高知空港の建物の中にレンタカー会社のカウンタがありました。私が借りたのは山形に行ったときと同じオリックスレンタカーでした。送迎が来るから少し待つように言われて待っていると,やってきたので乗り込んだのですが,レンタカー会社は道路を隔てた場所にあって,歩いても行くことができるくらいの距離でした。
いよいよ出発です。高知龍馬空港は高知市より結構東に離れた海岸沿いにあるのですが,私がめざす祖谷は空港から少しだけ国道55号線を西に走り,国道32号線に出て,国道32号線を道なりにずっと北上して大歩危渓谷まで行って,そこを右折して県道45号線に入るとすぐです。以前,自宅から車で高知市に来たことがあって,そのときに,徳島市から西に吉野川に沿って走り,南に折れて国道32号線を南に走ったことがあるのを思い出しました。
いつものことですが,私の旅はやりたいことを先にやる,というのが基本です。
今回の旅の目的のひとつは祖谷のかずら橋ですが,さらに行った奥祖谷に二重かずら橋があって,ぜひ,そこのふたつのかずら橋を渡ってみたかったのです。幸い,この日は天気がよかったので,祖谷を通り過ぎて,まず,奥祖谷まで行くことにしました。祖谷から奥祖谷までは県道45号線を東に走って,つきあたる国道439号線をさらに走っていきます。
私がこの旅で最も心配だったのが,その,国道439号線でした。
それは「文春オンライン」に次のような記事があったからです。
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日本で最上級の道路である国道。国の根幹となる道路だけに,整備が行き届いているイメージをもっている方が多いだろう。しかし,そんなイメージとは裏腹に,道幅が狭く,舗装は剥がれ,路面に落石が転がっている酷い状態の国道,すなわち「酷道」も存在する。
そんな酷道の中でもトップクラスに酷いのが四国の国道439号だ。
国道439号は四国を横断しており,徳島市から高知県四万十市を結ぶ,一部界隈からは「ヨサク」の愛称で親しまれている道路だ。道の酷さもさることながら,総延長348キロメートルという距離が,ドライバーを精神的に追い詰める。走り出してから1時間もすると,早々に対向車との離合が難しくなってしまった。さすがは「酷道」だ。
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「日本3大酷道」というのがあります。それらは,紀伊半島を横断する国道425号線と,福井県大野市から長野県飯田市を結ぶ国道418号線とともに,この国道439号線のことを指すそうです。私は,そうとは知らず,以前,何と,雨の夜に,国道425号線を走ったことがあって,えらい目に遭いました。それ以来,「酷道」はトラウマになっていました。そこで,今回,奥祖谷にたどり着くためには国道439号線を走らなければならないということがずっと懸念材料だったわけです。
しかし,天気がよかったこともあって,走ってみたら,意外や意外,まったく大したことはありませんでした。確かに,一部,すれ違うことが困難で,対向車が来たらどうしよう,というところもあったのですが,それはそれで気をつけて減速して走れば大したことはなかったし,まれに対向車が来ても,地元の車はうまくかわしてくれました。また,山深い国道425号線とは違って,周囲にはずっと集落もあったし,多くの場所で改良工事が進んでいて,道路が広くなったりトンネルが作られていました。
いろいろな面で,前回走った国道425号線のほうがずっとたいへんでした。国道425号線は二度と走りたくないけれど,国道439号線はまた走ってもいいかな,という感じでした。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは