私がヘルシンキ発ロヴァニエミ行きの夜行電車のことを知ったのは,「世界の村で発見!こんなところに日本人」というテレビ番組で,榊原郁恵さんがフィンランドの最北部の町ウツヨキに住む女性を訪ねるときに利用したのを見たときでした。ちょうどその番組が放送された数日後にロヴァニエミに行ったこともあって,とても身近に感じたものでした。私はヘルシンキからロヴァニエミまで飛行機を利用しましたが,こんな電車があるんだ,と思いました。そしてまた,その当時はフィンランドといえばロヴァニエミしか知らなかったので,ヘルシンキという町,そして,ヘルシンキの中央駅に興味をもちました。
私がロヴァニエミに行ったとき,オーロラ鑑賞ツアーに参加したその帰り道で,幸運にも,ちょうどロヴァニエミ発ヘルシンキ行きのこの電車が走っていくのに出会いました。
そんなこともあって,おそらく実現はしないでしょうが,いつかこの電車に乗ってフィンランドを旅したいという想いができました。私が宿泊しているホテルが中央駅に近いこともあって,私は,ぜひ,この電車を見てみようと思い立ちました。そこで,夜10時過ぎにホテルを出て,電車を見るためにホームに行ってみました。

この電車を通称「サンタクロース・エキスプレス」(Santa Claus Express)といいます。フィンランドVRグループが運行する夜行列車です。ヘルシンキ、トゥルクとサンタクロースの故郷とされるロヴァニエミを結ぶことからこの愛称があります。「大人のためのファンタジー列車」と紹介されているものです。ヘルシンキ中央駅とロヴァニエミを1日2往復しています。電車は14両から18両編成です。54号車とかいうので,そんなに長いのかと思うのですが,車両番号は1からつけられているのではありません。
車両は,デラックス寝台車と普通寝台車の指定席,そして,リクライニング2等座席車の自由席,さらに食堂車があります。
定刻の30分ほど前にホームに電車がバックでゆっくりと入ってきました。ホームには大きな荷物を持った乗客がたくさん待っていました。先頭まで行ってホームで写真を撮っていると,ホームに列車を牽いてきた機関士さんが降りてきたので,この電車に憧れて見にきたと話したらうれしそうでした。
やがて時間になって,電車が出発しました。これから800キロメートル,12時間をかけての旅の開始です。
なんだか,とても胸が熱くなりました。
こうして,私のヘルシンキでの長い,そして,楽しい1日が終わりました。

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