毎年行われているNHK交響楽団名古屋定期演奏会,今年は例年より早く2021年11月28日日曜日でした。曲目はパガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番とチャイコフスキーの交響曲第5番でした。
パガニーニにチャイコフスキーとなれば,音はギラギラ,曲は派手で,私向きではありませんが,このご時世,当代一流の演奏が聴けるだけでもよしとして聴きにいきました。
パガニーニのヴァイオリン協奏曲は,19世紀前半のヨーロッパ社会で「見世物的な演奏技巧を武器に観客のウケを狙う演奏家の総称であるヴィルトゥオーゾ(virtuoso)」の中心的人物であったニコロ・パガニーニ(Niccolò Paganini) が名声を確立したころに作られたものです。
「明るく優美な旋律と超絶技巧がヴァイオリンの魅力を引き立たせる」とパンフレットにあるので,「私が上手なのを見て!」みたいな曲なのでしょう。まあ,サーカスのようなものです。
また,もう1曲の,いわずと知れたチャイコフスキーの交響曲は,ブルックナーが男性好みである一方,チャイコフスキーは女性好みらしく,私はコンサートでは聴いても自分から自宅で聴くことはありません。この日の曲目はそんな位置づけです。
指揮のファビオ・ルイージさん(Fabio Luisi)は次期NHK交響楽団の首席指揮者ということで,いわば顔見世興行。これまでの首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィさんよりも年上だそうですが,それにしても,外観に似合わず動きが派手な人だなあというのが私の感想でした。指揮台で踊っていました。
先日FM放送で聴いたブルックナーの交響曲第4番がとてもよかったので,この指揮者は,こうしたぎらぎらの曲よりも,むしろ,こころに染みるような曲の方が似合っているのかもしれません。「尋常ならぬ熱気がびんびんと伝わってきて」と解説にもにあったのですが,これがその姿なのかと思いました。
パガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番を演奏したフランチェスカ・デゴさん(Francesca Dego)はすらりとした背の高い女性でした。NHK交響楽団とは今回が初共演ということで,これまで私はまったく知りませんでした。パガニーニが得意ということなので十八番の曲なのでしょう。解説にある「明るく魅力的な音色と歌に満ちた演奏」であったことは疑いありませんでした。
このご時世,予定どおり,無事にコンサートを聴くことができただけで満足,楽しい時間でした。
早く,何の憂いもなく,以前のように,いい音楽が聴ける日をこころ待ちにしています。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは