しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

カテゴリ: アイスランド旅行LIVE

今日はアイスランド旅行LIVEの最後に,当日書かなかった2日目のゴールデンサークルの現地ツアーについて書くことにします。
私はこの旅の前,異常に人恋しくなっていて,精神状態が自分でも制御しかねる状況でした。そんな中で個人旅行をすることにずいぶんとためらいがありました。以前は,旅行中に日本人を見ても避けていたのに,このごろは自分から話しかけるようになってきました。要するになにがしか人とのつながりがないと不安なのです。そんなわけで,当地でもだれかお話相手ができればと思って,到着翌日は現地ツアーに参加することにして,出発前に予約をしました。はじめに予約をしたのが氷河の洞窟を探検するツアーでしたが,非常にツアー料金が高かったのと,内容がたいしたことがなさそうだったのでキャンセルして,改めてゴールデンサークルをすべて巡るという定番のモノに代えて,新ためて予約をし直しました。
このツアーは,京都市内観光バスや東京のはとバスツアーのようなもので,別に事前に予約しなくても当日窓口でチケットを購入することもできましたが,結果的に,このツアーを予約しておいたのは大正解でした。ツアーの参加者にはひとりの日本人もいなかったのは残念でしたし,ガイドは全て英語でしたが,それは別に問題はありませんでした。それよりも,地図を見ても複雑で,到着早々の自分では行くことが難しい場所に連れて行ってもらえました。
私の宿泊先は空港の近くで,レイキャビックからは遠く,送迎バスが来てくれないので,ツアーの集合場所はレイキャビックのバスターミナルが指定されましたが,そのためにこの便利なバスターミナルの存在を知ったことも利点となりました。
ベルトラで探して予約した現地ツアーはアメリカ資本のグレイラインのものでした。現地ツアーの大手はどうやらレイキャビックエクスカーションズという会社らしく,集合場所のバスターミナルもそのエクスカーションズのもので,グレイラインのツアーは単にその場所に送迎用のバンが停まっただけでした。しかし,そうした勝手がわからず,少し戸惑いました。バスターミナルには多くのバスが停まっていたのですが,それはすべてエクスカーションズのものだったのです。
送迎用のバンに乗ってしばらく行くとバンはグレイラインの会社に到着して,そこで大型バスに乗り換えました。
ゴールデンサークルというのは,レイキャビックの東側に広がる地熱地帯と地球の割れ目をすべて巡るコースですが,範囲が広く,道路も入り組んでいるので,自分で車を運転して巡るのは大変だったし,時差ぼけで寝不足だったので,このツアーに参加したのはよかったのですが,こうしたあなた任せの旅は帰ってからどこに行ってきたのか正確に思い出せないのが欠点です。ともかく,このツアーは,ゴールデンサークルの定番の見どころは全て網羅されていました。では,その見どころをあげておきます。
まずは,シンクヴェトリル国立公園でした。ここは地球の割れ目「ギャウ」を地上で観察できる場所です。アイスランドといえば「ギャウ」なので,まず,ここに来ることができて最高でした。次に訪れたのがグトルフォスという滝でした。この「黄金の滝」はかなりの迫力でした。アイスランドには多くの滝があるのですが,それぞれに個性があるのがおもしろいことでした。そして3番目がゲイシールという間欠泉でした。数分ごとに噴き上げる間欠泉は迫力がありました。こうした見どころをひとつひとつ結構な時間をかけて巡ることができました。はじめて京都にいって,金閣寺(鹿苑寺金閣)と清水寺と二条城を見てきたようなものです。
食事は場所だけが指定されていて,それぞれ好きなものを食べればいいのですが,どこも混んでいて,かつ高いので,おにぎり(そんなものはないけれど)を持参のほうがいいと思いました。私は当日の朝買った飲み物とマフィンをもって行ったのでそれでお腹を一杯にしました。
私が参加した現地ツアーはこれだけでしたが,レイキャビックに3泊するなら,毎日異なる現地ツアーに参加すれば,車がなくてもひととおりの観光はできることでしょう。
最後に。
私の借りた車にはUSB端子がついていたのですが,これを私の持ってきたiPhoneにつないだら充電と同時に車のステレオでiPhoneに入れてあった音楽を聴くことができて,とても便利で快適でした。おそらく,iPhone8はイヤホーン端子とlightning端子が同じになっているからでしょうが,便利な時代になったものです。

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今日は帰国の日。
朝6時,泊っていたゲストハウスを出て,空港に向かいました。空港までは10分足らずで到着しました。まず,レンタカーを返却して,空港の建物に入りました。アイスランドは根本的に人口が少ない国で,空港もまた,ほどんどが機械まかせでした。朝の空港はごった返していました。
数日前にネットで座席の指定と,ヘルシンキから名古屋までの便のアップグレードをしておいたので,機械で簡単にチェックインができました。そのままカバンだけをカウンタにもっていって預けて,セキュリティを抜けて,搭乗ゲートに行ってフライトの時間を待ちました。
搭乗ゲート付近は狭く,イスすらなく,そこにはまるでディズニーランドのアトラクションを待つように長い列ができていて,そこで搭乗時間まで立って待ちました。やがて時間になって飛行機に乗りました。
この旅で一番印象に残っているのは,この帰りのフィンランド航空の機内に入ったときの気持ちです。機内は暖かさに包まれていて,客室乗務員の笑顔にホッとしました。愛想とか心配りの皆無だったアイスランドに比べて,それは雲泥の差でした。アイスランドに行ってフィンランドがますます好きになったというのも皮肉なことでした。
アイスランドからフィンランドまでは飛行時間4時間弱,窓際の席をとったので,ずっと景色を見ました。行くことのできなかったアイスランドの氷河を機上から見ることができました。
フィンランドのヘルシンキで乗り換え。日本人と韓国人はパスポートで写真を照合するだけで簡単に手続きが終わります。そのまま名古屋へ行く便のゲートまで向かうと,まったく待ち時間なく飛行機に案内されました。
日本までのフライトは,行きと同じエコノミーコンフォートの一番前。隣の席はドイツに住んでいるという日本人の男性でした。話が弾んで,ヨーロッパについていろんな情報を聞くことができました。
アメリカへ行くのとは逆で,帰りは地球を240度進みます。時間は2倍進みます。つまり,夕方に飛び立って6時間で夜を抜け,朝の日本に着くわけです。飛び立った時は機上からヘルシンキの美しい風景を見て,その後はずっと暗闇を抜け,日本に近づくと夜が明けるわけです。機内で寝ても仕方がないのでずっと起きていましたが,どっちみち,日本に帰ってから3日くらいは体内時計がおかしいのわかっているから,じたばたしないのです。
セントレア・中部国際空港の帰国ゲートは顏認証の自動入国装置が導入されていました。こんなもの,ガラガラのこの空港にはまったく必要なく,税金の無駄使いです。といった批判を恐れ,そこに無理やり誘導されました。しかし,すぐに認証が済んでゲートを出て無事帰国… ではないのです。私は,というより,ほとんどの人はパスポートに帰国のスタンプが欲しいのです。そうした人は,再びカウンタに並びなおして,スタンプをパスポートに押してもらうわけです。つまり,従来よりもひと手間増えただけというバカげたことになったわけです。本当にこの国って,バッカじゃないの,と思いました。
最後に通関で書類を渡すときにどこから帰国ですか? と聞かれたのでアイスランド,と答えたら珍しいですね,と言われました。オーロラ見に行ったんだけれど,あんな晴れない国行っちゃいけないよ,と答えて,そのあと,ここでなぜか暇そうな係官と雑談。本当に変な国です。
こうして帰国したわけですが,行く前も帰ってからも,どうしてアイスランドに行ったのか,今もってよくわかりません。行きたくて行ったわけでもないし,想い入れがあったわけでもないし,行ってみてアイスランドが好きになったわけでもないのです。ただし,アイスランドは風景だけは世界一でした。
不思議な旅でしたが,けっこうたくさん貴重な体験をしました。

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6日目。いよいよ今日が最終日。明日の朝,帰国です。
この昨晩泊まったゲストハウスは素敵なところでした。このゲストハウスに泊らなかったら,私のアイスランドの印象はこれ以上にかなり悪いものだったことでしょう。もし晴れていれば,このゲストハウスは周囲が真っ暗なので,夜になると美しいオーロラを見ることができたことと思います。ここは宿泊代が安かったし,朝食は豪華だったし,新しくきれいだったし,部屋にシャワーとトイレがあったし,アイスランドに来るならここに泊るのが最高です。
現地でいろんな人に聞いてみたのですが,アイスランドは年中こんな天気なのだそうです。つまり,晴れません。1日のなかで目まぐるしく天気が変わります。したがって,よほど運がよく,まれに深夜に晴れ間が出ればオーロラが見られるのです。なにせ,2週間,毎日オーロラツアーに参加して一度も見られなかったという話があるくらい,この国は晴れません。この日の朝,私が部屋のテレビで見た天気予報もまた,その事実を物語っています。アイスランドはオーロラ帯の直下とはいえ,オーロラを見るために来るところではありません。
今日は特に行きたいところもないので,1号線でレイキャビックまで戻って,レイキャビックの観光をすることにしました。そして行ってみたのは,アイスランド国立博物館でしたが,そこは大変すばらしい博物館でした。
博物館といえば,レイキャビックでは,それ以外にはオーロラ博物館とかヴァイキングを主題としたサガ博物館などがありましたが,どちらも行ってみたところ大学祭の模擬店の域を出ていない民間のちんけなものだったので,中に入るのをパスしました。オーロラ博物館では係員の女性に「アイスランドって本当にオーロラ見ることができるんですか? ここはいつも天気が悪いんで来年はカナダでも行こうと思うんですが?」と話したら「そのほうがいいよ」と言われました。 
国立博物館を出た後で,「地球の歩き方」に載っていたベルクソン・マートフースというレストンランで豪華に昼食をとりました。
こうして私のアイスランド観光は終了しました。夕食は近くのマーケットでお寿司を買って食べました。私が来る前に6泊予約し,結局そのうち4泊したゲストハウスは本当にひどいところでした。途中で2泊,別の宿泊先を探して,そこに滞在したのが正解で,なんとか嫌な思いを払拭することができたおかげで,有意義な旅行になりました。
  ・・
最後に書き忘れたことの補足です。
アイスランドの名物といえば天然温泉です。そのなかで最も有名なのがブルーラグーンです。私の滞在した場所の近くにそれはありました。とりあえず一度行ってみたのですが,イモを洗うような混雑でした。ここもまた,名所といえばどこにでも主没する中国人たちが大勢たむろッていて,私はすっかり中に入る気をなくしました。

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ふたつの滝を見てから,レイニスフィラに向かいました。ここがアイスランドの最南端になります。
レイニスフィラに行く前にひとつ手前の道を右折すると,そこはレイニスフィラとは湾をはさんだ反対側の海岸で,断崖にはニシツノメドリの巣がたくさんありました。ニシツノメドリは大西洋と北極海に分布する派手な外見の鳥です。くちばしから油を排出して体中に付着させることによって水分を弾いているといいます。繁殖期に海に面した断崖の上の地面に集団で営巣します。この鳥はアイスランドでは狩猟の対象となっています。
次に行ったのがレイニスフィラでした。この海岸には無数の六角形をした石柱の山や洞窟がありました。この岩塊はレイニスドラゥンガルと呼ばれています。海岸には高い波が押し寄せていて,波にさらわれる被害が続出しているといいます。この海岸は最もアイスランドらしい風景だと思いました。
レイニスフィラを過ぎたところにヴィークという町がありましたが,そこもまた,想像以上に小さな町でした。
ヴィ―クを過ぎてさらに少し走っていったのですが,アイスランド最大の氷河であるヴィクトヨークトル国立公園まではまだ1時間以上先だったので断念して,途中で引き返すことにしました。はじめっからアイスランドを一周する気だったら6泊8日の私の旅でそれを実現することもできたのでしょうが,残念なことでした。
引き返す途中で,何があるのかわからないけれど多くの車が停まっている場所がありました。せっかく来たので私も車を停めて,多くの人が進む方向に歩いて行きましたが,その目的地に着くには1時間も歩く必要がありました。そうしてようやく到着したそこにあったのは,1973年に墜落した飛行機の残骸でした。
今日は少し贅沢な食事をとることに決めていたので,夕食はランガービングアイストラのレストランでフィッシュアンドチップスを注文しました。そして,いよいよ今日の宿泊先に向かいました。宿泊先のゲストハウスは新しく,部屋にシャワーやトイレもあり,想像以上にすばらしいところでした。

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5日目。
今日はアイスランドの南部を観光します。宿泊先は南部のランガービングアイストラとかいう町の近く,ド田舎のゲストハウスを予約しました。ネットの口コミでは極めて評価が高いので,かなりの期待でした。もともとホテルの少ないアイスランドでは夏場は事前に予約をしておかないとホテルがないという情報があったので,とりあえず,6泊すべての宿泊先を予約しておいたのが失敗でした。泊るところなどどこにでもありましたから,到着当日の夜だけを予約しておけばよかったのです。
さて,アイスランドの南部は1号線をひたすら東向きに走るだけなので,道に迷うこともありません。一旦レイキャビックまで行ってそこから1号線に乗るのが最も近いのですが,私はレイキャネース半島を42号線で南下してレイキャネース半島の南岸を427号線で走って,途中のセールフォスで1号線に合流しました。
セールフォスまでの風景が雄大でした。セールフォースを過ぎ,ランガービングアイストラで朝食をとりました。この国はこうした小さな町のガソリンスタンドに併設されたコンビニにテーブルとイスがあるので,そこでサンドイッチとジュースで朝食を済ませるのが朝食を安くあげるコツです。現地の人もそうしているようです。
その後,1号線を進み,今日行けるところまで,順に観光することにしました。運がよかったのは,今日もまたずっと雨模様だったのですが,見どころに着いて車を降りるときに限って雨がやんでいたことです。
まずはセーリャラントスフェスという滝でした。フォスというのが滝という意味のようです。1号線からかなり陸地に入るのかな,と思ったら,道路から左手に滝が見えました。滝へのアクセス道路を少し走ると駐車場があって,ここだけ有料でした。クレジットカードで機械に料金を払い,領収書を車のフロントに置いて出発です。この滝は滝の裏側を歩くことができるのがウリでした。当然のごとくべたべたになりました。
その次がスコゥガフォスでした。この滝は横に登る道があって,けっこう険しいのですが,ここを60メートルほど登りきると滝を上から見下ろすことができました。こちらの滝のほうが水量が多く,迫力がすごいものでした。多くの観光客はこれだけを見て1号線に戻るのですが,私はこのあと,滝の反対側にあったスコゥガル民族博物館に行きました。こうした博物館,中国人は来ないのです。いつも書いているように,博物館というのはいわゆるガラクタ置き場ですが,この博物館はかなり充実していて,アイスランドのことがとてもよくわかりました。野外には昔の住居が復元されていたし,博物館内にはレストランもありました。
私はこの日は節約しないで食事をすることにしていたので,おいしいスープとパンの昼食をのんびりと楽しむことができました。

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絶景だったスカイフェルスネース半島に比べてレイキャネース半島は小さく大したことがなさそうだったので行く気がなかったのですが,レイキャビックの主な見どころに行ってしまってもまだ半日残ってしまったので,午後はレイキャネース半島に行くことにしました。しかし,レイキャネース半島は見どころといってもグンヌクヴェルとブルイン・ミットリ・ヘイムサゥルヴァくらいしかなかったから,期待はしていませんでした。しかし,行ってみてよかったと思いました。
私は,まずレイキャネース半島を縦断する43号線を走ってレイキャネース半島の南岸まで行って,そこを右折して半島の先端まで行き,そこを時計回りに海岸沿いを走って北上,最後に宿泊先に戻るというコースを取りました。
半島の南岸を西に向かって走っていくと,溶岩台地に道路だけが続いていて,その先に白い噴煙が上がっていたので,なにかしかすごいものが見られるのではないかと期待しました。そして,その向こうに見えた灯台がさらに旅情を誘いました。噴煙を上げていたのは「怒れる女幽霊」がいるという地熱帯から硫黄泉が吹き上げている姿でした。ここの硫黄泉は間欠泉とは違って,常にモクモクと噴煙を上げていて圧巻でした。アイスランドは海底がそのまま隆起したようなところなので,いわば海底がそのままみられるといっても過言ではありません。つまり,この噴煙は生命の起源であるといわれる熱水噴出孔のようなものでしょう。
その先にある海の向こうに,悲劇の島・エルディ島がぽつんと見えました。このエルディ島が見える半島のさきには,さびしそうにオオウミガラスの像が建っていました。
ペンギンの祖先であるといわれるオオウミガラスは,1844年この地で絶滅したのです。

  ・・・・・・
オオウミガラスは世界で最初に「ペンギン」と呼ばれた鳥です。翼は短く飛ぶことはできませんでしたが,高速で泳ぐことができたので潜水してイカナゴなどの魚類やイカを捕食していました。
オオウミガラスは肉や卵を食用にするため,または羽毛や脂肪を採取するために8世紀頃から捕獲利用されていました。その後の大規模な乱獲で数百万羽いたとされるオオウミガラスはたちまちのうちに数を減らすことになりました。オオウミガラスは人間に対する恐怖心がなく,好奇心を持って自ら人間に近寄ってきたといわれます。1年に1個しか産卵しなかったことも絶滅に繋がったと考えられています。
1534年,フランスの探検家ジャック・カルティエの隊がニューファンドランド島に上陸し,1日で1,000羽以上のオオウミガラスを殺しました。この話がヨーロッパ中に広がってニューファンドランド島のみならず各地の海岸で無秩序にオオウミガラスが狩られ,あるいは卵が持ち去られることとなりました。そうして,1750年頃には北大西洋各地にわずかな繁殖地が残るだけとなったのです。
1820年頃,ついにオオウミガラスの繁殖地はアイスランド沖のウミガラス岩礁だけになりましたが,1830年に海底火山の噴火にともなう地震で岩礁は海に沈み,生き残った50羽ほどが近くのエルデイ島に移り住みました。
そして、運命の日1844年7月3日。
最後の個体はエルデイ島で確認された抱卵中のつがいでした。エルデイ島に上陸した3人の男達は島の絶壁で抱卵していた最後のオオウミガラス2羽を発見します。メスを守ろうとするオスを殴り殺し巣から離れまいとしたメスを絞め殺して彼らは最後のオオウミガラスの卵を投げ捨て死体を持ち帰ります。こうしてオオウミガラスは永遠に地上から姿を消したのです。
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半島をさらに北上していくと,右手に現れたのがブルイン・ミットリ・ヘイムサゥルヴァでした。ここは地球の表面を構成しているユーラシアプレートとアメリカプレートが隣接している場所で,このふたつのプレートを跨ぐように橋が架かっていました。まさに,この場所こそが「地球の割れ目」そのものでした。

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4日目。
昨晩はオーロラが見たいという淡い期待をもって,暗い空を求めて1時間以上走ったのに,天頂付近に輝く北極星をかろうじて見ただけで曇ってしまいました。真っ暗な道路を午前2時に戻ってきたために,ゆっくりめの朝を迎えました。
今日は首都レイキャビックの市内観光です。とりあえず昨日停めたバスターミナルの駐車場に車を停めてそこから街に歩いて行くことにしました。アイスランドはほとんどの場所が車停め放題なのですが,街の中心部だけパーキングメーターがありました。そういう場所に停めるのもわずらわしかったので,確実な場所に停めて歩くことにしたのです。
街の散策は,まず,この街のシンボルであるハットルグルムス教会からスタートしました。教会にある有料のエレベーターで最上階の展望台に上がると街が一望できるのですが,エレベーターが混んでいたので断念しました。この教会から北西の方角に,坂を下るようにしてバンカ通りというショッピング街があってにぎわっていました。坂を下りきったところにチョルトニン湖があって,湖を挟むようにして,小さな首相官邸と国会議事堂が建っていました。とても首都とは思えないくらい,日本で言えば小さな町役場みたいなところでした。それも当然で,この国の人口はわずか33万人,面積は北海道の1.3倍しかありません。
この小ささでユーロにも加盟せず,独自の通貨と言語を持っているのだから,国全体がママゴトみたいなものです。人が少ないから極めて治安はよいのですが,海外資本のファーストフード店はサブウェイとKFCくらいしかありません。マクドナルドは数年前のアイスランドの経済危機で撤退しました。ホテルは少なく高く,しかし値段の割に設備が悪いのだから救いようがありません。ホテルよりも,私の泊まったようなゲストハウス,つまり民宿が多く,それらはシャワールームやトイレが共有というのがほとんどです。
日本とは違って,この国の人口はずっと増加していて,物価が高ければ金利も異常に高く,高い物価もさらに毎年上がっているのです。物価とともに,住んでいる人の賃金も高く,アルバイトの時給は3,000円ほどだそうです,つまり,そういう慢性的インフレ状態なのです。しかし,外国通貨とのレートがその実情に伴っていないので,日本人からみれば異常な物価となるわけです。10年くらい前の旅行記を読んだのですが,そのころよりかなり物価が高くなっていました。
実は,アイスランドに限らず,ヨーロッパやアメリカなどの国々もまた,物価が高くなっています。日本は,ずっとデフレのままであるにもかかわらず,異常な,かつ,無理な金融緩和を続けているために,通貨レートだけが変わらないから,日本円はドルやユーロといった世界の通貨からはどんどんと弱くなっているのです。日本国内で生活するだけならわからないことですが,海外に出るとこのことを実感します。反対に,外国人観光客が日本に来ると,信じられないほどモノが安いのです。これが外国人観光客が日本に押しかける理由です。これではあと10年もすれば日本人は海外旅行ができなくなることでしょう。
そもそも,人口が増加していたときのような,モノの値段を上げて賃金も上げるなどという政策は,これだけ高齢者が多い日本では,賃金の恩恵を受けない年金生活者のほうが多く,しかも,金利が低いからこれまでに培った財産が目減りするだけなので,まったく意味がありません。
すでに海外旅行をする日本人は少なくなっていて,アイスランドもまた,日本人観光客はほとんど皆無でした。そして,この国でもまたやたらと目についたのが,「①自撮り棒にスマホをくっつけて持ち②品のない真っ黒なサングラスをかけ③女性はブランドバッグを肩にかけて男性はでかいカメラを持ち④やたらと大声を張り上げ⑤譲り合い精神のまったくない」という特徴をもつ中国人たちでした。2日前に参加した現地ツアーでも,数人のグループで来ていた中国人たちが,結構混んでいたのにもかかわらずそんなことはお構いなしでそれぞれひとりでずうずうしくバスの座席の2席を占拠していました。
さてレイキャビックの観光ですが,港にあるアイスランド交響楽団の本拠地であるハルパまで街をひと通り歩いたら,私はもう行くところがなくなりました。それでもまだ午前中だったので予定を変更して,午後はレイキャネース半島の観光をすることにして駐車場に戻りました。天候は今日もまた曇り時々小雨。雨を弾くパーカーを持ってきてよかったと思ったことでした。

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スナイフェルスネース半島は先端が国立公園になっていますが,先端部分だけでなく,この半島すべてが国立公園であってもなんの不思議もないところでした。さて,私は,反時計回りに先端をまわって,いよいよ南海岸にたどり着きました。
南海岸のはじめに見どころは,ジュパロゥンスサンドゥルという黒砂海岸でした。駐車場に車を停めて,海岸に向かってかなり歩いて行くと,やがて苔に覆われた溶岩に黒砂の海岸が現れました。海岸には1948年に難破したイギリス船の残骸が無残に散らばっていました。
その次の見どころがアルナルスターピでした。ここの海岸線からの景観は最高でした。溶岩でできた海岸線はハワイ島にも同じようなところがありましたが,こちらの方がずっと規模が大きく見事でした。空があまりに広く,そのために広さが逆に実感できませんでした。
最後の見どころがイートリトゥンガでした。ここに行く道路には何の表示もなくがわかりにくく,一旦は通り過ぎてしまいました。すぎてしまったことに気づいて引き返し,海岸付近に多くの車が停まっているで見当をつけて道を曲がりました。この道路は舗装されていなくて,凸凹道をかなり走る必要がありました。こうなるとパンクが心配になります。駐車場に車を停めてからさらに行くと海岸に出ました。海岸の岩の上にはアザラシのコロニーがあって,よく見ると多くのアザラシが寝っころがったり泳いだりしていて,北極圏であることを実感しました。
これでスナイフェルスネース半島の観光は終わりです。
帰り道は有料の海中トンネルをやめて遠回りをすることにしました。せっかく来たのに風景のよい道をスキップしてしまうのはもったいないと思ったからですが,観光にはこの迂回はよい選択になりました。
途中でヒツジが道路に出てきました。アラスカではトナカイ,ニュージーランドではウサギ,アメリカ本土の国立公園ではバイソン,オーストラリアではカンガルーと,いろんな動物と遭遇しますが,轢いてしまうとあとが大変なので要注意です。
結局,この旅の間で青空が見えたのはこの日だけでした。夜,せっかく晴れたのだからと宿泊先を出て,あてもなく1時間,市街地の灯りのなくなるレイキャネース半島の南岸まで走っていって,そこで偶然発見した無料のキャンプ場で午前1時まで空を見上げました。しかし,次第に曇ってきて雲の合間にやっと星を見ることはできましたが,オーロラの姿はありませんでした。この国はオーロラベルトの下にあるというのがウリのようですが,実際はほとんど晴れず,オーロラなんてめったに見られないというのが現実でした。
これで3日目が終わりました。

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太川陽介さんのやっていたバス旅では「魔の3日目」ですが,私の場合は「幸せのはじまる」3日目です。毎回,時差ボケと土地勘がなく右往左往するはじめの2日は,いつももう旅行なんてするものかと思うのですが,それを乗り越えるとやっと旅気分になれるのです。
昨晩はシャワーも浴びてよく寝て,朝はホテルでまともな朝食が出ました。これをおなかいっぱい食べてやっと体制が整いました。
今回のアイスランド旅行では,物価が異常に高いことが致命的でした。フィンランドも物価が高いようですが,私がそう感じなかったのは,宿泊したホテルの朝食が豪華だったからでしょうか。
ほとんど決まっていなかった旅のスケジュールもやっと決定しました。いくら行く前に調べても,来てみないとわからないことが多すぎるのです。今回は,わけのわからない,かつ,疲れがピークの2日目は現地ツアーに参加したのですが,これが正解でした。
さて今日はスナイフェルスネース島を観光することにしました。この半島はレイキャビックから北に2時間ほどですが,半島のつけ根の場所に泊まったので,そのまま54号線を進むだけでした。途中で半島の北側に出る56号線と二股になるので右折して56号線に移り,島の北側に出て反時計回りで半島を一周することにしました。
キルキュフェトル山をまず見学してから,半島の北側を西に半島の先端まで行きました。そこには絶景が広がっていました。

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この旅は1日目に泊まった極めて安価なゲストハウスに6泊するように予約が入れてあったのですが,トイレとシャワーが共用で,しかも石鹸やタオルすらないので,参りました。2泊くらいなら我慢もできますが,6日となると気が滅入りました。そしてまた毎日同じ場所に戻ってくるのでは移動ができません。大失敗でした。
ということで,このゲストハウスの予約はそのままにして,滞在中の中で2日ほど別のホテルに泊まることにしました。そうして探した,そのうちの1泊目の宿泊地として選んだのがスナイフェルスネース半島の入口にあるボルカルネースという田舎町のはずれにあるモーテルでした。
レイキャビックからは車で北に1号線を1時間30分ほど行ったところで,現地ツアーが終わったあとそのまま直行しました。1号線はもともとは途中の入江を大きく迂回していたようですが,有料の海底トンネルが作られていました。しかし,有料トンネルだという表示はアイスランド語なのでさっぱりわからず,したがって料金所もどこなのかわからず素通りしてしまったようで,トンネルを出たところの赤信号で止められました。日本と違ってゲートがないので困ります。係員が出てきてお金を取られただけで済みました。
モーテルは海に面したところにありました。シャワーもありコーヒーも飲み放題でやっと救われました。
夕食を探しに近くの町には出ました。バスターミナルにはフードコートがあって,スープとパンで2,000円相当の夕食にありつけました。隣にはデイスカウントセンターがあって,やっと120円相当のコカコーラを発見したので買いました。
夜,晴れていればおそらくオーロラが見えるのでしょうが,この晩も全面曇りでした。深夜1時に限って目が覚めたので外に出ると,雲の合間からカシオペア座と天頂近くに北極星が見えました。そのあたり,雲にしてはおかしな動きをするので,あれがオーロラだと思って寝ることにしました。

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アイスランドはほとんどの交差点はラウンドアバウト(ロータリー)なので,信号を見かけることはめったにないのですが,それでも信号が少しはあります。信号は黄色が出てから青が出るので,黄色になると走り出すのです。それと,水道から出る水が硫黄臭くて温泉の匂いがします。国が変わると色々です。
朝はまず,昨日予習したように,ホテルから現地ツアーのピックアップ場所まで車で行って駐車しました。
昨日書いたように,この国の物価の高さをなんとかしないと破産しそうです。下手にコーラでも買えば500円くらい吹っ飛びます。そこで,朝食はツアーバスのピックアップ場所だったバスターミナルに隣接したところにあったガソリンスタンドのマーケットでサンドイッチとアップルジュースを買って店内にあった座席で食べました。これでも約1,000円です。そしてバスターミナルに行ってターミナルの売店でマフィンと水を買いました。これが昼食です。今日参加するツアーには食事時間だけが含まれていますが、昼食に3,000円は出せません。
正直言って,この国を旅行するのは全く楽しくありません。物価高すぎです。日本の3倍くらいします。コーヒーは800 円です。ガソリンは3倍はしませんが,それでも1リットル240円くらいです。これではおみやげも買おうと思わないし,食べるのだけでも一苦労です。物価がこれほど高くなければのどかないいところなのですが。
さて,今日は1日グランドサークルをめぐる現地ツアーに参加しました。グランドサークルというのは,アイスランドにある「地球の割れ目」のわかる場所を周遊するコースで,この国の観光の目玉です。参加してわかったのは,自分でまわっていたら大変だったなあということでした。とにかくすごいスケールなのですが,この国というかこの島自体が,大自然しかないような,いわば絶望的なところなので,それに溶け込んでいました。 詳しくはまた帰国後に紹介します。
今日はずっと曇りの天気だったのですが,そのおかげでツアーの帰りにきれいな虹を見ることができました。

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今回の旅はわからないことが多すぎて楽しみというよりも不安だらけでした。
ヘルシンキに着いてアイスランドへ行く飛行機を待っていたら1組の日本人家族に会いました。お話をすると家が近くでびっくりしました。アイスランドをレンタカーでまわるのだそうです。私以外にもいるんだなあと思いました。
アイスランドまでのフライトは3時間と少しで意外に長く感じました。荷物を受け取りATMでわずかだけ両替をしました。アイスランドの通貨は現地でないと手に入りません。
レンタカーを借りていよいよ出発です。レンタカーもアイスランドはマニュアル車が一般的だそうで,事前にオートマチック車を予約してはあったのですが,もしマニュアル車だったらどうしようかと心配でした。心配をよそにちゃんとオートマチック車を借りることができました。
予約をしたのは空港の近くのゲストハウスでした。心配をよそにすんなりと場所を見つけることができて,これまた一安心でした。このゲストハウスはチェックイン時にスタッフがおらず事前にはルームキーの受け取り方法のメールが来たのですが,これまたうまく行くのか不安でした。しかしこれも問題なくうまくいって無事に部屋に入ることができました。
まだ明るかったので,明日は1日現地ツアーに参加することにしたので,その集合場所のレイキャビックのバスセンターまで行ってみました。車で20分の距離です。その帰り,軽くハンバーガーの夕食をと思ったのですが,単なるハンバーガーセットが1,999クローナ,日本円で2,000円もしてビックリしました。物価が高いとは聞いていたけれどこれほどとは。

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6泊8日でアイスランドへ行くことになりました。夏は世界中どこも混んでいるし,暑いし,物騒だし,ということで,涼しくてあまり混雑していなさそうな場所ということで決めました。運がよければオーロラが見られるかも,という期待もありました。
セントレア・中部国際空港からフィンランド航空でフィンランドのヘルシンキまで行って,ヘルシンキ乗り換えでアイスランドのレイキャビックです。ヘルシンキは便利な空港で乗り換え時間も短いので,とても楽です。唯一の問題はアイスランドがこれまで行ったことがない国なので,要領がよくわからないということですが,なんとかなるでしょう。
フライトは午前10時30分の出発なので,通常より少し早く,空港までの電車が金山乗り換えで少し面倒でしたが,今回は遅れることもなく空港に到着しました。フィンランド航空はプライオリティ資格がないのでアップグレードがないので,チェックインのときに8,000円ほど出してアップグレードしました。
チェックインのときにうしろに並んでいた若い女性はドイツのオーケストラでファゴットを演奏しているという日本人で1週間ばかりの里帰りを終えてドイツに戻ると言っていました。彼女の先生はN響オーボエ奏者の池田昭子さんだと聞いてさらにビックリでしたが,池田先生メチャ怖いんだそうです。イメージ変わってしまいます。
ヘルシンキまでのフライトでとなりに座ったのはこれから交換留学でデンマークに行くという大学2年生の女性でした。前回フィンランドに来たときもそうでしたが,日本は女性だけ元気だなあと思ったことでした。

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