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NHKBSで放送がはじまった「舟を編む〜私,辞書つくります〜」がおもしろいです。
あらすじは
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元読者モデルで出版社編集部員の岸辺みどり。担当していたファッション誌の廃刊が決まり,突然辞書編集部への異動を言い渡されてしまう。みどりを待ち受けていたのは,超まじめな上司・馬締光也をはじめとする,クセの強いメンバーたち。
彼らは一冊の辞書「大渡海」編さんのために,並々ならぬ情熱と十数年にわたる歳月をかけていた。
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というものです。
「舟を編む」は三浦しをんさんの原作で,2011年に単行本が発売されました。そして,その2年後に映画化もされて,私は,当時,原作も読んだし,映画もみました。
原作とそれに基づく映画は
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「玄武書房」の社員たちが,「大渡海」という広辞苑レベルの中型事典の編纂にかけた10年以上もの作業と,その間に起こった人間模様を描く。
大学院で言語学を学んだがコミュニケーション能力ゼロの若手社員馬締光也が,辞書作りを通して,コミュニケーションの大切さを知り,体現していく。
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というもので
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時は1995年。「玄武書房」の辞書編集部では,編集者の荒木が,定年と妻の病気を理由に部署を去ろうとしていた。荒木に代わる編集者として見つけたのが,大学院で言語学を学んだオタク風のコミュニケーション力など皆無の馬締。馬締に「右という言葉を説明してみろ」と言うと、ぼそぼそと「西を向いたとき北に当たる方」と答える。彼の言語感覚に感心して,馬締を辞書編集部に引き抜く。
それから13年後,ファッション誌の編集部にいた岸辺みどりという若い編集者も加わり,翌年の3月に決定した「大渡海」の出版は,最後の確認作業に学生アルバイトもたくさん雇ってごった返していた。
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という内容だったので,今回のドラマは,主人公を岸辺みどりとして,原作からちょうど13年後の姿を描こうとしているのかもしれません。
はじまったばかりなので,ドラマがどのように進展していくかは知りませんが,第1回の放送で私が興味をもったのが,「なんて」という言葉でした。ドラマでは,岸辺みどりが「なんて」の意味を悟る場面で三省堂の「大辞林」の解説が効果的に使われていました。
私は,手元にあった三省堂の「新明確国語辞典」と,もっとも信頼している岩波書店の「国語辞典」を引いてみたのですが,何も書いていない,というほど,内容に乏しいもので,がっかりしました。
これでは埒が明かないので「ChatGPT」に聞いてみましたが,これがすばらしいものでした。そこで,さらに,「ChatGPT」にいくつかの文章を英訳してもらうことにしました。これもまた,すばらしいものでした。もう辞書「なんて」いらないなあ,と思いました。
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実は,私は,これまで,「新解さんの謎」をきっかけとして,国語辞典にはかなり興味をもっていて,こだわりもあったのですが,この13年という月日は,それを変えてしまったようです。つまり,辞書「なんて」引かなくても「ChatGPT」に聞いたほうが早く,かつ,おもしろいのです。
今の時代,スマートフォンの普及で,一時,一眼レフカメラの存続が危ぶまれました。今は,それぞれの役割分担が次第にわかってきて,何とか共存をしているようです。また,将棋AIが開発されたことで,将棋界は,はじめは不正疑惑などもあって迷走をしていたのですが,藤井聡太という新星が現れたこととと相まって,それをうまく活用することで,あらたな顧客を生み,今のところ,とりあえずは共存に成功しています。
また,昔は,どの家庭にも百科事典というものが存在していましたが,今や,死滅してしまいました。辞書はそれとは若干異なるものでしょうが,それでも,多くの人にとっては,辞書もまた,同じでしょう。
辞書の在り方を真剣に考えないと,今後は,百科事典と同じく,死滅の道をたどることになるのかもしれません。私は,そのことの方に興味があります。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは