☆☆☆☆☆☆
12月の満月は「コールドムーン」。とはいえ,暖かい年の瀬です。
月を見ていて思い出すのは,JAXAが2023年9月7日に打ち上げた無人月面探査機・着陸機「スリム」(SLIM=Smart Lander for Investigating Moon)です。
高さ約2.4メートル,燃料を除いた重さは約200キログラムの小さな「スリム」は,H-IIAロケット47号機で鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられました。画像照合航法を利用して月面のクレーターを認識し,「かぐや」が収集した情報を活用しながら現在地を特定し,誤差100メートルを目標に「神酒の海」(Mare Nectaris)付近の「しおり」(Shioli)と名づけられたクレーター近傍への着陸をめざしています。成功すれば日本初の月面着陸機となります。
当初は2018年度にイプシロンロケットで打ち上げる計画が示されたのですが,2019年度の打ち上げに変更されました。しかし,2016年のX線天文衛星「ひとみ」の喪失事故によって,再び変更されて,2021年にH-IIAロケットで打ち上げ予定のX線分光撮像衛星「クリズム」(XRISM=X-Ray Imaging and Spectroscopy Mission)との相乗りで打ち上げられることになったのですが,今度は,「クリズム」の開発が難航して,2023年の前半に再変更されました。
しかし,H3ロケットの打ち上げに失敗した影響からさらに延期され,8月26日に打ち上げ日が設定されたものの,天候の悪化で28日へと延期されたのですが,この日も強風のため打ち上げが中止となり,9月7日にようやく打ち上げられました。
打ち上げ後は順調で,9月14日に地球周回運用期間に移行し,10月4日には地球を公転する月の重力を利用して軌道を変更する月スイングバイを実施し,12月25日に月周回軌道への投入に成功しました。
現在のところ,2024年1月20日午前0時ごろに,月の高度15キロメートルから降下を開始し,約20分後に着陸をめざしています。
・・・・・・
「スリム」にはLEV-1,LEV-2の2機の月面探査ロボットが搭載されています。
LEV-1は, 月面をジャンプするように移動する月面探査ロボットで,2台の広角カメラを搭載し,直接地球にデータを送信することができます。また,LEV-2は,変形機構や動物の動きなどの玩具技術を応用した小型月面探査ロボットで,2台の広角カメラを搭載し,LEV-1を経由してデータを地球に送信します。
・・・・・・
成功するといいなあと思います。
ところで,着陸地点は,アポロ11号が1969年7月20日に月に着陸した「静かの海」(Mare Tranquillitatis)に近く,私は,このことのほうに想いがあります。1969年といえば,早いもので,今から54年も前のことになります。 アポロ17号が1972年12月19日に月に着陸して以来,人類は月の地を踏んでいませんが,アメリカは,2025年に再び人類を月に送ろうとしています。
◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは