私が涼しいフィンランドに行っている間に,日本ではさまざまな旅番組が放送されましたので,今日は趣を変えてその話題です。
私「でも」 Amazon の prime video を見るようになってからは,わざわざ番組表で見たい番組がいつ放送されるかを調べて録画設定をしたり番組を見ることが煩わしくなってきたのだから,若い人たちは,もはや,テレビの番組など見なくなっているのかもしれません。今日では,テレビも新聞も,それ以外の楽しみがなかった時代に生きた老人だけの娯楽のようです。そこで,テレビも新聞もそうした老人向けの旅番組やら若返り商品の宣伝やら,そんなものばかりです。
しかし,旅番組ももはやネタ切れという感じがしないでもなくなってきました。そうなると,何を狙いとした番組かということが明確でないと,見ているほうは戸惑うだけです。まあ,時間つぶしとして見ている分には,楽しければそれでいいのですが…。しかし,私には知っていることが何度も出てきても飽き飽きしてしまいますし,教養のない出演者がつまらない質問をしていると白けてしまいますし,期待した内容でなければがっかりしてしまいます。
とはいえ,音楽好きといってもそのジャンルによって好みが分かれるように,旅好きといっても何を求めて旅をするかによってまったく求める情報が違うので,番組作りもたへんです。それに,狭い日本,魅力的な場所や話題がそうあるものでありません。
今回のNHKBSプレミアム「ニッポン国道トラック旅」は中山道でした。この番組は,はじめは高速道路を走り,その次に国道1号線から順に日本列島を走っていたのですが,日本の国道の番号づけは順番に走ればいいというものではないので,前回の北海道に続いて今回は中山道ということに方針変更となったのでしょうが,そんなことなら,第1回の国道1号線は東海道とでもすればよかったものを,おそらくはじめのうちはこんなふうにシリーズ化するとは思っていなかったのでしょう。
しかし,そもそもたった1時間30分で中山道を網羅すること自体に無理があるので,こうした番組を製作しなければならない担当者の苦労というものがわかります。旧街道の名所を紹介する番組にするのなら,すでに中山道を歩くという番組がありました。その土地の人と触れ合うなら,家族に乾杯という番組があります。ゲストとのトークも魅力ですが,それもまた,同じような番組がほかにもあります。そうなると,この番組の大型トラックを使うメリットは道路を走っているときの目線が高い,という以外に何もありません。
どの旅番組も同様ですが,ゲストの力量次第で番組がまったく変わってしまいますが,それならトーク番組と同じです。となると,最終的にはぐっさんの個性,ということになるのでしょうが,それならぐっさんの出ているよく似た番組と違いがありません。そんなわけで,私には番組としてはおもしろかったのですが,この番組の狙いがよくわからなくなってしまって,この先番組を続けるのならどうするのだろう,と思ってしまいました。
ところで,今年も徳島の阿波おどりが録画で放送されました。
私は,以前ブログに書いたように,阿波おどりを見たくて,ずいぶんと情報を集めて,実際に出かけたことがあります。阿波おどりは,踊る楽しみとは別に見る楽しみがあって,有料の桟敷席があります。私も行ったときには桟敷席で見ました。有名連,と言われる連の人たちのものはすばらしいものでしたが,それ以外の連は,やるほうの自己満足以外のものではなく,見ていてもおもしろいものではないなあ,というのが私の印象でした。それに加えて,暑すぎるので,私はリピートする気をなくしました。
阿波おどりを中継する番組もまたいつも同じ内容で,マンネリ化していて今年は見る気も起きませんでしたが,それでも,何となく見ていたら,今年は違いました。
阿波踊りは昨年のごたごたで「総踊り」というものがなくなったのが,今年は復活しました。番組はこの「総おどり」が中心に取り上げられていて,これが圧巻でした。特に,昨年のごたごたで苦労した人たち,特に天水連の連長である山田実さんの,「総踊り」が終わったあとの満足した笑顔がとてもすばらしいものでした。この「総踊り」を放送で取り上げたことで番組に芯ができました。
おそらく,こうした,人がすべての情熱をささげたものを直に見ることができたとしたら,そのことこそが正真正銘の旅のだいご味というものなのでしょう。また,今年もまた有名連「娯茶平」の連長である岡秀昭さんのお元気な姿を見ることができて,ホッとしました。
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