佐渡島3泊4日の旅。私がははじめの2泊で選んだのが「桃華園」という民宿でした。最後の1泊を別にしたのは,ある思惑があったからですが,そのことはいずれまた。
旅といっても,私の場合,つねに自由気ままなひとり旅なので,海外も日本国内もさして変わることはなく,まず,往復の交通機関を決め予約し,次に,現地での移動手段を決め,それがレンタカーであれば予約をし,そして,宿泊先を探し出して予約する,というだけのことです。大概はこれで終わりで,後は出たとこ勝負ですが,時にはさらに現地ツアーを探すこともあります。また,宿泊先は現地に着いてから探すときもあって,以前はほとんどそうしていたのですが,現在はネットで簡単に予約ができ,しかも,キャンセルも簡単にできるので,とりあえず,まず,適当なところを確保してしまうことにしています。
今回は,はじめに,県営名古屋空港から新潟空港までのFDAを予約しました。これは,早ければ早いだけ安価です。もし,FDAが就航していなければ,新潟までは東海道新幹線,上越新幹線と乗り継ぐことになるわけで,それではあまりに値段が高く時間もかかるので,そのときは,おそらく佐渡島には行っていなかったと思います。とにかく,いつもFDA様様です。新潟空港から佐渡島までは,これまでにも書いたように,なんとかなるだろうと,無計画でした。次に,佐渡島での移動手段は,もちろん,レンタカーにしたのですが,多くの他のところとは違い,レンタカー会社が限られていたので,その中で,もっともメジャーだと私が思ったタイムズレンタカーにしました。そして,最後に宿泊先を探していったわけですが,日本国内の旅行の場合,私が最も重視するのは,なるべく小さな宿で,ほかに宿泊者がいそうにないところ,そして,夕食と朝食がついていて,理想をいえば温泉であること,です。そのような条件とクチコミなどで見つけ出したのが,この「桃華園」でした。温泉ではありませんでしたが,大きなお風呂がありました。また,場所は特にこだわりませんでした。というより,佐渡島がどうなっているか,皆目見当がつかなかったから,まあ,どこでもいいや,という感じでした。私がこの民宿を選んだ決定打は,この民宿の女将がトキを見ることができる場所を教えてくれる,という口コミを読んだことでした。
ともあれ,私は,カーナビを頼りに民宿に行きました。場所は金北山の登山口にあって,かなりの山の中だったので,これもまた,私には理想的でした。近くにはコンビニの1軒もありません。こういうのがいいのです。午後5時到着という予定だったのですが,ちょうどそのころに到着しました。
大きな民家で,離れに宿泊棟があって,1階に2部屋,2階にも2部屋ありました。私が宿泊した1階の6畳和室の部屋にはバストイレがついていましたが,風呂は,別棟の大きなものを利用しました。食事は母屋で食べます。思った通り,オフシーズンで,宿泊は私だけでした。
夕食は午後7時にしてもらって,一度また外に出ました。
トキがねぐらに帰るのが日が沈むころだとトキの森公園で聞いていたので,もう一度トキのテラスへ行って,運がよければトキが見れらるかも,と思ったからです。しかし,トキのテラスで30分以上を眺めていても,鳥1羽飛んできませんでした。どうやらトキのテラスは飛んでいるトキを見るにはあまり条件のよくない場所だったようです。ただし,美しい夕日を見ることができました。
あきらめて民宿に帰って,いよいよ夕食です。
この家には5歳と2歳のかわいい男の子がいて,食事の前に,歓迎太鼓を披露してくれました。それがまあ上手だったこと。生まれたときからそれを聞いて育って,体が覚えているようでした。その後,地酒「金鶴純米活性にごり酒」を冷で2杯飲んで,おいしい食事をいただきました。普段お酒を飲まない私ですが,この地酒は気に入りました。
夜,お風呂から戻るとき,空に満天の星が見えました。私は,星を見に来たわけではなかったのですが,三脚は持ってきたので,星の写真を撮りました。この時期の天の川は薄くしか見えません。
そういえは,松尾芭蕉に次の句があります。
・・・・・・
荒海や佐渡によこたふ天の河
・・・・・・
この句は,夜の日本海に浮かぶ佐渡島の黒々とした島影とうねる日本海の荒波のふたつの対比的な事象を超越するかのように天空をまたいで天の川が横たわっている姿を詠んだという「奥の細道」を代表する句のひとつです。
この句を詠んだとされるのは七夕も近い旧暦の7月4日,新暦の8月18日でしたが,記録によると,新潟を発つときは快晴だったものの,夕刻に出雲崎に着いたあと,夜中には強い雨が降っていたというので,松尾芭蕉が実際に見たものを詠んだのかどうかは意見がわかれるのだそうです。
そもそも,天の川があざやかに見えるのは南の空だから,新潟から日本海を隔てた佐渡島を見るのとは反対の方角です。そこで,この句のイメージどおりの写真を写そうとなれば,佐渡からずっと北に船で行って,島影の上に天の川がある写真を写す必要があるわけです。私は,佐渡島にいるのだから,当然,そんな写真も写せません。で,ちょっとしゃくなんで,以前,木曽駒高原で写した夏の天の川の写真を最後に載せておきます。
◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは