,日本国内もまた,魅力のあるところがたくさんありましたが,私にとって,その多くはガイドブックに載っていないようなところでした。また,その土地の歴史を知ると,魅力の増すところも少なくありませんでした。そして,新たに行きたいところが生まれてくるのです。だから,きりがないのです。
  ・・
 私は子供のころ,地図を見るのが楽しみのひとつだったのですが,そのとき,世界中のすべての場所を見てみたいといつも思っていました。当然そんなことは無理な話なので,その中からどこに行くべきか,ということが,一番の問題になります。人生は短すぎるのです。
 私は,いろいろなところに行ってみたいと思っているのが性分ですが,それに対して,同じところばかりを何度もリピートしている人がいます。私は,何かもったいないような気がするのですが,それはそれで,人それぞれの価値観です。
 とはいっても,かくいう私も,常連のペンションがあって,年に2度ほど訪れるのですが,その場所に行くたびに,その途中で,別の様々なところを訪れることを楽しみにしているから,それはそれでいい楽しみになっていると,これは,自分への弁護です。
 そこで,今日は,私が,今,どのような方法で旅をしているかを書いてみることにします。
 
 いろいろなところに行って見たいと思っている私の旅ですが,気に入ったところはリピートします。1度目はほとんど何の準備もしないで出かけて,現地の観光案内所で情報を手に入れます。現地でなければわからない情報がけっこうあるものです。そうして出かけてみた結果,気に入ったところにはもう1度行きます。しかし,1度目にどんなに気に入っても,2度目は,今度は期待が大きすぎて,少しがっかりすることも少なくないのですが,2度行くと,大概,その場所のほとんどのことがわかるから,3度目はなかかなないものです。3度目があるとすれば,それはよほど魅力があるところか,もしくは,まだ,行き足りないほど見どころが多いところと言えます。
  ・・ 
 これまで,そうした旅を続けてきて,どうやら,私が行きたいところは行き尽くしたなあ,でも,旅は楽しいから,この先,どこか魅力的なところがないかなあ,などと思うようになってきたころに,コロナ禍が起きたのです。
 私は,その3年の期間に,それまでにやった様々な旅について考え直すいいきっかけとなりました。そしてまた,旅の方法を考え直す機会ともなりました。
 それまでは,国内を旅するときは,公共交通機関を使うことが最優先だったのですが,格安航空があることを知って,飛行機と車の旅に変えました。車で旅をするのは気楽なのですが,日本国内を車で旅をする最大の欠点は,日本の道路が走っていてまったく楽しくないということです。海外で,といっても,限られた国しか知りませんが,私のドライブした国はどこも,日本とは比べ物にならないほど,安全に運転ができるように,道路が整備されていました。海外での運転は,日本に比べて,ずっと安全であり,簡単なのです。実は。

 いずれにしても,どこかへ行くと,それまで知らなかったことを再発見して,新たな楽しみが見つかります。ここ3年,国内の旅ばかりをしていましたが,日本は,東京以外はどこへ行ってもさびれているという現状に驚きました。しかし,私にはそれがいいというか…。
 それにしても,狭い日本では,どんな山奥に行っても人が住んでいるから,旅は,粗大ごみの中からお値打ちな品物をさがしだしているような感じがします。しかし,どこにも人がいるから,考えようでは,アイスランドのように,車が故障したら誰も助けにきてくれないという恐怖と闘いながらドライブするのとは違った安心感があるのです。
 将来,遠出ができなくなったら,近場で人の少ないところに出かけることが,いい老後の楽しみにつながるのかもしれません。


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●中部・北陸
 私の家から,中部地方や北陸地方は近いので,逆に,何度か行ったことがあっても忘れてしまっていたり,あるいは,意外に有名なところへ行ったことがない,ということも少なくありません。
 私は年に2度ほど木曽駒高原に星見に行くついでに,岐阜や長野は足をのばすことにしているのですが,近ごろ,旅をしてとても居心地のよい場所を見つけました。それは,長野県であっても飯田より南あたりなのです。長野県なのに,長野県の旅のガイドブックにも抜け落ちていたりして,盲点にあるところですが,実にいいところなのです。
 また,富山県,新潟県は,少し前に親不知海岸が見たくなって出かけたのですが,日本海の海岸線沿いの景色がよいのに驚きました。こうしたところは捨てがたい魅力が満載なので,一度きちんと計画を立てて,宿泊先も決めて,旅をしたいと思っています。食事もおいしそうだし。
 そういえば,富山県には黒部渓谷という有名なところがあります。あまりにも有名なので,人が多すぎて,また,ツアー客だらけのような気がして,私は敬遠気味です。そんな理由から行かず嫌いになっていて,いくら雄大だといってもアメリカのパウエル湖ほどじゃないだろうと負け惜しみをいって,自分を納得させています。
  ・・
●近畿
 私にとって,まだ見ぬ地が和歌山県や奈良県の南の部分でしたが,このごろ何度か行ってみて,その魅力にはまりました。ただし,今では,何となくもうわかった気になっているので,行きたい優先順位は低くなりました。この先,気が向いたら,また,行って見たいと思っているところです。
 が,実は,名古屋からは,この地は,行くのがたいへんなのです。むしろ,四国や九州のほうが飛行機で行くことできるので近いのです。南紀白浜など,飛行機で行けるから首都圏からアクセスするほうが早かったりします。山間部には,観光客も少ない静かな温泉があったりもします。
  ・・
●中国
 山陽はこれまで何度も行く機会があったので,ほぼ,なじみの場所なのですが,何度行ってもいいところです。
 また,山陰は生まれてはじめてひとり旅をしたところなので,強く印象に残っています。しかし,それも45年も昔のことなので,今はずいぶんと変わってしまったのかもしれません。また,そのうち,そのときの旅と同じコースでひとり旅をしてみたいものです。名古屋からは出雲まで飛行機が飛んでいることだし。
  ・・
●四国
 四国は,このところ,私のマイブームでした。ここもまた,だいぶわかった気になっています。
 そういえば,このごろ,しきりに佐田岬に行ってみたかったのですが,行ったことがあるという友人がいて,話を聞いて熱が完全に冷めてしまい,優先順位がずっと低くなりました。
  ・・
●九州
 九州は,阿蘇の外輪でアイソン彗星を見ようと旅をしたことがあって,その折に,九州1周しました。また,大相撲の九州場所を見にいったとき,福岡市内を散策して,およそわかりました。それだけで,すべてを知った気になっていたのですが,先日,柳川というところをテレビでやっているのを見て,とてもいいところに思ったので,行きたくなりました。ということで,今,福岡か熊本まで飛行機で行って,現地ではレンタカーを借りて,柳川に行ってみようと計画中です。
 また,考えてみると,大分県と宮崎県にはほとんど行ったことがないので,行ってみる価値がありそうです。
  ・・
●沖縄
 はじめて行った沖縄が石垣島でした。一度行ってみるのもアリだと思ったのですが,私は,これで満足しました。沖縄本島は未だ行ったことがないのですが,それよりハワイだ,という気持ちは今もずっと変わりません。
 その最大の理由は天気です。沖縄が楽しめるかどうかは天気次第なのです。

 このように,コロナ禍以前と今とでは,私は日本を旅する気持ちは大幅に変わってしまいました。
 コロナ禍以前は,年に4度ほど海外に行き,年に2度ほど国内旅行をしようと思っていたくらいで,国内旅行にはあまり魅力を感じていませんでした。それに,国内旅行は列車でのんびり,と思っていました。それが,今は,格安航空の安さと便利さと小さな田舎の温泉宿にすっかりはまってしまいました。これからは,年に2回ほど海外に行き,年に4度ほど国内旅行です。
  ・・
 正直いって,日本国内は,どこにいっても,それほど違いがありません。BSPで放送している,火野正平さんが自転車で走る「にっぽん横断こころ旅」を見ていると,行かなくても,おおよそのことがわかります。
 ただいえるのは,有名な観光地はどこも同じで,みやげ物店ばかりです。それよりも,そうでない場所に底知れぬ興味のあるところが探せば少なくないのです。

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 ゴールデンウィークはどこに出かけても混雑するので,私は毎年家に閉じこもることにしているのですが,暇つぶしにと何となく借りてきたのが伊坂幸太郎さんの「クジラアタマの王様」でした。この本を借りた理由もまたいい加減で,伊坂幸太郎さんの小説ならきっとおもしろいだろう,というだけのことでした。読み終えるまで,あらすじすら知りませんでした。
 まさか,こんな内容だったとは!
  ・・・・・・
 製菓会社に寄せられた1本のクレーム電話。広報部員の岸はその事後対応をすればよい... はずだった。訪ねてきた男の存在によって,岸の日常は思いもよらない事態へと一気に加速していく。
 不可思議な感覚,人々の集まる広場,巨獣,投げる矢,動かない鳥。打ち勝つべき現実とは,いったい何か。
 巧みな仕掛けとエンターテインメントの王道を貫いたストーリーによって,伊坂幸太郎の小説が新たな魅力を放つ。
  ・・・・・・
 ということなのですが,物語の端々に出てくる動かない鳥というのは,かの有名なハシビロコウです。ハシビロコウ,上野動物園にも飼われているこのまったくといっていいほど動かない鳥は,話題になる以前から,私のお気に入りで,上野動物園に行ってはにらめっこしていましたが,どうして,まあ,この小説で強敵となって登場しちゃったのでしょう。何だかハシビロコウがかわいそうです。

 「クジラアタマの王様」とは、鳥のハシビロコウのことです。
 小説の最後に書いてあるのですが,ハシビロコウの別名がこの小説の題名である「クジラアタマの王様」,つまり,この小説は「ハシビロコウ」という題名なのです。
  ・・・・・・
 「ハシビロコウ」の学名「Balaeniceps rex」は,ラテン語で「balaena=クジラ」と「ceps=頭」と「rex=王様」からなります。特徴的なクチバシの形状を含む頭部のシルエットがクジラの姿に似ていることに起因しています。また,和名のハシビロコウは「クチバシが幅広いコウノトリ」の意ということです。
  ・・・・・・
 と,これで題名の謎は解けたのですが,実は,この小説を読むと,不思議な気持ちにさせられました。その理由は,次のようです。

 小説の柱は,「現実の世界」と「夢の世界」の関係がストーリーに大きく関わってくる,というものですが,小説の中で展開される「現実の世界」の出来事というのは,新型インフルエンザによるパンデミックなのです。そして,「現実の世界」で起きたパンデミックを解決するには「夢の世界」でハシビロコウに勝つことが必要だと。
 小説で,新型インフルエンザによるパンデミックが語られているのだから,私は,この小説が書かれたのは最近のことなのかな,と思ったのですが,奥づけをみると,発行が2019年7月5日でした。つまり,実際の「現実の世界」で起きた新型コロナウィルスの発生以前です。

 私自身も含めて私の周囲にはひとりの感染者もいないのだから,今でも私には,新型コロナウィルスによるパンデミックは,フェイク映像やフェイクニュースによって思い込まされているだけのフィクション,つまり,「夢の世界」の出来事のように思えます。
 しかし,家にいるときはまったく実感がなくても,たまに外出すると,社会全体が異様な風景だから,やはりこれはフェイクではなく「現実の世界」の出来事なのかな,とそこではじめて思うわけで,だから,きっとこれは真実であって,この3年間に世界が経験した「現実の世界」の悪夢だったのでしょう(たぶん)。
 この小説では,そうした「現実の世界」の悪夢が起きる以前に,まるで,未来を見てきたかのように,すでに生々しくそのことが書かれてあったということが,私には驚きなのです。

 一体,何が現実で何が夢なのか? そして,伊坂幸太郎さんは,どうして,小説を書いたあとに現実に起きたことを,それが起きる前に書くことができたのか? はたして,伊坂幸太郎さんは預言者なのか? 冥界と現世を自由に行き来できたという小野篁のように,「現実の世界」と「夢の世界」を自由に行きできたのか? この小説は,そんな自分の能力をもとにした実体験に基づくものだったのか? などなど。
 私は,この小説で,そんな不思議な錯覚に陥るような,夢見ここちとなる,奇妙な読後感を味わいました。

無題


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 この国は東京,というか,首都圏だけが異常に発展して,それ以外は急激に退化しているようです。地方に行くと,アーケード街はほぼシャッター街と化し,かつて賑わった温泉宿も廃墟となっているところが少なくありません。住んでいる人も老人ばかりだし,バス路線も廃止となったり,列車も廃線となっています。しかし,首都圏の列車は行くたびに新しくなり,駅もまたターミナルが巨大化していて,渋谷駅など,どこがどこだかさっぱりわからない状況です。
 さて,「毎日が日曜日」の私は,その余暇を利用して旅をするのが好きなのですが,一度は乗ってみたいと思いながらも,ほとんど縁のない新幹線が今日の話題です。

 新幹線,私は,東海道新幹線と山陽新幹線が作られたころのことしかよく知りません。当時は憧れの乗り物でした。しかし,今は,利用するのは東海道新幹線くらいのものです。また,東北新幹線が大宮から仙台まで開通した,というあたりまでは記憶にあるのですが,それ以降,〇〇新幹線なるものがたくさんできたらしいのですが,それらがどういう路線なのか,どこにつながっているのかもさっぱりわかりません。
 そんな私ですが,東京駅の東海道新幹線のホームにいると,別のホームに,なじみのない塗装を施したさまざまな新幹線が出発を待っていて,興味をそそられます。しかし,それらの区別もつかないのが悔しいので,少し調べてみることにしました。それらはどの路線を走り,どこに行くために乗るのだろう?
 では,北から順に紹介します。
  ・・
●北海道新幹線
 北海道に新幹線ができたことすら,噂で知っているだけの私ですが,北海道新幹線は東北新幹線の延長で,2016年に,新青森から全長54キロメートルの青函トンネルを通って新函館北斗まで行く路線が開通しました。また2030年には新函館北斗から札幌まで延長されるということです。
 北海道新幹線に乗るには,東京や仙台から「はやぶさ」が,「はやて」が盛岡や新青森から運行しています。
 私は,今から40年ほど前の冬,一度青函連絡船に乗りたくて,北海道からの帰り,空路を使わず,わざわざ函館まで出て利用したことがあるのですが,ものすごく時間がかかり,また,船が大揺れして船酔いをし,大変な目にあった記憶しかありません。青森からは「ゆうづる」という寝台特急で上野まで利用したのですが,これもまた,いやになるほど時間がかかりました。夜明けのころ,やたらとお腹がへったことだけが印象に残っています。
 しかし,今は,そんな苦労をしなくても新幹線ならもっと短い時間で函館まで行くことができるようになったわけですが,それでも,空路なら名古屋から札幌なんてあっという間なので,あえて乗ろうとしなければ,使うのが難しい路線です。鉄道マニア以外に乗る意味ってあるのだろうか?
●東北新幹線
 東北新幹線は,1982年に大宮と仙台を結んで開業し,現在は,大宮と仙台,ともに延長して,東京と新青森を結んでいるようです。東京から北海道新幹線につながる「はやぶさ」,東京と仙台,あるいは盛岡間を走る「やまびこ」,東京と那須塩原,あるいは郡山間を走る「なすの」があります。
 私は,開業時に大宮から仙台まで乗ったことがあります。その後,確か,数回利用したと思うのですが,ほとんど記憶になく,近年,新花巻から東京まで使ったことを覚えているくらいです。
 数年前,福島県の大内宿に行ったときは,東武鉄道,野岩鉄道,会津鉄道を経由する特急リバティというのを利用しました。時間はかかったけれどがらがらで快適でした。岩手県の花巻に行ったときは,行きは東京から夜行の高速バスを利用しましたが,帰りは,新花巻から東京まで「はやぶさ」に乗りました。なかなか新鮮でした。
 どうして新幹線を使ったかというと,その当時の私は,空路の存在を知らなかったからです。
 しかし,今,再び花巻へ行くなら,空路のほうが早いし安いことがわかってしまったので,もう利用することはないでしょう。また,青森までも空路の方が便利だから,これもまた,乗る機会はないと思います。
●秋田新幹線
 盛岡と秋田を結ぶ,在来線の線路幅を広げて新幹線車両が直通できるようにしたミニ新幹線で,「こまち」という名前の列車が走ります。1997年に開通しました。東京から盛岡までは東北新幹線と併用しているので,「はやぶさ」と「こまち」が連結している場合もあります。
 これもまた,私の場合,秋田に行くなら,空路でもよりの空港まで行ってそこでレンタカーを借りた方が早いし安いのですが,そもそも秋田に行くことがありますまい。
●山形新幹線
 1992年に開通した山形新幹線は,福島と新庄を結ぶものですが,山形新幹線というのは通称で,東北新幹線と奥羽本線を直通する列車の愛称だそうです。列車名は「つばさ」で,東京から東北新幹線を経由して新庄まで走ります。これもまた,福島まで「はやぶさ」と連結している場合もあります。
 私の大好きな山形県ですが,これもまた,私は空路を使うので乗ることはありません。そもそも,東京まで東海道新幹線で行ってそこで乗り換える,ということが無意味です。
●上越新幹線
 1982年に開通した上越新幹線は,東京と新潟を結ぶものですが,大宮からが上越新幹線,東京と大宮間は東北新幹線の乗り入れで,列車名が「とき」。となると,私にはドキドキするくらい「とき」めくし,魅力的ですが,これもまた,今は空路で新潟に行くから利用することはないでしょう。。
 20年ほど前の冬,新潟県長岡市へ仕事で行ったときに,名古屋から東京まで東海道新幹線,東京から長岡まで上越新幹線に乗ったことがあって,三国トンネルを越えた瞬間に川端康成の「雪国」さながら銀世界となった驚きは今もわすれられません。しかし,名古屋と新潟は直線距離なら大したことないのに,わざわざ東京を経由していく意味がわかりません。空路ならわずか40分です。
 また,「とき」のほかには,東京,または上野から高崎,または越後湯沢間を走る「たにがわ」があって,これらの列車は東京に住む人たちが観光地に行くのに使うのでしょう。
●北陸新幹線
 1995年に東京,長野間,2015年に長野,金沢間が開通したもので,正式には,東京,大宮間は東北新幹線,大宮,高崎間は上越新幹線に乗り入れていて,高崎から先,軽井沢,長野,直江津と通って日本海沿岸に出るのが北陸新幹線です。最終的には新大阪までつながる予定です。
 列車は東京と金沢を走る「かがやき」,「はくたか」に加えて,東京と長野を結ぶ「あさま」,富山と金沢を結ぶ「つるぎ」があります。
 この辺りは,私の住む場所からは近く,車で行くことができるので,これもまた全く縁がありません。
●東海道新幹線,山陽新幹線
 私にはなじみがありすぎるので省略しますが,現在,この路線で私が使うのは名古屋と東京間くらいのものです。
 また,山陽新幹線には,新大阪と,後述する九州新幹線の鹿児島中央をむすぶ「みずほ」と「さくら」が走っているのですが,この名前は私にはなじみがありません。
●九州新幹線
 九州は博多までは山陽新幹線で,その先,鹿児島まで熊本など,九州の西側を走るのが2004年に開通した九州新幹線です。「みずほ」「さくら」のほか,九州新幹線区間のみを走る「つばめ」があります。
 なお,途中の新鳥栖から長崎まで西九州新幹線が建設中で,現在は,2022年に開通した武雄温泉,長崎間だけ「かもめ」が運行しています。
 九州もまた,名古屋からは新幹線では時間がかかるので,空路博多や熊本まで行って,レンタカーを借りた方が早く安くです。

 ということで,やっと日本列島を走る新幹線の全貌が理解できたのですが,結局,この中で私が利用するのは名古屋,東京間と,強いていれば,名古屋,京都間の東海道新幹線くらいのもので,それ以外はまったく縁がないことが再確認できました。どこも空路の方が便利です。
 つまり,新幹線網は,北海道新幹線と九州新幹線以外は,どの路線も,東京の人が地方に行くとき,あるいは,その反対にその地方の人が東京に行くときに利用するために作られているのであって,それ以外の人には,鉄道好きならともかく,まったく便利なものではありません。東京に住む人でも,北海道や九州に行くなら空路のほうがずっと便利だと私は思います。
 まあ,いろいろな列車を見るのは楽しいものではあるのですが,だれかが「新幹線は金持ちの乗り物」と言っていたように,新幹線にどれだけ意味があるのだろうか? とあらためて思いました。

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●2023年4月3日にNHKBSPで「アラスカの光と風-星野道夫×大竹英洋・時を超える旅-」が放送されたので,見ました。
 番組の紹介は
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 優しい眼差しの写真と心に響く文章でアラスカの自然を伝え続けた星野道夫さん。その世界に共感し自然写真家になった大竹英洋さんが彼の足跡をたどり壮大な旅に出た。
 星野道夫さんが生涯をかけたトナカイの大移動に遭遇し,ザトウクジラの群れに星野さんが出会ったクジラを発見。倉庫に眠っていたカメラから見つかった遺作フィルムの現像にも成功。
 時を超えて届いた手紙の様な写真を大公開! 今よみがえる星野道夫さんからのメッセージ。
  ・・・・・・
ということでしたが,大竹英洋さんは北アメリカ大陸ノースウッズ地域をフィールドとする自然写真家で,1975年京都府舞鶴市生まれ,一橋大学ワンダーフォーゲル部の出身だそうです。
 大学卒業後に自然写真家のジム・ブランデンバーグ(Jim Brandenburg)に弟子入りしようと北アメリカ大陸ノースウッズに訪れたことから撮影活動をはじめたということです。また,ノースウッズというのはアメリカとカナダの国境付近から北極圏にかけて広がる地域のことで,世界最大の原生林のひとつでもあるこの土地には,カリブーやオオカミ,ホッキョクグマなど様々な野生動物が生息している場所です。
 こういった前提の知識がないと,見はじめたときは自分の感情の置きどろころがなく,どんな内容なのかと少し戸惑いました。そもそも,なぜ今星野道夫さん? と思いましたが,ドンドンと引き込まれ,すばらしい番組でした。
 以前書いたことがありますが,私も一度アラスカ州に行ったことがあって,多くの発見と感動をしました。そのときの想いがよみがえってきました。私にも,もう少しの勇気と才能があったらなあ,とまぶしくもなりました。またいつか再びアラスカの地を踏みたいものです。でも遠い。

●元NHK交響楽団チェロ次席桑田歩さんが2023年4月5日に亡くなりました。57歳でした。
 ここ3年,コロナ禍でNHK交響楽団の公演から遠ざかっていて,近ごろ定期会員に復帰したところ,多くの団員が代わってとても若返っていて驚きました。それ以前にいつも見ていた桑田歩さんも退団されていて,どうしたのだろうと気になっていました。
 ツイッターでは多くの投稿をしていて,今にして思えば,残り少ない命を懸命に生きていたのです。
 3月8日に病を押して出演した演奏会が最後になったようですが,衝撃的だったのは2023年1月4日に演奏をした「鳥の歌」と指揮をしたベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」です。NHK交響楽団をはじめとした多くの演奏家が集まって,渾身の演奏をしたこの公演は,現在,ネット上にアップロードされているのですが,涙なしには見られませんでした。
 以前,早逝した同じくNHK交響楽団首席チェロ奏者だった徳永謙一郎さんが,ホスピスで最後の力を振り絞って「鳥の歌」を演奏した番組を見たことがあるのですが,それと姿がダブりました。
 この演奏会の予告が載っていたときは,どうしてチェロ奏者が指揮を? と私はとまどったのですが,そういう事情だったわけです。返す返す,2023年4月27日に指揮をするはずだったブルックナーの交響曲第8番がかなえられなかったことが残念です。
 ご冥福をお祈りします。

●2023年4月5日,4月6日に行われた第81期将棋名人戦七番勝負の第1局は挑戦者の藤井聡太竜王が先勝しました。
 東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で行われた,渡辺明名人に藤井聡太竜王が挑戦する今期の将棋名人戦は,非常に多くの人の関心を集めていて,多くのメディアでライブ中継をしたり,ニュースを流したりしてしていましたが,いつものごとく,それらは玉石混交で,「かいせつ」もまた,解説から怪説までさまざまでした。
 その中で,ダントツによかったのが,佐藤天彦九段が担当した,現地で行われた解説会でした。このときの様子はYouTubeで見ることができます。
 この対局では,85手目に渡辺明名人が▲7七銀という手を指せなかったことが話題となっていて,単にAIの評価値から多くの無責任な記事や意見が書かれていますが,この手についての真相は,この佐藤天彦九段の解説を聞いてみるのが一番です。以前,AIによる評価値についてこのブログに書きましたが,私は,人間が指せる手と指せない手がある,ということから,それをどうとらえるべきか,そして,どう解説してくれるか,はたまた,人間はAIとどのようにかかわっていくか,というほうがずっと興味があります。無責任な傍観者の脳はコンピュータに支配されていて,失敗しただのやんのやんのと騒いでるのですが,対局者はずっと真剣で,もっと深く読んでいるのです。
 こういうものを見ると,将棋に限らず,それ以外のすべてのことに対しても,どのように報道されているか,そしてまた,それらがいかに適当であるかがわかるというものです。
 また,YouTubeにある毎日新聞の将棋・囲碁ch「名人戦第1局を解説」では,三枚堂達也七段が局後にていねいな解説していたのも秀逸でした。この将棋の終盤で,藤井聡太竜王が△4八金と打って,その後にその金に効いていた角を引いて銀を取ったために,打ったばかりの金を飛車で取られるといった,一見ちょっと不可解な手順を選んだために,寄せを決めそこなっているように解説していたものもあり,実際評価値も下がったのですが,実はそんな簡単なものではなく,凡人には理解できない深い読みの裏づけがあって指し手を進めていたことが解説からわかります。こういう解説を聞くと,対局者がどれほど表面には現れない深い考察をしているのかということを知ることができて,感動を覚えます。解説はこうでなきゃ。

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 2020年2月,かねてから行きたかったハワイ・モロカイ島はぎりぎり間に合いましたが,それ以降,海外旅行に行くことができなくなりました。その代わり,私は,これまで行ったことがなかった国内のさまざまな場所に目を向けるようになりました。
 何事も「塞翁が馬」です。
 私は,それまでとは違って,公共交通機関は飛行機と新幹線以外は一切利用せず,車ばかりで移動をしはじめましたが,今から思うと,非常に快適でした。そもそも,人出が極端に少なかったからです。ひとつ問題があったとすると,博物館などの公的施設が軒並みお休みだったということくらいで,それ以外は不自由もせず,普通なら混雑するような観光地でも,ほとんど人がいなくなって,思う存分現地で歩き回りました。
 私はまったく気にしていなかったのですが,そのうち「Go To Travel」とかいう,今から考えると滑稽な政策ができたり,また,なくなったりして,さらに,今度は,旅行支援が行われるようになって,人が増えました。私は,補助があろうがなかろうが,行きたいときには行くし,行きたくなければ行かないのですが,結果として,ずいぶんと恩恵を受け,国内を安価に旅することができました。

 こうして,次第に,日本国内の旅の仕方を覚えていったのですが,もし,コロナ禍が起きていなかったら,日本を旅する楽しみなど,今でも知らなかったことでしょう。
 ともかく,日本は,なるべく観光客のいかないところを探して,かつ,小さな宿を見つけて,おいしいものを食べ,温泉につかり,あとは,予定も立てずにその場で行きたいと思ったところに行くに限るのです。現地までの行き方は場所にもよりますが,格安航空を利用すると列車よりも早く安く,また,新幹線も,うまく利用すると快適なグリーン車で旅ができることを知りました。そして,現地ではレンタカーを借りるのです。
 そんなこんなで,これから,これまでに行ったところや,これから行きたいと思っているところを書いてみます。つまり,前回の海外編に続く,国内編です。

●北海道
 若いころ,私は北海道が大好きでした。毎年のように夏に出かけていました。
 冬もまた,スキーで大雪山へ行ったこともあるし,その折に函館へ足をのばしました。目的地はトラピスチヌ修道院だったのですが,公共交通機関がストライキとかでまったくなく,雪の中を歩いて,寒さの中,やっと見つけた喫茶店の暖かかった思い出だけが残っていて,トラピスチヌ修道院がどういうところだったのかはまったく記憶にありません。
 その後はしばらく足が遠のいていて,2020年に久しぶりに行きました。そのときの目的はネオワイズ彗星の写真を撮る,だけだったのですが,そのために,留萌から稚内まで車で走りました。ちょうどコロナ禍で,しかし,北海道は楽しくて,こりゃいいわ,と思ったことが思い出です。
 そんなわけで,私は,北海道は行きつくしているので,今,特にわざわざ行きたいとは思わないのですが,考えてみると,札幌の雪まつりとか知床の流氷は見たことがありません。しかし,寒いだろう,とか,人が多いだろう,とかいう否定的な気持ちが先にあるので,当分は行くこともありますまい。人混みが気にならなかった若いころに一度は行ってみてもよかったのかな,と今では思います。
  ・・
●東北
 今,東北はマイブームです。
 若いころ,東北1周の旅をしたことがあるのと,今は亡き藤井旭さんに感化されて,浄土平に行ったこと,また,仕事で盛岡に行って,そのついでに下北半島を1周ドライブしたことがあって,これまではそれでわかった気になっていました。
 歳をとって,なぜか気になるようになって,東京へ行った折に,花巻や大内宿に行って,虜になりました。その後,これまでほとんど知らなかった山形に1度行ってみようと旅だったのですが,ここもまた,大好きになりました。
 東北は広く,また行きたいと思うところばかりです。たとえば,青森の津軽,秋田の由利本荘,山形の酒井などですが,飛行機で行ってレンタカーを借りるだけなので,これからときどき東北旅行を楽しみたいと思っています。たくさん温泉があるのもまたすてきな話です。
 冬の青森で走るストーブ列車に乗ってみたいとも思うのですが,観光客だらけだろうから,二の足を踏んでいます。きっと行かないだろうな。
  ・・
●関東
 関東といっても,東京はよく行くのに,それ以外の場所は意外と知りません。茨城なんてこの2月に行ってみるまではまったくもってさっぱりでした。そこで,今後は,東京から少し離れた関東を順に旅する計画をしています。たとえば,房総半島1周,とか,三浦半島1周とか,栃木も日光に行ったくらいでほとんど無知です。
 ただし,東京に近いところは観光客が多く,なんとかそれをかいくぐって,私好みの静かな安宿に泊まってきままに旅をするノーハウが,私には未だもって確立できていません。

 以下,次回。


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
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 今から10年ほど前の私は,アメリカ合衆国50州制覇という夢を追い求めていました。それを成し遂げてからは,オセアニアやヨーロッパを旅するようになりましたが,アメリカに関しては,次に考えたのが,ハワイ6島制覇でした。そして,年に1度はハワイに行くようになって,残るは,モロカイ島とラナイ島だけになりました。新型コロナウィルスの影が忍び寄ってきた2020年2月についに,かねてから行きたかったモロカイ島に行くことにして旅立ちましたが,これが,これまでで最後の海外旅行となっています。
 現在は,そんな状況です。
 今日は,もし,コロナ禍が起きていなかったら,私はどこを旅していただろうか? そして,コロナ禍も収まりつつある今,この先,新型コロナウィルスが世界を震撼させなかったら旅するはずだったところに,今もまだ行きたいのかを自問自答してみます。

●チェコ・プラハ
 私が,今,一番行ってみたいと思っているのは,チェコの首都プラハです。
 オーストリアのウィーンに行くまで,チェコのプラハへ行きたいと思ったことはありませんでした。そもそも,私の若いころは,ソビエト連邦の鉄のカーテンが重くのしかかり,オーストリアは身近かであっても,当時,チェコスロバキアといわれたこの国はずいぶんと遠いところだという印象しかありませんでした。しかし,オーストリアへ行ったとき,チェコはそのお隣だということを実感しました。
 プラハといえば,この名前の交響曲を書いたのがモーツアルト。そして,チェコはドボルザーとスメタナのふるさとなのです。そこで,実際に行って,この町の,この国の空気を直に感じたい,そう思うようになってきました。
 コロナ禍以前は,ウィーンに行って,そこから列車でプラハに行こうと思っていましたが,今は,直接プラハに行って,いろんなところをめぐりたいものだという想いが強くなってきています。チェコはEUですが,通貨はユーロではありません。これが少しめんどうなのですが,そんなこと知っちゃこちゃないと,同じくユーロでないアイスランドには何のためらいもなく行ったこともあるので,大した問題でもありますまい。絶対行くぞ! プラハ。
  ・・
●オーストリア・インスブルックなど
 オーストリアはすばらしいです。ウィーンには2度行ったことがあるのですが,その折に,1度目はザルツブルグ,2度目はハルシュタットにまで足を延ばすことができました。そのときのすばらしさは忘れがたいものです。
 オーストリアは広い国ではありませんが,まだまだいきたいところが山ほどあります。オーストリアの隅々まで旅をしてみたいと,今はそう思っています。
  ・・
●オーストラリア・パースなど
 まぎらわしいのですが,これから書くのは,オーストリアでなくオースト「ラ」リアです。
 オーストラリアといえば,私には南半球の星空を見るために行くというのがいつもの目的でした。これまで常宿にしていたバランディーンのゲストハウスで星見をしようと何度も行ったのですが,そのついでに,ほかの場所に寄ることを考えていました。その候補としてあったのが,アデレードや,メルボルンからキャンベラまでドライブで,行く計画も立てていました。
 今にして思うに,私は「バランディーンの呪縛」から逃れられていなかったのです。
 しかし,よくよく考えてみると,オーストラリアは広いのです。だから,西側のパースとか,北側のダーウィンなど,まだまだ知らないところがたくさんあるのです。とはいえ,何となく,行っていなくてもそこがどういうところなのかがわかるのです。要するに,オーストラリアはいい国だけど,どこに行っても,私にはそれほど魅力的ではないのです。
 あこがれだった南半球の星空だったのですが,何度も見た今となってはあまり興味がなくなってしまいました。だから,また行こうという想いは今は低いです。
  ・・
●ニュージーランド・ダニーデンなど
 ニュージーランドはとてもすてきな国です。何といっても自然が美しいのです。少し遠いのですが,身近かに感じられる国で,気ままに旅をすることができます。国土は日本くらいの面積ですが,なにせ,日本より格段と人が少なく,ゆったりと滞在できます。
 どういうわけか,私には北島は興味がなく,行くとしたらまた南島ですが,最も行きたかったテカポ湖やミルフォードサウンドにはすでに行ったし,もう,あまり行きたいと思う場所が残っていません。それでも,また,行ってみたいです。これまで行っていないのは,南島の一部分だけなので,ダニーデンだけでなく,時間をとって,一度は南島を一周してみたいなあと思っています。
 日本とは四季が反対なので,うまく時期を選ぶといい旅ができそうです。また,日本と同じく車は左側通行なので,ドライブするにも楽しいところです。
  ・・
●ハワイ・ラナイ島
 ハワイが好きな日本人はたくさんいます。私はハワイなんて東京と同じさ,とずっと毛嫌いしていましたが,やたらと多くの日本人がいるのはホノルルをはじめとしたオアフ島だけだと知って以来,マウイ島を除いて,ハワイ島,カウアイ島,マウイ島には知らないところがないほど何度も行って,ハワイを堪能しました。そして,行きつくしました。
 ハワイの楽しみは,ビーチで1日何もせず過ごす,というものもあるのですが,私はそれを楽しいと思わないのでだめです。ハワイは向いていないのです。
 今日のはじめに書いた6島制覇の夢は,モロカイ島,ラナイ島が残っていたのですが,2020年2月にモロカイ島には行ったので,残すはラナイ島だけなのです。しかし,ラナイ島は何もないモロカイ島とは違って,島全体がリゾートで,ホテルも高く,私向きではありません。だから,もし行くとすれば,マウイ島から日帰りで往復できればそれでいいわけです。そういう機会は以前にあったので,そのときに行っておけばよかった,と少しだけ後悔しています。もし,コロナ禍が起きていなければ,行っていたと思うのですが…。しかし,今となっては,ハワイは,もう,どうでもよくなりました。
 私は,ハワイは卒業しました。ハワイに行く人をうらやましいとも思いません。
  ・・
●アメリカ本土
 アメリカ本土もまた,卒業しました。
 今,自問自答をしても,アメリカへ行きたいとは思わなくなってしまったのです。自分でもそれが悲しいです。
 コロナワクチンを何度接種しても全く副反応もなく,風邪さえひとつひかず,花粉症にもまったく縁のない私ですが,唯一の持病であった「アメリカ行きたい病」が完治しまったことだけが,私の,新型コロナウィルス最大の副反応だったのでしょう。あれほど行きかったのに,自分でも不思議です。
 あえて行こうとすれば,まだ行っていない国立公園が数か所と,66歳にやろうと思っていたルート66完走。そして,最後に,ニューヨークで,まだ見ていないフェルメールの6作品を見てみたいというくらいです。と,ここまで書いていて,2024年4月8日にアメリカ大陸横断皆既日食があることを思い出しました。もっとも晴れそうなのはテキサス州です。さて,どうするか。
 ということなのですが,それ以上に頭を悩ませているのが,DELTAのマイレッジ。ものすごくたくさんあるのです。これをどのように使うべきか? 実は,このことが今の私の最大難問なのです。


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 私の大好きなおやつはたい焼きです。お昼過ぎに小腹がが空くと,ふらふらと外出して,つい,たい焼きを買ってきてしまいます。夕食までのしばしの時間を満たすのには絶好の食べ物です。
 我が家の近くには,たい焼き屋さんが結構多くあるので,その違いを味わうのも,また,楽しいものです。

 買い食い文化が発達したのは江戸時代からだそうですが,そのころにはさすがにたい焼きはなかったようです。
 たい焼きは今川焼きから派生した食べ物であるとされ,明治時代に鋳物の型を使って作られたのがはじまりという説があります。また,どこの店がはじまりかという点に関しては,1909年に創業した麻布十番にある「浪花家」の考案説がありますが,それ以前からもたい焼き屋が存在していたという話もあって,定かではないそうです。
 いずれにしても,庶民のおやつとして誕生したたい焼きは当時から人気がありました。東京に暮らした多くの文豪も,作中にたい焼きを登場させています。
  ・・・・・・
 この次第で,露店の間(あわい)は,どうして八尺が五尺も無い。蒟蒻,蒲鉾、八ツ頭,おでん屋の鍋の中,混雑(ごたごた)と込合って,食物店(たべものみせ)は,お馴染のぶっ切飴,今川焼,江戸前取り立ての魚焼,と名告を上げると,目の下八寸の鯛焼と銘を打つ。真似はせずとも可いい事を,鱗焼は気味が悪い。
  泉鏡花「露肆」(ろし)
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 間もなく夜店出しを止めることにした。その時の想いが直接の原因だった。もう一つには,同業の者を観察して,つく/″\嫌気がさしていた。鯛焼饅頭屋は二十年,鯛焼を焼いている。一銭天婦羅屋は十五年,牛蒡,蓮根,コンニャクの天婦羅を揚げている。鯛焼が自分か,自分が鯛焼か,天婦羅が自分か自分が天婦羅か,火種や油の加減をみるのに魂が乗り移ってしまう程の根気のよさよりも,左様に一生うだつの上りそうにもない彼等の不甲斐無さが先ず眼につくのだった。
  織田作之助「俗臭」(ぞくしゅう)
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 いいお天気なのに道が悪い。昼から隣にかもじ屋さんが店を出した。場銭が二銭上ったと云ってこぼしていた。昼はうどんを二杯たべる。(十六銭也)学生が,一人で五ツも品物を買って行ってくれた。今日は早くしまって芝へ仕入れに行って来ようと思う。帰りに鯛焼を十銭買った。
  林芙美子「放浪記」
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 がらんとした家に待つのは智恵子,粘土,及び木片こつぱ, ふところの鯛焼はまだほのかに熱い,つぶれる。  昭和六・三
  高村光太郎「智恵子抄」
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 詩人であり評論家であった吉本隆明は,高村光太郎の一文から,たい焼きを「男のせつなさの象徴」ととらえています。

 たい焼きの「焼き型」には,1匹ずつ焼き上げる一丁焼きと,鉄板などで複数匹を一度に焼き上げる2種類があって,前者で焼いたたい焼きを「天然もの」,後者で焼いたたい焼きを「養殖もの」などとよんで,その道の「ツウ」は区別,いや,差別していたりするのですが,手間がかかり2キログラムを超える鋳物の焼き型をひとつずつ返すために体力が必要な一丁焼きは減少を続けています。
 「天然もの」と「養殖もの」は焼き方の違いにより,皮の焼き上がりが異なり,火の通り方によって味も違うわけですが,やはり何ものも「養殖もの」は「天然もの」には勝てず,「天然もの」は高温で焼くために皮がカリッっとした味で,いわゆる「ホンモノ」なのだそうです。はじめカリッとした舌ざわりののち,餡のいっぱい詰まった中身に到達したときのときめきは最高の幸せに通じます。
 たかがたい焼き,されどたい焼き。こだわりはじめると,きりがありませんが,優雅な日常を幸せにすごすには,これもまた,ささやかな贅沢だったりします。

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 2020年3月,世界中が新型コロナウィルスの猛威に見舞われました。そして,人々のくらしが一変しました。そして,3年が過ぎました。
 今まで風邪ひとつひいたことのない私は,そのようなことにはまったく関係なく,いたって元気で,ずっと,ほとんど変わらない生活を続けているのですが,それでも,気軽に海外旅行ができなくなったのには,すでに予約をしてあった旅行をキャンセルするなど,はじめのころは多忙を極めました。
 といっても,自分でも信じられないのですが,世界中の1度は行ってみたいものだと思い続けていたのに長年行くことができなかったところに,2018年と2019年,そして,2020年の2月までに,何を思ったのか1年に6回も7回もせっせと旅をして,そのほとんどに行ってしまっていたので,そのころは,行きたくても行っていないというところは本当になくなっていました。
 そのコロナ禍も予想を1年越えたところで終焉を迎えそうな感じだし,この春,期限が切れてしまっていたのにそのままにしておいたパスポートを新しく作ったこともあるので,また,これから新しい1歩を踏み出そうと,いろいろ行動を開始しました。
 そこで,そんな3年間を振り返って,これらかどうするかを考えてみることにします。

 まず,私は,新型コロナウィルスが世界を襲ったのがもうわずかでも早かったら,と考えるとぞっとしました。
 たとえば,そのひとつに,パロマ天文台があります。私は,子供のころ,当時世界最大といわれたカリフォルニア州にあるパロマ天文台の口径5メートル望遠鏡を知って,それ以来,ひと目見たいものだと思い続けていました。それはかなわぬ夢だとも思っていました。しかし,思い立って,2018年に思い切って行ってみることにしたのです。
 何十年ぶりかで出かけたロサンゼルスでしたが,そのころは旅慣れていたので,東京へ出かけるような感じでした。ところが,年中無休とあったパロマ天文台の見学コースが,私が行った日に限って,駐車場の工事とかで臨時に休館していたのには失望しました。ただし,そのときは,もうひとつ行きたかったウィルソン山天文台が特別公開の日で,期せずして,ウィルソン山天文台を隅から隅まで,普段は見ることができないところまで見学することがきました。
 しかし,パロマ天文台を見たい。その夢をあきらめきれず,その翌年にも再び行くことにして,また,出かけました。そして今度は,通常の見学コースである,望遠鏡をガラス越しに見るのではなく,週末だけやっていた見学会に参加して,望遠鏡を真近に見ることができました。さらに,エンジェルスタジアムにも寄って大谷翔平選手まで見ることができました。
 これが一例です。
 このように,2018年から2019年にかけて,パロマ天文台だけでなく,それ以外にも,自分が望んでいた以上のすばらしいことが次々と起きていたのですが,もし,もう1年早く2019年にコロナ禍になっていたら,と思うと,自分の幸運さと運の強さに感謝せざるを得ません。
  ・・
 また,その反対に,もし,2020年3月にコロナ禍が起きておらず,今もそれ以前の世界のままだったら,その後の私はどんな旅をしていたのだろうか,と考えることもあります。
 そのときは,おそらく,ある意味,別に行きたくもなかったのに,無理やり行くところ探し出して旅行をしていたのだろうか,と思ったりもします。それはそれで,おそらく,多くのおもしろい経験をしたことだとは思うのですが,その反対に,コロナ禍が起きて海外旅行をすることが難しくなったおかげで,この3年間,もしそうでなかったら行くこともなかっただろうさまざまなところに足を運ぶことができたのも,また,とても幸運なことでした。それがどういったところだったのかは,これから書いていくことにしましょう。
 本当に,物事すべては「塞翁が馬」です。そのときそのときで,最善の選択というもはあるものです。

 いずれにしても,この3年間,修学旅行や卒業旅行に行くことができなかった生徒や学生は気の毒です。そしてまた,退職後に旅をすることを夢見ていた人もそれができなくなって気の毒な限りです。
 3年という月日は,その時間にしかできないことがあった人には,まさに,貴重な時間でした。
 また,私の両親は,2017年と2018年に相次いで亡くなりましたが,もし,あと3年存命だったら,それはそれでとてもたいへんだったことでしょう。
 その意味で,人の一生というのは,何かが起きたときに自分がそのときにどんな状況であるかによって,ずいぶんと異なるものです。私は,いろいろと運に恵まれました。

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 若いころから,朝起きると,テレビのニュースを見るか新聞を読むかから1日がはじまっていました。しかし,テレビのニュースも見なくなり,新聞を購読することもやめた今は,優雅で,まるで旅行に出ているような気分になることに,改めて驚きました。
 新聞をやめた人は多いそうですが,それでも,その代わり,テレビやネットでニュースを見ているようなので,それであれば,これまでと何ら変わることもありませんし,情報を遮断したことにはなりません。そもそも,私には,さも訳知り顔で,適当な取材をしてきただけのその道の素人である記者が流すニュースや,本音は売名行為なのに,専門家と称して自説を語っているだけの解説者,いや,怪説者などからの情報を得たところで,百害あって一利もありません。さらに,ネットのニュースで,最もうざったいのが無責任なコメントであって,それはYouTubeなどでも同じです。
 私が知りたいのは事実だけ。特に,天気予報は,知っていないとまずい情報なのですが,それもまた,天気図とここ数日の天気予報だけ十分なのに,明日は寒いから服を1枚余分に着たほうがいいとか,あまりにおせっかいが多すぎるし,全く当たらない1週間後の予報など,知らないほうがましです。本当に日本は幼稚園のようです。うるさすぎます。事実からあとは自分で判断するからおせっかいは必要がないのです。

 そんなわけで,情報を遮断したことで,静かな1日がはじまるのです。
 私は午前4時45分に起床します。私は朝はめっぽう強いのです。まず,カーテンを開け,クラシック音楽を流しながら朝食の準備をし,朝食をとったり,それから何やらしたりすると1時間が過ぎます。
 その後は,頼まれ仕事で外出するときは午前6時に家を出ます。早く家を出るのは,道路が空いているからです。早めに目的地に到着するので時間がたっぷりあって,それから読書をしたり,ラジオのドイツ語講座を聞いたり,仕事の準備をしたり,という感じです。
 何も予定がないときは,雨さえ降っていなければ,カメラをお供に散歩に出かけます。
 散歩をする時間は,日の出前後がいいのです。何といっても,空が美しい。この時間は,早朝も夕方も,つまり,「かたわれどき」も「かわたれどき」も,ともに,自然が最も美しい時間だと思っています。晴れていれば気持ちがいいですが,雲があっても,その雲が昇ったばかりの太陽の光で赤く染まります。木々は太陽の光を反射して,ドキッとする姿を見せます。やがて,太陽が昇りきってしまうと,それまでの幻想的な姿はすっかりなくなってしまう日常に戻ります。
 このように,何事も,何かがはじまる前がすばらしいのです。

 と書いていて,思い出したことがありました。
 それは,例えば,野球の応援をしていて,打者がボールを打った後で,もっと飛べもっと飛べといくら応援したところで,多少は風の影響があるにせよ,そのほとんどは,バットがボールをはじいたときがすべてであって,その後は何も変わらないということです。
  ・・
 それにしても,ニュースは,私がどれほど遮断してもいくらで聞こえてくるもので,私が昨日知ったのは,「出生数,初の80万人割れ確実に」というものでした。
 以前にも書いたことがありますが,ニュースを流したあとで,いまさらいろいろと解説をしても何の意味もないのです。もっと以前から推測できたことなら,そのころに問題定義をするべきだったのです。起きてしまったあとで騒いだところで手遅れです。また,いつものように,こういったニュースの常として,街頭インタビューなるものを流すのですが,それもまた,多く収録したインタビューの中から報道する側が意図した回答だけを取り上げ,あとはボツにして編集しているから,それもまた,世論を反映しているものではありません。そこにはすべて編集する側の何らかの意図が存在しているのです。

 水は高いところから低いところに流れるわけで,いくら政府が禁止したところで,本当に便利なことはなくなりません。それと同じように,生きていて楽しいと大人が思えれば自然と出生率は上がります。そうでなければ,いくらお金だけを配ったところで子供は増えません。それにしても,子供が減ると年金が減ったり福祉行政が行き詰まる,などという意見は,生まれてくる子供のことを考えているわけでもなく,要するに,大人の自分の都合にすぎないものです。
 いろいろな国を旅した私が,こういうニュースを聞いたとき思い出すのは,公共交通機関はベビーカー優先で,母親はベビーカーをもったまま席に座れるようなつくりになっていたウィーンの鉄道や,多くの若い夫婦がベビーカーを引きながら幸せそうに歩いていたヘルシンキの街の姿です。それに比べたら,日本は…。
 【今の日本では】「子育ては罰ゲームだ」といわれています。こういうことを書くと子育てはすばらしいとかいって反論する人がいるわけですが,それは論点が違っていて,「子育てが罰ゲーム」なのではなくて,【今の日本では】ということです。
 前日,私のまわりで,子供が生まれた,というような人が少なからずいたのですが,率直にいって,今【この国で】子供を作るなんて,なんとまあ,奇特な人だこと,と私は思いました。この先,預けようにも保育園がなく,学校に入学すれば,教員になりたい人もいなくなってしまった時代遅れの教育やらドリルをやるだけの塾やらユニフォーム代がめちゃくちゃ高いブカツたら何やらと教育にやたらとお金がかかり,新興宗教が母体で自浄能力もなく親から受けついだ地盤で当選しただけのような世間知らずで庶民の苦労も知らない人が構成する政府にムダ使いだらけの税金をたらふく取られ,女性が,たとえ優秀な成績で学校を卒業して社会に出ても,世界でも有数の男女不平等な国では夢も希望もない。生まれた子供の身になってみれば,将来,老人だらけのめちゃくちゃ大変な世界にほおりだされるわけです。
 そもそも,私がその身だったら,今【この国で】子供なんてやりたくありません。古きよき夢いっぱいだった時代に青春をおくりバブル経済期に無駄遣いをしなかったおかげで結果的に貯蓄が増え,今やりたいことをやっている「不良老人」の私には天国ですけれど。

無題


◇◇◇

☆☆☆
木星と金星の大接近。

3月1日の夕方。薄雲があります。
3月2日まで近づいていきます。 DSC_1225s


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 ここ10年近く,毎年,年に4回から8回海外旅行をしていたので,パスポートのスタンプがほぼいっぱいになりつつありました。近ごろは出国と入国が機械化されてスタンプが不要になっていたのですが,パスポートがスタンプで一杯になることを夢見ていたので,あえて,スタンプを押してもらっていました。あと2年でその夢が実現すると皮算用をしていたときにコロナ禍になってしまい,海外旅行ができなくなって,その夢は,残念ながら実現しませんでした。そして,私のパスポートの有効期限が2022年の3月で切れてしまいました。
 短時間ならともかく,10時間近くの間,マスクをして過ごす気にもならないので,国際線には乗る気もしなかったから,また海外旅行に出かけることがあるのかな? もうないのかな? と思って,しばらく新しいパスポートを作らずにいたのですが,国際線の機内でマスクが不要になりそうだという話を聞いて,再び,海外旅行に行きたくなってきたので,このたび,新しいパスポートを手に入れることにしました。
 しかし,新たに10年パスポートを作ったところで,私の寿命が10年あるのかどうかもわかりません。ついにそんな齢になってしまいましたが,人生一度っきり,そんな後ろ向きな話をしても何の意味もないので,ずっと前向きに生きようと,10年パスポートを申請しました。そこで,今回,新しいパスポートの申請を機に,車も新しくなったし,引っ越しをして住むところも新しくなったし,ちょうどいい機会なので,海外旅行にとどまらず,今後の10年計画を立てることにしました。

 断捨離をしたおかげで,身の回りに必要のないものがすべてなくなりました。それを機に,さらに,いろいろなことを見直して,精神的にも断捨離をすることにしました。
 まず,やったのは,情報をすべて遮断することです。すでに,以前からテレビやネットのニュースはまったく見ないようにしていたので,私の唯一の情報源は新聞でした。しかし,新聞の定期購読も辞めることにしました。それは,内容がとてもつまらないというのが理由でした。新聞の定期購読を辞めるにあたって,まず,この1か月,本当に自分に新聞が必要なのかどうかを考えながら読んでいましたが,その結果,やはり,必要がないという結論になりました。
 次に,FODなどのサブスクもやめました。一時,FODで,主に民放のテレビドラマをずいぶん見ていて,このブログにもいろいろなことを書いていたのですが,何シーズンかそういったことをした結果,いつもワンパターンで,完全に飽きてしまいました。また,FODでは動画だけでなく,多くの雑誌も読むことができたので,しばらくはそれを重宝していたのですが,その内容がすべてあまりにくだらないので,そんなものを読む価値はないと思うように,というよりも,嫌悪感をいだくようになりました。
 そのような生活をはじめたら,毎日,とても多くの時間が生まれました。こころも落ち着きました。時間が静かに流れていくのです。これには驚きました。つまり,これまで,どうでもいいことに多くの時間を消費し,しかも,こころが乱れていたわけです。

 さて,パスポートが手に入り,これで,また,海外旅行にも出かけられるので,急がず,慌てず,旅行の計画を立てていこうと思っているのですが,その前に,ここしばらくは,まだ,国内の,これまで行ったことのないところに行ってみようと考えています。今がラストチャンス。いつかは1度は行ってみたいと思ってはいても行くことができなかった多くの場所は,今行かねば,もう,行く機会は訪れないと思うようになりました。
 果たして,この10年間で,何ができるのか? どこに行くか? 今はそれがとても楽しみです。

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☆☆☆
金星と海王星の大接近。

2月15日の夕方。
沈む直前の西の空です。DSC_1069an


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☆☆☆☆☆☆
  ・・・・・・
 私の「はじまり」は,旅と音楽と星。これだけで十分です。
  ・・・・・・
と書いた2023年は,ZTF彗星ではじまりました。しばらく星見に行っていなかったことと寒さでためらっていたのですが,私のポリシーは「人生において人はしなかったことだけを後悔する」なので,出かけて写真を撮ることができてホッとしました。
 星見というもの好きな趣味は,「月刊天文ガイド」を創刊された1965年のころから読んでいた,今は65歳から75歳くらいの人たちが若かったころにはじめたもので,昨年末になくなった藤井旭さんによる天体写真の撮影と,彗星を7個発見した池谷薫さんの影響による新天体の発見,というふたつの柱で夢中になったものです。
 こんな趣味は,いまや絶滅危惧種です。それはどうしてかというと,やたらとお金がかかるわりに,自然条件に左右され過ぎる,ということと,それにも増して,自然が破壊され,夜空には人工の光が満ち満ちて星自体がほとんど見えなくなった,ということにあります。そんな現状なのに,未だにこの趣味をやっている人は,高額な望遠鏡を購入するとか,コンピュータによる画像処理に凝るとか,ひとそれぞれです。いずれにせよ,人の欲望は限りがないわけで,もっときれいな写真が撮りたい,とか,できるだけ多くの新しい天体を発見したい,とか,海外に出かけて,日本では見られない天体現象を見たい,というように,エスカレートしていったわけです。
 そこで,天体写真1枚写すのに,いくら使ったと考えると,ぞっとします。また,そもそも,晴れなければどうにもならないわけだから,これほどコストパフォーマンスの悪い趣味はないのです。
 しかし,その一方で,美しい星空を一度は見てみたい,という希望は多くの人にあるようで,そうしたイベントやツアーが数多く行われていたり,また,惑星を望遠鏡で見てみたい,という人も少なくなく,天文台で観測会が行われていたりします。しかし,そういった人たちは,一度見ればそれで十分満足してしまい,その次に発展するような余地もありません。

 では,私にとっての星見というのは,どんなものなのでしょう。
 私は,日ごろ,ほとんど星の見えないところに住んでいたから,まずは,満天の星を見てみたいという想いからはじまり,それがかなったら,今度は,いつかは皆既日食が見たい,とか,南十字星が見たい,とか,オーロラを見てみたいとなったのですが,そのすべてを達成したら,もう,そういう夢はなくなりました。
 しかし,その後,高額な機材を買うとか,田舎に天体観測所をつくるとか,幸い,そういうことには興味がなく,星を見るということよりも,そうした場所にでかける,その雰囲気が好きだった,ということに気づいたわけです。
 今日の1番目の写真は,生まれてはじめてニュージーランドに行ったとき,なんとか南十字星とマゼラン雲を見てみたいと思ったのですが,ニュージーランドであってもやはり都会は空が明るく,ではどこに行けばそれができるかも皆目わからないまま,当てもなく,クライストチャーチの郊外に出かけ,なんとか高台を見つけて写したものです。その場所は空もそれほど暗くはなく,条件もよくなかったのですが,それでも,生まれてはじめて見たマゼラン雲には感動しました。だから,この写真は私の宝物だし,私には,この写真が一番印象に残っているのです。
 また,2番目の写真は,オーストラリアでの,まさに満天の星ですが,ろうそくの明かりすらないような真っ暗な大地で見た星空に勝るものはありませんでした。
 このような条件のよい場所は日本にはありませんが,今の私には,深夜,だれもいない高台で,ひとり星空と会話する,とか,日が暮れたあとや太陽が昇るまえの「かたわれどき」と「かわたれどき」の美しさを味わうことが最高の楽しみなのです。なので,星の見える夜は,いつも,そんな気持ちを味わっていたい,それだけです。

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