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 旧中山道は,岐阜以西は平たんですが,長野県や群馬県は峠越えの街道でした。それでも,登山とは違って危険はなく,また,ほとんど人がいないので,散歩するにはとても安全で楽しいところです。
 旧中山道の峠越えでは碓井峠,和田峠,鳥居峠というのが有名なので,いつか歩いてみたいと思っていました。もう少しすると蒸し暑い季節になって街道歩きも秋までお休みになってしまうので,今が街道歩きの今春のラストチャンスということで,木曽駒高原に行ったついでに,今回は鳥居峠を歩くことにしました。
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 長野県を通る旧中山道は,そのほとんどがJR中央線と国道19号線に沿っているので,宿場間を歩いたら,JRで戻ることができます。この鳥居峠は藪原宿から奈良井宿の間ですが,藪原も奈良井もともにJRの駅があります。軟弱な私は,旧街道歩きはつねに楽な下り坂を歩くことにしているのですが,藪原から奈良井と奈良井から藪原はどちらから歩けば標高差が少しでも楽かを考えて,JRの藪原駅に車を停めて藪原宿から鳥居峠を越えて奈良井宿まで行き,奈良井からJRで1駅戻ることにしました。

 朝10時前,藪原駅に着きました。駅前は人ひとりおらず,駅前には自由に車が停められました。狭くゴミだらけで汚く人が異常に多い日本にいると,アメリカやヨーロッパ,オーストラリア,ニュージーランドなどの田舎の美しくかつのどかな風景が,今となってはとても懐かしいのですが,それでも,日本の「観光地でない」山里は人もほとんどおらず,ホッとします。
 藪原の町はJRの線路の西側にありますが,駅前は東側です。駅からから線路沿いに少し歩き,架線の下にあった歩道を越えると,藪原宿だった町並みになりました。当時の面影が残る家もあり,道幅も旧街道のままで,タイムスリップしたような感じがしました。藪原宿は宿内家数は266軒,うち本陣1軒,脇本陣1軒,旅籠10軒で。人口は1,500人ほどでした。
 長野県の国道19号線沿いの宿場はどこもそんな感じです。自働車道は江戸時代の宿場町から平行に新しく作られたところをバイパスして通っていて,旧中山道の宿場のなかの道はどこも昔のままの幅で残っています。
 この宿場の伝統は「お六櫛」です。今も特産品として,それを扱うお店がありました。「お六櫛」というのは,妻籠宿のお六という老婆が藪原宿で始めた「お六櫛屋」が物のよい櫛を売る店として評判だったというのがはじまりのようです。また,藪原宿は,旧街道に沿って,一里塚,明治天皇の記念碑,防火高塀跡,極楽寺宝蔵庫などの旧跡が点在していました。

 旧中山道は,藪原宿を過ぎたあたりでJRの線路によって分断されています。この先に行くには再び線路を越す必要があります。線路をまたぐには,歩道橋がありました。それを越えると飛騨街道と中山道の追分がありました。さあこれからいよいよ鳥居峠に入ります。