しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

カテゴリ:日本国内 > 北海道

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 これまで,「何かがちょっと違う」として,北海道と外国の写真を混在させて載せてきました。
 ここで正解を書くと,どれも,1番目と3番目の写真が北海道で写したもの,そして,2番目と4番目が外国で写したものです。
 外国といっても,アメリカ,オーストラリア,ヨーロッパなど,さまざななところで写したものが混在しています。
 結局,すべてに共通しているのは,日本は国土の狭さに比べて人が多すぎること,そして,地形が複雑で,道路ひとつ作るのにもお金がかかること,さらに,もともとお金がかかるのに,どう工夫すればなるべく安く,しかも,安全で,かつ,美しい景観が保てるのかという知恵がなさすぎるということです。
 たとえば,オーストラリアやニュージーランドでは,都会を除いて,道路のほとんどは片側1車線ですが,数キロメートルおきに必ず追い越し帯が設けられていますし,風光明媚なところには展望台があって,路上駐車することなく風景を楽しめるようになっています。

 おそらく,そうしたことの根底にあるのは,人は楽しんで生きるものだという姿勢があるかないかということなのでしょう。
 景色のよい場所に道路があれば,車を停めてその景色を見たいというのは人間の本能です。しかし,日本では,そんな場所であっても,車を停める余地すら作りません。反対に停めるなと書かれた標識があるほどです。
 また,車を走らせるのは運転を楽しみたいからという人も少なくないから,そうした人が快適にドライブするには,速度の遅い車があれば,それを追い越したいわけですが,追い越し帯すらないから,無理やり追い抜いたり煽ったりすることになるわけで,それが事故を誘発することになるわけです。
 車は停車しなければ用を成しません。であれば,街中で気軽に車が停められるようになっているべきで,至る所を駐車禁止にすればよいというものではありません。
 こうしたことのすべてが,日本で車を運転していもの楽しくないという気持ちにさせるのでしょう。

 ところで,今日の3番目と4番目の写真ですが,3番目は稚内,4番目はアイスランドのレイキャビックです。すでに書いたように,私が北海道に行ったのは,ネオワイズ彗星を見ることが目的であって観光旅行ではありませんでした。少しでもよい条件で彗星を見ようと,到着してからサロベツ原野に行くことを決めたわけで,まさか稚内に行くとは思ってもみませんでした。私が稚内まで行ってしまったのは,サロベツ原野付近で夕食をとる場所を探しているうちに稚内に着いてしまったということだけでした。
 その稚内市街を少しだけ歩いていたとき,ここは以前行ったアイスランドのレイキャビックの港に似ているなあ,と思ったのです。緯度は,レイキャビックの方がはるかに北になるのですが,最北の港町というのが共通点なのでしょう。それが今日の写真でふたつの町の写真を載せた理由です。
  ・・
 稚内といえば,若いころに数回行ったことがあって,そのころの素朴だった町をふと思い出します。当時はユースホステルに泊まって,近くの銭湯に行ったりしたものです。また,ちょうど夏祭りをやっていて,一緒に楽しんだ思い出もあります。
 今回行ったときには,すっかり様変わりして,新しく近代的な町に変わっていて驚きました。当時泊まったユースホステルも2016年に閉鎖してしまったそうですし,当時の素朴な町はどこに消えてしまったのかな,と少しさびしく感じました。
 できるなら40年前の北海道にもう一度行ってみたいものです。

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 私が昨年北海道を訪れた時期は初夏だったので,観光には最も条件のよい季節でした。ただし,今年の北海道はすごく暑いようですが。
 一方,冬の北海道は若いころに何度もスキー目的で行ったことがあるのですが,自分で車を運転したことはありません。私はもともと雪国に住んでいないので,雪道を走る自信がありません。それでも若いころは冬になればタイヤをスタッドレスに替えて,まれに雪が降っても車を運転したこともありますが,その程度です。
  ・・
 北海道を走っていると,冬の季節に道路に雪が積もったときのことを考えて,路肩がわかるようにとさまざまな工夫がされていることがわかります。ただし,それが冬になって本当に安全に機能しているのかどうかは私は走ったことがないのでわかりません。
 しかし,雪のない見通しの効く条件のよい夏の時期も路肩がわかるようにと設置された矢印が夜になると異様に点滅しているのは,その意味がわかりません。危ないだけです。
 私は,何じゃこりゃ,と思いました。

 アメリカの大平原を走っていると,時折,日本では考えられないものすごいスコールに見舞われることがあります。また,霧で1メートル先がまったく見えないという経験をしたこともあります。さらに,インターステイツがかなりの勾配になっているところもあって,そんな場所ではコンボイがまったくスピードが出せず苦労してのろのろ運転をしているのに出くわします。その反対にかなりの勾配を下るときはブレーキがきかなくなったときのための待避ゾーンが設けられていることも頻繁にあります。また,深夜は真っ暗というところも少なくありません。
 そんな状況で走っていると,そうした悪条件のときにできる限り安全に走行できる配慮が至るところになされていることを痛感します。つまり,道路は常に最悪の状況を仮定して作られているのです。自然環境が過酷なのでマジなのです。
 また,交差点では,明け方や夕方に信号機が太陽と重なってまったく見えないことも少なくありませんが,アメリカではそんなときのために,別の角度からも見れるような補助信号機が設置されています。

 それに対して,日本では,雨になれば意味のない街灯で道路は光りかがやき,どこが道だかわからなくなるし,暗いときは街灯が意味なく道路を照らすので,これもまた通行帯がどこかわならなくなります。街灯をつけて明るくすればいいというものではないのです。道路でもっとも大切な情報は,通行帯がどこかということであるから,通行帯をきちんとラインで示し,そのラインがいかなる悪条件の場合も見えるようにするべきなのです。
 また,路肩にガードレールがあったり突如としてなくなったり,中央分離帯が夜見えなかったり,でありながら路肩やセンターラインがひかれていなかったり消えていたりと,危険極まりないという場所がたくさんあります。さらに,道路の真ん中に通行帯を指定するためにポールが立っていたりすときもあり,私は,違法の路上駐車をしていた車を避けようとしてポールにぶつかりかけたこともあります。さらには,太陽の光が信号を照らし,あるいは信号の先にあってまぶしく,まったく信号機が見えないことも少なくありませんが,だからといって,何か工夫するとか,そういう配慮すらまったくありません。
 そうしたことは,おそらく,道路を整備するときに実際に現地で確認することなく,机上で設計されているか,どうすれば安全かを考えずに,思いつきで改良ばかりしているからではないかと私は推察します。

 高温多湿で,やたらと雑草が生え,いかに舗装をしても,その間から草が生え,中央分離帯に木を植えてもそれが生い茂り,通行の妨げになったり,また,平気で道路に空き缶やらを投げ捨ててあったりして,さらには,ゴミを捨てるなとかいう看板を設置して景観を台なしにするといったように,この国の道路がめちゃくちゃなのはどうしてなのか,私はずっと不思議に思っていたのですが,それがこのコロナ禍での行政の対応ですべて納得がいきました。
 そもそも,この国のやっていることのすべては,この国がどういう国なのか,住んでいる人がどういう行動をとるのか,そうしたことがまるでわかっていないことが原因なのでしょう。景観もなにも考慮していない町づくりもまた同様です。要するに,何もかも,思いつきばかりで,やったふりと責任逃れなのです。
 とはいえ,近ごろは,責任が問われても知らぬ存ぜぬを決め込めばそのうち国民は忘れてしまうと見下しているようですが。
 まあ,こんなことをここで書いても何も変わりませけれど…。


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 日本国内を旅して,唯一海外よりもマシだと思うのは食事です。
 世界中,どこに行ってもお金さえ出せばそれなりのものを食べることはできるのでしょうが,お金のない私はそうはいきません。そこで,できるだけ贅沢しないでおいしいものを食べようと思うのですが,そうなると,はやり,日本の食事が一番です。

 せっかく北海道に行ったからには,さかなに関するものを一度は食べようと思って,宿泊した留萌市内でお寿司屋さんに入りました。お寿司は期待以上でした。
 この時期,実は,ウニが旬だったのです。その昔,大学生のころに北海道に行ったとき,稚内でウニ丼を食べました。それまでウニ丼など食べたことはなかったのですが「郷に入っては郷に従え」といいますから,ウニ丼を食べてみました。そのおいしかったこと,今でも忘れられません。
 しかし,大学生の分際で,当時食べたウニ丼がそれほど高かったとは思えないのですが,今回行ったとき,その値段におどろきました。そこまでお金を出さなくても,ということで,ウニ丼はあきらめました。

 海外に出かけたとき,若いころは,その土地の食べ物を選んでいたのですが,このごろは,日本食があればそれを試してみることにしています。それは,やはり日本食がいい,という意味ではなく,海外でどんな日本食が食べられるかという好奇心からです。
 一般に,海外では,というか,アメリカでは,というか,日本食は高級というイメージがあります。それに対して,中華料理は安価というイメージになります。しかし,日本料理店に入ると,そこが,高級なレストランであれば別ですが,実際は,中国人や韓国人が日本料理という看板を掲げて営業している場合が少なくありません。また,以前ブログに書いたことがありますが,ワシントン州などには「テリヤキ」と掲げたレストランがけっこうたくさんありますが,その,「テリヤキ」とは何ものなのか,私にはよくわかりませんでした。
 そんなわけで,海外で私の入るような日本料理と掲げた大衆レストランでは,ときとして正体不明の料理が出てくるので,それがまた,興味深いというかおもしろいというか…。今日の写真も日本のものと海外のものが混在していますが,どれがどうだか明白です。これが「何かがちょっと違う」ということです。
 ともかく,アボカド寿司とか,カリフォルニアロールとか,今では外国育ちの日本食もあることだし,そしてまた,日本で食べる中華料理やフランス料理だって,本場のものとはずいぶんと違うだろうし,そう目くじらを立てなくとも,それはそれで,多国籍化された食べ物として味わえばよいように思います。


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 留萌から稚内までは,道路だけが続いていて,時折,町があるという,日本離れした風景が続きます。しかし,こんな風景はアメリカやオーストラリアを走っていると普通のものです。
 アメリカでは,町に近づくにしたがって制限速度が次第に遅くなるように定められていて,それはアメリカ中どこも同じようになっていて規則性があって,とても走りやすいです。それに対して日本はバラバラです。
 
 時折通り過ぎる北海道の小さな町で私が最も印象に残ったのは,どの町にも,町の中心には,かつて走っていた電車の駅と郵便局があるということです。
 近ごろ何かと問題のある郵便局ですが,ここにあるのは,民営化前の役所のような郵便局の姿でした。おそらく,そこは,その町に根差したもっとも信用のおける金融機関としての役割を担っているのでしょう。
 郵便局というのは,もともと,そうした信頼のあるところだったのです。それが民営化によって業績重視となり,それが悪い方向になって,信用という武器が凶器と変わってしまったのでした。
 数年前に起きたさまざまな事件は,その信頼を裏切る行為だったがゆえに多くの反響をよんだわけです。

 ところで,海外に行ったとき,こうした小さな町で強く感じるのは,町が美しいということです。そして,そこに暮らす人,そして,そこを訪れる人にとって,便利で安全であるということが最も大切にされているということです。
 道路にはきちんとラインがひかれているし,歩道もちゃんと作られ,また,交差点はロータリーとなっていて,よほど大きな交差点以外は信号機がありません。さらに,路肩はどこも駐車ができるようになっています。
 それに比べて日本では,道路のラインは剥げていてどこが通行帯なのかさえよくわからず,さらにはセンターラインすら消えかかっていたりすることもあります。また,交差点になれば,当たり前のように信号機があり,また,路上駐車も,停めたければ停めれば,みたいな,投げやりな感じがあります。さらに,電柱やら看板やら道路案内板やらが,景観などまったく考慮しないで設置されているのです。


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 北海道と外国,今日は風景の写真を載せます。いずれも,どちらか一方が北海道で写したものです。
 こうした展望台から見る風景自体は,北海道も遜色なくすばらしいものです。そんな場所でみる風景はいつまで見ていても見飽きるものではありません。私は,ともかく人の少ないところが好きなので,どんなにすばらしい風景であっても,展望台が人でごった返していは台なしですが,その点,今回の写真の風景をみた場所は,どちらもほとんど人がいなかったので,思う存分堪能することができました。
 ただし,北海道と外国とで何かちょっと違うのは,その展望台に行くまでの道路や駐車場なのです。
 これもまた,日本は狭いから…,といった言い訳が聞こえてきそうですが,そういうこととは関係がないように思います。つまり,道路の整備の方法や駐車場の整備の方法が違うのです。それはそういうものを作るためのお金が違うということではなく,お金のかけ方が違うということだと思います。

 少し話は逸れますが,わかりやすくするために,一般の道路について考えてみます。
 たとえば,広い道路があったときの中央分離帯を思い出してみると,日本では,あまりにバカ丁寧に作り上げるわけです。その結果どうなるかというと,車線や交差点の設計が変わったときに融通がつかず,これまで走れた車線を変更しても,そのために中央分離帯を作り直す予算がないから,そこに安価なポールを立てる,みたいなことをして,美観も何もなくなってしまうのです。
 さらには,中央分離帯には木まで植えてあるわけですが,そうした植木は,時期が来れば剪定をしたり,草刈りをする必要が出てくるのです。そうすると,車線を閉鎖してその作業をするということになります。
 道路というのは車が安全に通行することができる,というのが最優先であるのに,植木の管理をするために車線を閉鎖するということが起きます。道路が渋滞する原因が中央分離帯の草刈りのため,なんて,いったい,何のための道路なのだろうか,ということになるわけです。
 同じように,駐車場もまた,観光をするためにその土地に不案内の人がわざわざやっていくるわけだから,車を停める場所はわかりやすく,しかも安全でなけらばなりません。ところが,そうした視点がまるで欠如してして,しかも,ガードレールなどをやたらと作るものだから,危なくてしかたありません。また,停車するラインが消えていたりするのも珍しいことではありません。

 このように,せっかく整備をしても,お金のかけ方がどこかおかしいから,せっかく美しい観光地でありながら,駐車場の舗装がはがれていたり,意味のない看板がその美観を損ねていたりして,どこもかしこもあか抜けない感じになってしまうのです。これが日本の姿です。


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 昨年2020年の7月16日木曜日から7月19日日曜日まで北海道に行ってきたのですが,1年経った今になって,とても懐かしくなってきました。
 今から思うに,私にとって2020年はなかなかよい年でした。2月にハワイのモロカイ島に行って以来,予定していた海外旅行はキャンセルになってしまいましたが,北海道にも行けましたし,コロナ禍以前から予定していた東京へも大阪へも,思いがけず「GoToTravel」とやらが利用できて,ものすごく安価に行ってくることができました。しかも利用した新幹線はがらがらでした。また,京都では桜も紅葉も見ましたし,長年行きたかった湖東三山の紅葉も堪能できましたし,どこも人が少なくて最高でした。
 おそらく,今年はもう昨年のように人が少ないということはないと思うので,昨年と同じような楽しさは味わえないでしょう。
 さて,これから,懐かしくなった北海道の旅をもとに「今にして思うこと」を書いていくことにします。

 私は若いころ,ずいぶんと北海道にあこがれて,毎年のように何度も足を運びました。そして,ほとんどのところには行きました。しかし,その後,海外に行くようになってから,すっかり足が遠のいてしまいました。アメリカやオーストラリアと比べたとき,その雄大さや美しさで凌駕する魅力がないからでした。
 すでに書いたように,昨年北海道に行ったのは,ネオワイズ彗星を見るためでした。今世紀最大級といわれたネオワイズ彗星でしたが,私の住んでいるところはずっと天気が悪くてまったく見えなかったのです。そこで,日本で唯一晴れていると思われた北海道に行こうと思い立ったわけです。長年の経験で,珍しい天体現象というのは,それを見る機会を逸すると,その後ずっと後悔するのです。つまり,ネオワイズ彗星が接近しなかったら,私は北海道に行くことはなかったのです。
 それにしても,コロナ禍まっさかりの昨年の今ごろにあんな大物の彗星が地球の接近するなんて,皮肉というか何と罪作りなことか,と当時は思いました。しかし,思い切って行くことができたので,逆に幸運でした。それは,北海道もまた人が少なくて,最高だったからです。行ったついでに,北海道に着くまで,旭山動物園のことなんて頭からすっかり抜け落ちていたので,まさか行くことができると思っていなかった旭山動物園にも行ってくることができました。旭山動物園もまた人が少なくて楽しめました。

 そんなこんなで,思いがけず,久しぶりに出かけた北海道でしたが,行ってみて,海外に行ったようなときめきを感じて,こりゃいいや,と思ったことも確かでした。それが昨年の今ごろの人が少ない時期だったからそう思えたのか,それとも,つねにそうなのかはわかりません。そこで,私は今,ここ当分行くことができない海外旅行の雰囲気を味わうために,また,北海道に行くべきかやめようか思い悩んでいます。あのときめきは,昨年だけの特別なことだったのかそれともいつもそうなのか,その判断をつきかねているのです。
 そんな時期,NHKBSP の,私が見る数少ない2,3の番組のひとつでもある「にっぽん縦断こころ旅」で,北海道からのロケを放送していました。私は行ってきたときのことを思い出しながらそれを見ていて,いろいろと考えることがありました。
 それは,ひと言でいうと,がっかりという意味で,所詮は北海道なんだな,ということでした。私が海外で見てきた風景とは何かひとつ違うのです。そこで,このブログでは,私が北海道で写してきた写真と,海外で写してきた写真とをごちゃまぜにして載せてみようと思います。どの写真がどこなのかはあえて書きません。そして,私が思っていることを書きつづっていきます。

  ・・
 では,はじめます。
 私が若いころ「でっかいどう,ほっかいどう」というキャッチフレーズがはやりました。今でも,旅慣れていない人は,北海道の広さや雄大な風景に憧れるようです。私もかつてはそうでした。
 しかし,今の私は,先に書いたように,北海道にはそれほどの魅力を感じません。アメリカやオーストラリアに比べたらたいして雄大でもないし人も多いし。さらには,いかにも日本らしい,せっかくの景観を台なしにするような自然破壊と脈絡のない国土開発…,それが私に魅力を感じさせない原因となっています。それは本当にとても残念なことです。もう少しだけでも配慮があれば,とてもいいところなのに…。


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 2020年もあと3日となりました。
 2020年は,2月までとそれ以降で世界が一変したおかしな1年でした。私は,2月にハワイのモロカイ島,3月にオーストラリアのアデレード,6月に白夜のフィンランド,8月にアメリカのアリゾナ州,そして,11月にチェコのプラハに行く計画を立てていたのですが,2月のハワイ旅行以外はすべてキャンセルになってしまいました。
 私が行こうと思っていたこれらのところは,おそらくほとんどの人には参考になる場所ではないと思うのですが,私には,練りに練ったうえで行こうと思った場所ばかりなのでした。私も,若いころは,多くの人と同じように,ニューヨークやパリなどの大都市やカリフォルニアのディズニーランドに興味があって,実際行ったこともあるのですが,歳を重ねると,次第に地球上の大自然に傾倒するようになりました。そこで,そうした場所に出かけて,ある種の孤独を味わいながら自由に過ごすことに魅力を感じるようになってきました。
 これまで出かけた場所で印象に残っているのも,そんな場所ばかりです。

 結局,今年行くことができた海外は,先に書いたように,2月のハワイのモロカイ島だけでした。この旅のことは,今,旅行記を書いています。それ以外行くことができなかったところの代わり,というわけではないのですが,7月に北海道に行ってきました。
 2020年3月に発見されたネオワイズ彗星(C/2020F3 NEOWISE)が急激に明るくなって,7月下旬にはまれに見る明るさとなりました。しかし,連日の悪天候でまったく見ることができず,全盛期を過ぎそのまま暗くなってしまいそうでした。そのために,急に思い立って日本で唯一晴れていると思われた北海道に行ってきたわけです。

 この,突然行った北海道旅行は最高でした。まだ「Go To Travel」がはじまっていなかったという時節柄もあって,観光客がほぼ皆無だったというのがきわめて幸運でした。おそらく,こんなすばらしい旅はまた行ったとしてもできないことでしょう。
 北海道とはいえ,多くの人が考える函館とか札幌とは違って,私が行ったのは留萌でした。そして,少しでも条件のよい場所でネオワイズ彗星をみようと,人のほとんどいない大自然の中をドライブして,サロベツ原野まで行きました。
 夜の北海道を走っていると,以前,深夜のオーストラリアを走ったときのことを思い出して,海外旅行気分を味わうこともできました。また,北海道の小さな町はハワイのモロカイ島の町カウナカカイのようでした。今日の写真の1番目と2番目はハワイ,3番目と4番目は北海道ですが,似ています。
 私は,このように,人のほとんどいないところで過ごすことに究極のやすらぎを覚えるようです。
 もし,予定通りに海外旅行をしていたら,北海道旅行をしていなかったと思うと不思議な気がします。ネオワイズ彗星の鮮やかな姿をみることもなかったかもしれません。
 私にとって,2020年もまた,多くのすばらしい思い出ができた年となりました。

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旭山動物園で過ごすうち,はじめは快晴だった空が次第に曇ってきました。しかし,旭山動物園から留萌市に戻ってきたときは昨日以上の快晴が続いていました。道北も,日本海側と内陸部ではずいぶんと天気が違うようです。
ネオワイズ彗星も見たし,旭山動物園にも行ったし,もう,すべてが満足でした。
ただ彗星見たさに,それ以外は何の計画もなくやってきた北海道でしたが,ものすごく充実した旅となりました。今晩は北海道らしくおいしいお寿司でも食べてゆっくりするつもりで,ホテルの近くのお寿司屋さんに行きました。土曜日ということもありお店はかなり混んでいてずいぶんと注文したお寿司が出てくるのを待ちましたが,ともかく,本場のお寿司をおいしく食べることができました。
  ・・
この晩は何もせずに過ごすつもりでしたが,昨晩以上の快晴だったので,再び,彗星を見にいきたくなりました。しかし,さすがにサロベツ原野まで行くのは,翌日の早朝に新千歳空港まで行かなけばならないから断念して,こちらに来た日に下見をした小平町を過ぎたあたりの海岸で見ることにして,出かけました。
この晩もまた,美しい彗星を見ることができました。昨晩見て,彗星がどのように見えるかはわかっていたので,この晩は,彗星の姿を画面一杯に入れた写真を写すことにしました。それが,すでにブログに載せた写真です。

7月19日日曜日。
朝は午前5時にホテルを出ました。新千歳空港発午前9時40分のスカイマークでセントレア・中部国際空港に帰ります。
午前8時にレンタカーを返すことになっていたのですが,営業所に着いたのが,まさに午前8時ちょうどでした。 スカイマークはジェットスターとは違って,とても感じのよい航空会社でした。帰りもまた窓際の席をとってありました。機内からは富士山が見えました。
  ・・
こうして私は,突然決めた,ネオワイズ彗星を見ることだけを目的とした3泊4日の北海道の旅からもどってきました。 おそらくあと数日遅かったら,「GoToトラベル」(通称「強盗トラブル」)とやらのために,北海道はもっと混雑していたことでしょうし,逆に,数か月早かったら,北海道に行くことはできなかったことでしょう。とても幸運でした。
私が帰ってからも,依然として晴れる日がなく,自宅からはネオワイズ彗星が見えません。しかも,北海道も天気が悪くなり,晴れ間がなくなってしまったようです。
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かねてから話題の旭山動物園ですが,まさか来るとは思ってもいませんでした。この旅でも頭の端にもなかったからです。
思えば,私は,これまで世界中の多くの動物園に行ったものです。それも,どこも,別に行きたいと思っていたわけでもなく,それぞれの場所で時間つぶしをするために行ったようなものです。でありながら,ぜひ行ってみたいと思っているウィーンにあるシェーンブルン動物園にはまだ行ったことがないし,というか,いくらでも行く機会があったのにもかかわらず,見逃してしまっているし,この旭山動物園も,今回の旅で,どういうわけか旭川市に行こうと思わなければおそらく行かなかったことでしょう。要するに動物園には想い入れがないのです。でも,動物園が好きなのです。きっと。
今回は,旭山動物園があることに気づいたのが幸運でした。そして,気づいたときにはすぐに行動に移すのが何ごとにつけ大切なのです。

  ・・・・・・
旭山動物園は日本最北の動物園で,1967年(昭和42年)にオープンしました。
1994年(平成6年)に,エキノコックス症によって園内のニシローランドゴリラとワオキツネザルが相次いで死亡したことから来園者数が減少するなどの大きな打撃を受け,一時は廃園まで検討されたといいます。
旭山動物園の園長や飼育員,市職員たちのアイデアや創意工夫などにより見事に再生を果たし,2004年(平成16年)には,上野動物園を抜いて日本一の月間入園者数を記録して,日本中の注目を浴びました。再生計画では,園長や飼育員たちのアイデアによる14枚のスケッチなどから,従来の形態展示をやめ,行動展示や混合展示を導入することで,動物たちが自然界で動き,泳ぎ,飛び,生きる本来の魅力を間近に見られるおもしろさが一般的にも評価されたといわれます。
  ・・・・・・

旭山動物園は旭川市街のさらに東にあったので,思ったより時間がかかり,午後2時過ぎにやっと到着しました。私がさらに幸運だったのは,この時期,旭山動物園もまた,コロナ禍の影響で,入場者が非常に少なかったということです。私が行ったのは土曜日だったし,快晴で,おそらく,普段ならごった返しているはずなのに,動物園に最も近い無料の駐車場に車を停めることができました。園内もまた,まったく待ち時間もなく,ストレスを感じない,ほどほどの人がいて,また,インバウンド華やかなりしころに見られた,群れて大声ではしゃぎまわる傍若無人な某国のツアー客もおらず,とてもよい雰囲気でした。
愉快な動物園でした。いろいろな工夫が凝らされているのがとてもよくわかりました。勉強にもなりました。日本の動物園は,欧米やオーストラリア,ニュージーランドなどの動物園に比べて狭く,汚いのですが,ここは,ほどよい広さであり,それぞれの展示が本当に凝っていて,とてもためになりました。しかし,せっかく丁寧にいろんなことが説明してあるのに,それを見ることなく通り過ぎていく人がほとんどなのが残念でした。
楽しい午後の時間を過ごすことができました。
それにしても暑い日でした。私はソフトクリームで涼をとりました。あれだけ望んだ青空が,今度はうらめしいなんて,私はなんという罰当たりなのでしょうか。

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7月18日土曜日。
泊まっているホテルはビュッフェ形式の朝食が食べられました。私は,昨晩,念願だったネオワイズ彗星を見,写すことができて,今回北海道へ来た目的を果たしたので,この日は特にすることもなく,朝はゆっくりしました。朝食をとるために1階のレストランに行ったときは,もう,私以外にお客さんはいませんでした。食事をしながら,今日は何をしようか考えました。この日の天気予報は快晴でした。冷静になって考えれば,天気は回復基調なので,昨日よりもこの日のほうがずっと天気はよさそうです。昨日焦る必要はなかったのです。
特に行きたいところもなかったので,「なんとなく」旭川市まで行ってくることにしました。とはいえ,旭川市で何をするか,というアイデアもありませんでした。この「なんとなく」というのが,いつものとおり神がかりなのです。私には。

留萌市から無料の高速道路を沼田町に向けて走っていって,有料区間になる前に降りました。この先は一般道を旭川市まで走るつもりでした。高速道路を降りたところにあったのが,道の駅「サンフラワー北竜」でした。周りは一面のひまわりとそばの花。ものすごく雄大でこれぞ北海道,という景色でした。ここに来ただけで大満足でした。
まだ,お昼には早かったのですが,雰囲気に負けて,ここで昼食をとることにしました。
昼食後,付近を散歩しました。まるで海外にいるようで,最高の気分でした。ただし,快晴の青空,太陽の光がきついのが堪えました。
それにしても贅沢な話です。昨日まではあれだけ雲が恨めしかったのに,困ったものです。
さて,これから旭川市に向けて出発です。一般道を走っていくと,旭川市に近づくにつれて,旭山動物園という道路標示が見られるようになってきました。

私はうっかりしていたのです。そうなのです。旭川市といえば旭山動物園なのです。
しかし,評判になったころ,一度は行ってみたいと思っていたものの,わざわざ行く気にはなりませんでした。なにせ,ものすごい観光客が訪れていたらしいし,人混みの大嫌いな私がそんな雑踏に紛れる気持ちはまったくありませんでした。駐車場に観光バスがずら~っと駐車していて,そこからツアー客が続々降りてくるのを想像しただけで,行きたくなくなります。
その旭山動物園,それが期せずしてインバウンドが去った今,手に届くところにあるのです。
こりゃ行くしかない,と思いました。問題は時間でした。もう時間は午後1時過ぎで,到着するのは午後2時過ぎになってしまいます。調べてみると,閉園時間は午後4時30分,今日はこれまでちょっとのんびりしすぎたかかな,と少し後悔しました。

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◇◇◇
Thank you for coming 300,000+ blog visitors.

ブログをはじめて88か月・2,637回の更新で,総訪問者数が30万を超えました。
読んでいただいて,どうもありがとうございます。

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これまで走ってきた国道232号線は,天塩町で内陸部に入って国道40号線と合流して稚内市に向かいます。私がサロベツ原野に来たのはネオワイズ彗星を見るためだったので,ともかく,サロベツ原野のどこで彗星を見ることができるかを調べるために,天塩町からは,国道232号線を進まず,サロベツ原野を通っていく道道106号線を走ることにしていました。
しかし,ここでもまた,道路標示がいい加減で,道道106号線に入る交差点を見過ごしました。
しばらく天塩町の町中を走っていって,どうやら行き過ぎたと思い,引き返すことにしました。
道道106号線はもっと狭い道路かと思ったのですが,大平原を片側1車線の2車線道路がまっすぐにずっと続いていて,すごく雄大でした。右手にはものすごい数の風力発電の風車が設置されていました。この道路はほとんど車が通らなかったのですが,時折走る車は,速度制限などお構いなしに,ものすごいスピードで私の車を追い越していきました。
時間はまだ,午後6時少し前でした。
私はサロベツ原野を観光に来たわけではなく,星を見る場所探しに専念していましたが,それでも,美しい風景に魅了されていました。途中,内陸部に行く道路との交差点があって,そこを進むとにビジターセンターに行くことができるとあったので行ってみたのですが,時間が遅く,すでに閉まっていたので,引き返しました。
アメリカの国立公園なら,数キロメートルごとに展望台が設けられていて,そこには広い駐車スペースがあります。サロベツ原野もそんな駐車スペースがあって,どこでも気軽に車を停めて星が見られると思っていたのですが,いくら進んでも,駐車スペースなどどこにもなく,ちょっと焦りました。道路には路肩もなく,道路わきに車を停めることもできません。あきらめかけたころ,やっと展望台があって,そこには車が4,5台停められる駐車スぺースがありました。そこからは海を臨むことができて,遠くには利尻富士も見えました。空が暗くなったら,ここで彗星を見ることに決めました。

まだ,空が暗くなるには2時間以上ありました。どこかで夕食をとってきてから,ここに戻って彗星を見ることにしました。しかし,サロベツ原野にはレストランの1軒もありません。こうなったら稚内まで行こうと,さらに車を走らせました。ここから稚内まではさらに30分以上かかります。
そのうち,どうせ稚内市まで行くのなら,もっと先の宗谷岬まで行って,そこで夕日が沈むのをを見ながら夕食をと思って,「Hey Siri」で尋ねてみましたが,宗谷岬は,稚内市からさらに50分ほどかかるということでした。これでは遅くなってしまいます。残念でしたが,断念しました。無計画な私は,まさか,この旅で稚内市に行くとは夢にも思ってもいませんでした。もしはじめからその予定なら,もっと早く宗谷岬まで行って,そこで夕食をとり,夕日を眺め,それから,サロベツ原野に行って彗星を見るという計画を立てることもできたのでしょうが,晴れるかどうかという次元で行動していたので,そんな考えが及ばなかったのが残念でした。
ともかく,稚内駅まで来ました。稚内の駅前あたりは,数年前に行ったアイスランドのレイキャビックの港あたりにどことなく似ていて,いい感じでした。駐車場があったので車を停めて,駅周辺を歩きました。ところが,稚内の駅前にもほとんど食事ができる店がみつかりません。駅の構内にさえ,何もありませんでした。なんとか駅前に閉店間際の店を見つけたので入りました。お客さんは私だけでした。そこでカニ飯を食べました。

食事を終え,サロベツ原野に戻りました。来るとき見つけたパーキングには,幸いなことに無粋な灯りはひとつもなく,彗星を見るにはとてもよい場所でした。問題は時折道道106号線を通る車のヘッドライトでしたが,車が通るのは10分に1台程度だったので,問題はありませんでした。
車を停めて,空が暗くなるのを待っていると,隣に1台の車が停まり,人が降りて,三脚とカメラを設置しました。どうやらその人も彗星を写しにきたようです。声をかけると,地元に住むカメラマンでした。仲よくなって,一緒に彗星を見ました。おかげで,楽しい時間になりました。
彗星は,2日前にこの場所で肉眼で見ることができたということだったので,期待が膨らみました。そもそも,この時点で私は彗星がどのくらいの明るさで見えるかもわかっていませんでした。
実際は,空が暗くなるにしたがって,あざやかな尾を引いた明るい彗星が空に浮かび上がってきました。北海道は緯度が高いので,彗星はほとんど沈ます,長い時間楽しめました。はじめのうち低い場所に雲が出てきたので心配したのですが,強い風が雲を吹き飛ばし,やがて快晴になりました。
なんとなく,国際宇宙ステーション(ISS)が通過するのを見たことがありますか,というような話をしていたら,偶然,国際宇宙ステーションが通過したのには驚きました。そんなことを知っていたら,国際宇宙ステーションと彗星を同じ画面に写すことができたのに,それだけがこころ残りとなりました。
どうやら,日本国内で,明るいネオワイズ彗星を見ることができたのは,北海道と東北の一部,そして,沖縄くらいだったようです。そして,そんな数少ない彗星の見られた場所には多くの人が訪れていたようです。しかし,さすがにサロベツ原野に来たのは,私とそのカメラマンだけでした。どうやってここを見つけたの,と聞かれましたが,それは単なる偶然でした。
  ・・
10時過ぎまで彗星を見て,留萌市のホテルに戻ることにしました。幸せな時間でした。来てよかったと思いました。それに,この日は,私が来る1週間前より若干彗星の光度は下がりましたが,見ることのできる高度が高くなったので,彗星が最も美しい時期でした。
深夜の北海道を走って,午前1時過ぎに留萌市のホテルに戻りました。深夜の人影のない北海道を走っていると,数年前,深夜のオーストラリア大陸を走ったときのことをを思い出しました。

◇◇◇

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朱鞠内湖からは国道275号線を南下して,沼田町まで戻ってきました。国道275号線はとても走りやすく,まわりの景色も美しい,私がイメージする北海道らしい道路でした。こういうところならまた来てもいいなあと思いました。
次第に晴れ間が増えてきたとはいえ,未だ快晴とは程遠い天気でした。
沼田町から留萌市までは無料の高速道路です。山を越え,いくつかのトンネルを過ぎ,留萌市に近づくと,ついに,天気は快晴となりました。どうやら,日本海側は快晴のようでした。あとは,この天気が夜まで続くことを祈るだけでした。
留萌の町に着いて,この日から2泊する留萌市の市街地にあるホテルに向かいました。どうして2泊目から宿泊先を変えたかというと,留萌市で宿泊場所を探していたときに,一番はじめにもっとも安価なものを見つけたのが昨晩泊まったゲストハウスなのですが,まずはじめの1泊を予約してみると,このゲストハウス,実は,宿泊代以外に,結構高価なクリーニング代とかいうものが別途必要で,結局割高になってしまったからです。まあ,言葉は悪いのですが,きちんと説明書きを読まなかった私がだまされたかたちになってしまったのです。こういう別途クリーニング代というのは,ハワイのコンドミニアムでは常識のようなものです。つまり,ブッキングコムやらエクスペディアに表示されている値段のほかに別途支払う料金が必要なのです。しかし,まさか日本でもそういうものがあるとは思いませんでした。
そこで,残りの2泊は,通常のホテルに変えたというわけです。留萌市には,このホテル以外には,いわゆるネットで予約できるようなホテルはありませんでした。また,留萌市には旅館がいくつかあるようなのですが,それらはネットでは予約できず,実際,営業しているのやら休業しているのやら,よくわかりませんでした。

留萌市に戻ってきたのはホテルのチェックインができる時間の午後3時よりも少し早かったのですが,おそらくもうチェックインができるだろうと行ってみました。そして,実際,できました。
一度部屋に入って,いよいよサロベツ原野に向けて出発しました。
サロベツ原野まで,海岸線に沿って,国道239号線,国道232号線と海岸沿いを北上して行きました。小平町,苫前町,羽幌町と過ぎていくと,最果て感が満載になってきて,ウキウキしてきました。そして,このあたりならどこでも星が見られるような感じの場所になってきました。私は,異国に来たみたいな気持ちになってきて,すっかり満足しました。
羽幌町に差しかかると,それまではずっと快晴だったのですが,少しずつ雲がでてきました。
天気予報では,この先のサロベツ原野から稚内にかけては快晴で,その途中の羽幌町あたりだけ雲がかかっているというものだったので,これは,予報通りでした。
初山別村に入ると,「天文台」と書かれた道路標示が見られるようになってきました。時間もあることだし,このあたりに天文台があるのなら行ってみようと思いました。
道路標示に従って,国道を離れて行ってみると,やがて,大きなキャンプ場があって,その一角にドームがありました。これが初山別天文台でした。初山別天文台は初山別村の岬にある,日本最北の天文台でした。地元の青年団と自治体が運営し,通常観測のほか教育目的で連日一般公開されているということです。中を見学する料金は無料で,1階の簡単な展示室とビデオ,そして,望遠鏡を見ることができました。望遠鏡は三鷹光器製の口径650ミリメートルカセグレン式反射望遠鏡という本格的なものでした。また,この天文台のある周囲は岬公園となっていて,公営の温泉付宿泊施設やら運動施設,海水浴場,キャンプ場がありました。
この天文台は,テレビドラマ「白線流し」の舞台となったところだそうです。

とてもすばらしい場所で,私は,サロベツ原野まで行かずとも,よほどここで彗星を見ようと思いました。公園には売店があったので中に入って聞いてみると,どうやら,この天文台の周辺は,夜になると,安全のためにかなりの街灯が明るく光るようなのです。理由を聞くと,どうして安全のための灯りを消さなくてはならないのか,まったく理解していないようでした。要するに,無知なのです。
これでは,宝の持ち腐れです。安全のための灯りならば,アリゾナ州のフラグスタッフのように,下向きに街路灯を設置するなどの方法があるのです。要するに,そんなことさえできない。これが日本なのです。中には,ここに来た人が星が見えないので灯りが邪魔だと苦情を言うそうですが,どうしてそんな苦情を言うのかと話していました。
私は,こりゃだめだと失望しました。そして,天文台を後にして,当初の予定通りサロベツ原野に向けて出発しました。

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朱鞠内湖からの帰り,国道275号線から国道239号線と通って,苫前町で海岸線に出て,そこから海岸に沿って留萌市に戻るつもりで走っていたのですが,国道239号線に右折する場所がわからず,そのまま国道275号線を走ることになってしまいました。日本の道路標示は,意味のないものは多々あれど,必要な場所で必要なものがないのです。しばらくしてそれに気づいてUターンをしようと思ったのですが,少し遠回りにはなっても,特に急ぐ旅でもないので,そのまま沼田町まで南下してそこから高速道路で留萌にいくことにして,そのまま国道275号線からの景色を楽しむことにしました。
それがまあ,国道275号線は,すばらしい景観が続き,それはそれは若干雄大さには欠けるけれどオーストラリアの田舎のようだったし,国道沿いにときに通りすぎる町は,アメリカの古びた田舎町のようで,海外旅行のできない今の私としては,かなり満足でした。

途中に,道の駅「森と湖の里ほろかない」がありました。道の駅のセンターハウスは「ルオント」と名づけられていて,2020年4月にリニューアルオープンしたものだそうです。「ルオント」は「Luonto」と書き,これは,フィンランド語で「自然の恵み」を意味する言葉です。「ルオント」には露天風呂「三頭の湯」とレストラン「そばの里」があります。「そばの里」には,手打ちの幌加内そばやカレーなどの食事ができました。私は,この日のランチメニューから食しました。
このあたりを幌加内町といいます。幌加内町の名産はそばです。7月中旬から8月中旬というから,ちょうどこの時期,幌加内町はそばの花の季節を迎えます。作付面積日本一を誇るそばの花が開花を迎えるので,町内の至るところには見渡す限りの白い風景が広がっていて,その景色は「幌加内は2度雪が降る」とも形容されるということです。朝に夕に表情を変えるそば畑は絶好の撮影スポットということで,4箇所のビューポイントが作られ,そば畑を見慣れた町内の人が「ここは見応えある」と思える場所をピックアップして案内板が整備されていました。
いつものように,私はこれを見にきたわけでもないのに,しかも,道を間違えたために,こうしたベストシーズンに,辺り一面に咲くそば畑を見ることができたのでした。
  ・・
本来なら,これを見るだけでも十分幸せな観光旅行になるわけです。しかも,おそらく通常ならば観光客でごった返しているのでしょうが,コロナ禍で観光客は皆無でした。
しかし,ネオワイズ彗星を見にきた私には,つねに天気が気ががかりで,依然として雲が切れない空を見ると私の観光気分は吹っ飛んでしまいます。もう昼過ぎたというのに,空は未だ雲に覆われていて,この日の晩も星空が見られるとはとても信じられませんでした。天気予報はうそつきだと思いました。昨晩彗星が見られたのなら,この日はもっと楽しい気分になれたのになあ,と思いました。なんとか今晩こそは彗星を見ることができて,明日は落ち着いて観光をする気分になれたらいいなあと,切に願いました。

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久しぶりに行った北海道でした。北海道に行かなかった何年もの間,私は,世界のさまざなところに行きました。そうした経験から,北海道は,ハワイ島やアイスランドに似ているなあと思いました。中でも,最も似ているなあと感じたのはアイスランドでした。しかし,アイスランドのほうがずっと人が少なく雄大な自然が残っているので,もっと最果て感がありました。
  ・・
ちなみに,北海道の面積は83,450平方キロメートル,ハワイ島は10,430平方キロメートル,アイスランドは103,000平方キロメートルです。なお,日本に似ているニュージーランドですが,北島は113,700平方キロメートル,南島は150,400キロメートルです。また,九州は36,750平方キロメートルです。

広大なアメリカをドライブするのに慣れてしまった私には北海道は狭く感じられます。札幌から,函館だろうが,稚内だろうが,帯広だろうが,どこも200キロメートルもないほどの距離しかないので,行こうと思えば,どこも数時間走れは行くことができます。私の感覚では,思い立てばどこも簡単に行ってしまいそうです。
そんなわけで,この日は,午前中にまず,朱鞠内湖までを往復して,午後3時までに留萌市に戻り,ホテルのチェックインしてから,再び今度は,海岸線を稚内市まで走って,サロベツ原野で星を見て,深夜に留萌市に戻る,という計画を立てたのですが,その程度のドライブは,私にはどおっていうことはありませんでした。
  ・・
では,朱鞠内湖に向けて出発します。
まず,留萌市から国道239号線で海岸沿いに北上して小平町まで行き,小平町から内陸に入りました。ここから道道126,道道742,道道239,道道275とつないで,朱鞠内湖に向かいます。その途中,大きな小平ダムを通りました。ダムの手前に公園があって,そこには恐竜のモニュメントがありましたが,こういうものを作るセンスを私はまったく理解できません。
小平ダムにかかる長い橋を過ぎると,その後は,ほとんど車の通らない,片側1車線の道路が延々と続いていました。これはこれで楽しいドライブですが,アラスカの原野のような感じで,さほど景色はよくありませんでした。まったく民家も街灯もなかったので,晴れていれば,どこでも満天の星が見られそうな場所だったのですが,北海道ではクマが出るのが心配です。
どこかでコーヒーでも,と思ったのですが,喫茶店の1軒すらありませんでした。
2時間あまりそんな道を走って,待望の朱鞠内湖に着きました。

朱鞠内湖は人造湖です。標高が高く,冬は特に寒冷の地だそうです。湖畔にはキャンプ場もあって,ボート乗り場もありました。ニュージーランドのテカポ湖畔には遠く及ばずとも,それはそれで日本にしてはいいところでした。夜になれば星もきれいにみられそうです。
2,3組の観光客がいました。ここもまた,普段のシーズンなら,この時期は多くの観光客でにぎわうのではないかなと思いました。しかし,人混みが嫌いな私は,普段ならばここには来ていません。人が少ないからこそ,来たのです。
朱鞠内湖は高台に展望台はありましたが,湖畔を1周する道路はなく,食事をするような場所さえありませんでした。
もっと雄大な景色を見慣れてしまっている今の私には物足りない場所でしたが,それでも,日本ではめったにみられない景観でした。若いころ北海道の地図を見て,朱鞠内湖というのはどんな最果ての地なのだろうかと,ワクワクしたことを思い出しました。

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夕日が海に沈むまでは水平線付近は雲が切れて,とても美しい景色を見ることができました。ただし,空全体にはかなり雲があって,この分では,雲の間からかろうじて彗星がみえるかな? といった程度だったので,がっかりしました。これでは,たとえ彗星が見られても写真は無理だな,と思いました。雲が切れる淡い期待をしながら暗くなるまで待っていると,雲は,切れるどころか次第に厚くなってきて,ついに,一面が雲に覆われてしまいました。
今晩は無理だな,と宿泊先に戻りました。
こうなると方針変更です。この晩は,彗星はあきらめ,宿泊先で,藤井聡太棋聖誕生を楽しみにABEMAで対局のライブを観戦することにしました。そして,藤井聡太棋聖誕生が実現しました。

翌7月17日金曜日。
朝,窓のカーテンを開けて外を見ると,どうやら深夜に雨が降ったようで,駐車場に停めた車がぬれていました。空には一面雲が垂れ込めていました。天気予報では,昼過ぎから回復して快晴になるということでしたが,心配なのは,天気の回復が日に日に遅れていることでした。
ネオワイズ彗星見たさだけに北海道までやって来たのに,見ることができなかったら,いったい何をしに来たことになるのだろう,と思いました。しかし,日本で晴れという予報が出ていたのがこの場所だけだったから,それはそれでやることはやったとあきらめがつくのかなと思いました。もしここで見られなかったとしても,北海道に来ることなく,自宅でまったく彗星が見られなかったとしたら,行けばよかったのにとそれ以上に後悔したことでしょう。
しかし,たとえ観光目的でないとはいえ,せっかく北海道まで来たのだから,お昼間は,どこかに行ってみようと思いました。しかし,行きたいと思う場所が思い浮かびません。多くの人が行くような都会の観光地には興味がありません。
私が1日目に泊まったこのゲストハウスはこの1晩だけで,この日の晩と次の日の晩は,留萌市の市街地にあるホテルに予約がしてありました。ホテルのチェックインは午後3時ということだったので,それまでどこかに時間つぶしに出かけることにしました。

昨日の晩,友人から電話がかかってきました。
留萌市周辺ではなかなか星を見る場所がないという話をしたら,サロベツ原野まで行けばいい,とアドバイスを受けました。サロベツ原野は留萌からは車で2時間30分ほどです。せっかくここまで来たのだからよりよい場所を求めて,今晩はサロベツ原野まで行くことにしました。サロベツ原野の天気予報は今日も明日も晴天でした。そこで,午後3時にまず今日と明日泊まるホテルのチェックインを済ませてから,サロベツ原野まで往復することにしました。
朝食は近くにあったコンビニでサンドイッチを買ってきて済ませ,ゲストハウスをチェックアウトして出発しました。
まず,星を見ることができる場所探しを兼ねて,留萌の町を少しだけ散策してみました。留萌市には,黄金岬のほかに,千望台と礼受牧場という高台があります。千望台は昨晩行ってみたのですが,街灯が明るくて,星は見えませんでした。そこで,この日は礼受牧場に行ってみました。留萌の町の南の山を登っていきます。そこはきっと夜になれば美しい星空見られるだろうと思う場所だったのですが,この牧場に至る道路は夜は閉鎖されていました。
次に,JRの留萌駅に行ってみました。時刻表を見ると,2時間に1本程度の列車がありました。日本は鉄道で旅をすると急に不便になりますが,それと反比例して旅情をそそります。そして,日本の貧しさとわびしさを感じます。昨年,車を使わずに東北に行ったときに感じたことです。旅をするだけなら,不便であっても,そのほうがずっと楽しいのかもしれせん。
観光案内板を見ても,市内には特に見どころ,というところもなかったので,留萌観光はやめて,内陸側を通って遠出して,朱鞠内湖まで行ってくることにしました。
  ・・
私は,若いころ,ずいぶんと北海道旅行をしたので,ほとんどのところには行ったことがあります。当然,稚内も宗谷岬も行きました。そのときに,サロベツ原野も朱鞠内湖も行ったようにも思うのですが,今となってはまったく記憶がありません。というか,私の記憶は,どうやら,サロベツ原野と釧路湿原がごっちゃになっているようなのです。

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急に思い立った無計画な3泊4日の北海道旅行でしたが,この旅では,思いのほかいろんな経験ができました。ここ数年,私は,世界中のさまざなところに出かけ,そのいずれの旅もまた,このごろは事前にほとんど何の準備をしないで出発しているのに,帰ってくるときは,非常に充実した旅になっていたのですが,今回もまた,それと同様でした。旅慣れて,コツがわかってきたのがその理由でしょう。
  ・・
この旅の目的は,史上最大級のネオワイズ彗星を何とかこの目で見たいというだけだったので,それ以外には,どこに行くかとか何をするかということはまったく考えていませんでした。
ただし,彗星を見るための機材だけはしっかり準備して持っていきました。とはいえ,それもまた,ここ数年,毎年のように星を見に出かけたオーストラリアに持っていったものと同じなので,特に事前に改めて支度をするという必要もなく,新たに何かを購入するということもなく,何年も使い続けているいつもの機材が入ったカバンをそのまま持ってきただけでした。ただし,今回は,彗星がどのくらいの視野に広がって見えるのかということが想像できなかったので,焦点距離が55ミリから200ミリのズームレンズを1本加えて余分に持っていきました。欲をいえば,さらに,広角のズームも持参すべきでした。それは,彗星の尾が思った以上に広がっていたからです。

留萌市について,この日の晩宿泊する場所に到着したのは午後5時過ぎでした。彗星は空の暗くなる午後8時以降に見えはじめるので,それまでに夕食をとって,それから彗星を見る場所を探すことにしました。
一番心配だったのは天気でした。天気予報では,この晩から日曜日までは快晴,ということだったのですが,空を見上げても,雲がたくさん出ていて,星が見えそうにはありませんでした。
まず,留萌市の中心街に行って,食事をすることにしました。駐車場のある店を見つけたので車を停めて中に入りました。せっかく北海道にきたのだから海鮮料理を食べようと思いました。入った店はまだ夕食には時間が早かったせいか,お客さんは私ひとりでした。
行ってみて知ったのは,この時期の北海道はウニが旬だったことです。
ずいぶん昔,稚内に行って旬のウニ丼を食べたことを思い出しました。しかし,いくら旬とはいえ,ウニ丼はおどろくほど高価でびっくりしました。昔,今よりお金がなかったのに,ウニ丼を高いと驚いた記憶もないから,あれから値上がりしてしまったのでしょうか? 旬のウニ丼は確かにおいしいけれど,そんな高いお金を出すほど好きなものでもなかったので,ウニ丼を食べるのはやめました。

食事を終えて,いよいよ彗星を見にいくことにしました。
留萌市には,夕日の絶景が見れらるという黄金岬があります。まず,そこで行ってみたのですが,海岸にあった街灯が明るくて,夕日を見るにはよくても,星空を見るような場所ではありませんでした。次に千望台という展望台に行ってみました。ずいぶんと坂を上っていくので期待していたのですが,ここもまた,展望台の駐車場の街灯が明るくて,星を見るようなところではありませんでした。
そこで,海岸線に沿って,国道239号線を北上して行くことにしました。しかし,どこまで行ってもけっこう明るく,また,駐車場もほとんどなく,海岸に降りることができるようなところが見あたりませんでした。時折,海水浴場があるにはあったのですが,すべて閉鎖されていました。もし閉鎖されていなくても,やはり,海岸には街灯が設置してあってその灯りが邪魔をするので,星を見るのに適した場所ではありませんでした。
このように,北海道の海岸ならどこでも簡単に満天の星が見られるだろうというのは甘い考えでした。目論見がはずれ,ずいぶんがっかりしました。
さらに進んで,小平町というところを過ぎたあたりに広い空き地を見つけました。そこには車が2,3台停まっていました。この空き地から川に降りることができて,川にかかる国道の橋の下をくぐると海岸に出られることがわかりました。停まっている車は,海岸で釣を楽しんでいる人たちのものでした。海岸は北西に面していて,海岸には街灯はありませんでした。国道を車が通りますが,国道は彗星の見られる方角とは反対側なので影響はなさそうでした。ここなら,晴れてさえいれば,彗星は容易に見られそうだったので,この日はそこで写真を写すことにしました。

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新千歳空港に到着しました。相変わらず,曇り空でした。
この春に行った京都もそうですが,少し前までのインバウンド(和製英語!)によって,この国の観光地はどこも,従来の「よさ」や「のどかさ」を失っていて,やたらとわけのわからない警告が表示されていたりと,居心地が悪くなりました。
国土の広いアメリカやオーストラリアでは,都会や観光地以外は交通の便も悪いことから,観光客の訪れないところが今もまだたくさん残っていて,そういった場所に行けば観光客の毒気に触れることもないのですが,狭い日本では,どんな山奥まで行ってもインバウンドの影響を受けていて,逃げ場がまったくありません。改めて,国内を旅するには,再びインバウンドが起きる前の今に限るなあと痛感したことでした。

新千歳空港でレンタカーを借りました。
私は,海外に出かけて,空港でレンタカーを借りて移動するという旅をこれまで頻繁にしていたのですが,日本ではほとんどしたことがないので,むしろ日本のほうがシステムがよくわかりません。こうして日本で体験してみて,海外と比べてみると,日本のほうが手続きは面倒だし,時間がかかります。
アメリカなら,空港のシャトルバスに乗ってレンタカー会社の営業所に着いたらそのままカウンタを通らずとも車を選んで出発するだけだし,オーストラリアでは,空港にあるレンタカー会社のカウンタで簡単な手続きをして車のキーをもらって駐車場に行き,車を出発させるだけです。
それに対して,日本では,まず,空港にあったレンタカー会社の意味のないカウンタに行き,番号の書かれた用紙をもらいます。そのあとで係員についてシャトルバスの乗り場までわざわざ案内され,それに乗ってレンタカー会社の営業所に行きます。…と,ここまでの手順は,別に空港にある無意味なレンタカー会社のカウンタに行かずとも,ひとりでできることです。シャトルバスで営業所に到着したら,自分の番号の呼び出しを待って,再び営業所のカウンタで細かな書類の説明を受け…,と,まあ,時間はかかるし,意味のない作業が延々とあって,なかなか車が借りられません。こういったことひとつとっても,いかに日本人がほとんどムダとしか思えない仕事をバカ丁寧にしているかということがわかるというものです。
ちなみに,日本ではレンタカーの車両ナンバーが「わ」ですが,北海道では,過去にその通達を役人が読み間違えたために「わ」ではなく「れ」だという都市伝説があります。そして,それは本当です。しかし,現在では「れ」と「わ」のレンタカーが共存しています。

さて,そうこうして,やっとのこと車を借りることができました。いよいよ出発です。
新千歳空港から高速道路の入口までがまた,結構距離がありました。これもまた,都市計画がなっていない日本らしい姿です。空港からすぐに高速道路に連絡できるのが常識でしょう。
ともかく高速道路に入りました。この先私の目指すのは留萌でした。留萌まではおよそ2時間30分ということでした。高速道路もまた,札幌の手前と札幌を越えたところにそれぞれ料金所があって,これもまたムダというか,日本は何という国なんだろうということを再発見します。道路の標識もまた,意味のないモノばかりで,肝心な情報がありません。気分は海外旅行だったのに,こういうときにここが海外でないということを実感します。
そうこう思いながら,ともかく,留萌市までやって来ました。
私が想像していた留萌というのは,もっと小さな漁村だったのですが,予想以上に町が広く,高速道路を降りたところで,いつものように,土地勘のない私にはどこがどこだかわからなくなりました。
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1泊目だけ,ゲストハウスのようなところに泊まることになっていました。いわゆる「民泊」というやつです。これもまた,インバウンドのときにできた外国人向けの施設です。私が使っていた iPhone のナビ(車についているカーナビより使いやすい)で示した場所に着いてもすぐには見つからず,建物を探すのに苦労しました。看板が地味だったのです。
以前泊まったアイスランドのゲストハウスを思い出しました。アイスランドのゲストハウスはバストイレが共有でひどい思いをしましたが,ここはいわゆるマンションの1室でかなり豪華でした。しかし,やたらと注意事項が書かれていたのが興をそぎました。これもまた,インバウンドの悪影響でしょう。つい数か月前まで世界中のいたるところに生息した,ブランドバッグを持ち,黒色のレンズの入った眼鏡をかけ,やたらと声の大きいどこぞやの国の団体さんがこの部屋で,名古屋市の河村市長の言葉を借りるといわゆる「どんちゃん騒ぎ」をしている姿を想像してしまいました。

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当分の間,海外旅行ができなくなってしまいました。そこで,海外旅行をした気分で,国内旅行のLIVEを書くことにします。国内を旅しながら海外旅行と比較するのもまた,おもしろいものです。
  ・・
私が今回北海道旅行をしたのは,2020年7月16日木曜日から7月19日日曜日の3泊4日でしたが,この旅を計画したのは,そのわずか数日前の7月13日月曜日のことでした。20代のころは頻繁に北海道旅行をしていた私ですが,その後,海外に目が向くようになって,もはや,北海道は「ないもの」となっていました。行こうと思ったこともありませんでした。
すでに何度か書いたように,この時期,ネオワイズ彗星(C/2019F3 NEOWISE)が地球に接近して,明るくなっていたのですが,私の住む愛知県だけでなく,日本のほとんどの地域でまったく晴れず,その姿を見ることができませんでした。かろうじて晴れているのが沖縄と北海道だけ,という感じだったので,ネオワイズ彗星見たさに,北海道旅行をすることになったのです。これがそもそも私には「ないもの」であった北海道旅行をした動機です。
マスクをして体温を測ってまでして旅行などしたくなかったのですが,私の彗星への想いはそんなものすら凌駕してしまいました。

話を戻します。
月曜日のことでした。一向に天気がよくならず,どこか晴れているところがないかと天気予報を調べてみると,どうやら週末北海道だけは晴れということでした。そこで,木曜日から日曜日にかけて北海道に行くことを急に思いつきました。
まず,航空券を手配することからはじめました。夜に星さえ見られればよく,北海道を観光することはまったく眼中になかったので,時間は二の次にしてできるだけ安価な航空券を探すと,木曜日のお昼過ぎにセントレア・中部国際空港を出発して,日曜日朝9時過ぎの新千歳空港を出発して帰るという便が見つかったので,早速,それを手に入れました。
到着後はレンタカーを使って移動することにしました。彗星が見られるのは夜8時過ぎの日没後の北西の空です。そこで,石狩から稚内にかけての北海道の北西の海岸ならどこでも水平線が広がっているのでそこが最適だということで,到着してから,そのあたりまで行って条件のよい場所を探して星を見ることにしました。現地に着いてから宿泊先を探そうかとよほど思ったのですが,見つからないと困ると思い,どこに移動するにも便利そうな留萌という町で3泊することにしました。
ところが,留萌市で宿泊先を探すのに思いのほか苦労してしまったのです。
国内旅行で宿泊先を探すとき,私は,都会なら東横イン,東横インのない地方では,楽天トラベルやじゃらんなどを利用してホテルを探します。ところが,楽天トラベルにもじゃらんにも,留萌にホテルが見つからないのです。さらに探していくと,なんと,ブッキングコムで留萌市のホテルが見つかりました。
これでは,国内旅行というよりも海外旅行の予約をしているようなものでした。ということで,次第に,北海道へ行くということも忘れて,いつもやっているような,海外旅行の計画を立てている気分になって,とてもウキウキしてきました。
そうこうして,ホテルの予約もでき,さらに,レンタカーも予約が完了。セントレア・中部国際空港までは,いつものような名鉄電車を使うのではなく,車で行くことにして,セントレアの駐車場も予約しました。これで準備完了です。急に思い立って行こうと決めてからわずか30分後のことでした。

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 今から30年くらい前,まだ,アメリカをドライブする楽しみを知らなかったころ,私は,夏も冬も北海道を旅していました。千歳の空港で車を借りて走り出したとき,ああ,北海道だ,と感動したのを思い出します。しかし,狭い北海道のこと,毎年行けばすぐにほとんど全ての道路は制覇できます。海岸線に沿って一周したこともありました。そのなかで今も思い出すのは,襟裳岬の近くの居酒屋で飲んだくれたことと積丹半島で食べたおいしかったお寿司屋さんです。そしてまた,それと同時に,行くたびに無粋に道路が作られてどんどんと自然が破壊されていくさまでした。

 「ぐっさんのニッポン国道トラック旅!”5号線”函館~札幌の巻」は,私にそんなことを思い出させてくれました。当然,私は,国道5号線もすべて走ったことがあります。そして,番組に出てきた積丹半島のお寿司屋さんこそ,私の思い出のお寿司屋さん,そのものでした。
 この番組も回を重ねて,なかなか粋な旅番組になってきました。今回は私の予想では国道4号線だったのですが,なぜかそれをとばして国道5号線となりました。どうしてだろう???
 それはそれとして,素晴らしい景色も,おいしいグルメも,そして,さまざまな出会いもあって,心温まる番組になりました。そしてまた,やはり,日本のよさは食べ物に尽きる,ということを再認識しました。風景はどんなに雄大であっても,そりゃ,外国のさらに雄大な風景にはかないません。農場のトラクタだって,アイダホの農場には全くかないません。毛利衛さんの地元の博物館だって,アメリカに行けばもっと大きな博物館がいっぱいあります。しかし,食べ物に関しては,やはり日本です。特に北海道は最高です。

 ところで,私は10月13日,東海北陸道を通って金沢に行くついでに,白川郷に立ち寄りました。
 白川郷は城山展望台から見ると,とても素敵なところです。しかし,実際に村を歩いてみると,白川郷もまた,観光客相手の商売で金儲けをするだけの日本のそこらじゅうにある観光地と同じだったし,そこに押し寄せていたのは,観光バスで大挙して現れた中国人団体客だらけでした。彼らは,大声出してソフトクリームなめながら自撮り棒につけたスマホで写真を写しているだけでした。残念ながら,ススキとかコスモスの美しさや日本の風情は全く眼中になく,初秋のどかなな村の雰囲気は台なしでした。
 私は,二度と来るものか,と固く決意し,本当にがっかりしました。
 今の日本の観光地は,どこもそんな状況です。外国人観光客の誘致も結構ですが,すべては金儲けが目的の政策です。こうして日本らしさがなくなっていきます。しかし,こういう状況は日本だけでなく,ニュージーランドのテカポ湖でも同様で,有名な「善き羊飼いの教会」の周りでは,中国人観光客が深夜の満天の星空の下で奇声を発し懐中電灯を振り回していました。

 この番組は私のそうした傷を癒してくれましたが,果たして,実際に行ってみると,北海道もまた同様なのでしょうか。もう,私が子供のころに味わった「小さい秋みつけた」という歌で感じるような日本のすてきな秋の夕暮れの哀愁を味わえるようなところはどこにもないのでしょうか?
 もしそうなら,私は,今年の6月に行ったオーストラリアの片田舎や8月に行ったアラスカの原野のような,中国人団体ツアーの行かないところのほうがずっといいなあ,そんなことを思いながら,番組に見入っていました。

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