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奥琵琶湖の西湖岸道路は風車街道と名づけられています。
このあたり,マキノサニービーチ,オートキャンプ場,海水浴場があって「琵琶湖で一番美しいところ」という歌い文句で観光客を集めています。奥琵琶湖は水がきれいで淡水なので,海で泳ぐようなベタつきもなく,人気があります。おそらく,夏場はすごい人でしょう。
私は,人が少ないところ,または,人気があってもシーズンオフの場所を探しては旅をしています。ここもまた,この時期は閑散としていました。これがいい。
さらに,晴れ男の私です。朽木谷を通ったときは雪混じりであったけれど,奥琵琶湖まで来ると回復して,すばらしい天気になりました。
今回1泊した民宿は,琵琶湖畔にあり,オートキャンプ場と接していました。私は異常なほどの早起きなので,今回も,夜明け前に起床しました。朝食まで時間があったので,海岸を散歩することにしました。
これがまた,ものすごく美しく,すばらしい景色でした。やがて,日の出を迎え,太陽の光が湖面に光り,最高でした。私は寒さには強いので大丈夫ですが,放射冷却ですごく寒い朝でした。
シーズンオフのキャンプ場に,ただ1組の年配の夫婦が,この寒さの中でキャンプをしていました。
私は,アメリカでキャンプをしたこともあり,アメリカやオーストラリアのオートキャンプ場を知っていて,それに比べて,日本のオートキャンプ場はあまりに貧弱で魅力がないか,または,キャンプというのは名ばかりで,至れり尽くせりだったりするから,日本でオートキャンプをしたり,キャンピングカーを買うことにまったく興味がありません。むしろ,他の国の様子も知らず,狭い日本でこうしたことに浪費している人を哀れんでしまうのですが,ここでもまた,どうしてこんな時期に? こんなところで? とむしろ気の毒に思ってしまいました。
彼らは,せっかくの美しい夜明けの風景を見るでもなく,朝食の準備をはじめました。近くにしゃれたカフェがあるから,何もこんなところで自炊しなくても,とも思いました。まあ,人それぞれですが…。
時間になったので,民宿に戻り,朝食を食べました。
食堂にポスターが貼ってありました。それは,メタセコイアの並木道でした。そういえば,このあたりにそんなところがあるということだけは,いつか聞いたことがありましたが,すっかり忘れていました。せっかく来たのだから行ってみようと,正確な場所をGoogleMapsで検索して,民宿をチェックアウトしたのち,車を走らせました。
それがまあ,見事な風景で,想像以上でした。日本のこうしたところは,実物は写真以下の場合が多く,スケールも小さいことがほとんどですが,ここは違いました。また,この日は平日でもあり,早朝でもあり,シーズンオフでもあったため,ほとんどだれもいなかったことが幸いしました。おそらく,ここもまた,ハイシーズンだとすごい人になることでしょう。
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農業公園マキノピックランドを縦貫する県道小荒路牧野沢線には,延長約2.4キロメートルにわたりメタセコイアが約500本植えられ,遠景となる野坂山地の山々とも調和し,マキノ高原へのアプローチ道として,高原らしい景観を形成しています。
この並木は,1981年(昭和56年)に,学童農園「マキノ土に学ぶ里」整備事業の一環としてマキノ町果樹生産組合が植えたのがはじまりで,春の芽吹き,新緑,夏の深緑,秋の紅葉,冬の裸樹,雪花と四季折々に訪れる人々を魅了します。
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これもまた,このときはまったく知らなかったのですが,2022年に放送されたNHKのプレミアムドラマ「グレースの履歴」のオープニングで,この並木道を赤いスポーツカーで走るシーンがあります。
「グレースの履歴」は日本の美しい風景を舞台に,夫のこころの旅路を妻の愛車でたどるロードムービーで
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妻を突然の事故で亡くした希久夫に残されたものは,妻の愛車「グレース」。日常から遠く離れた場所ばかりカーナビ履歴に残されていたことを知り,妻の不貞を疑った希久夫は謎を解くため履歴をたどる旅に出ます。往年の名女優グレース・ケリーと伝説のエンジニアのエピソードを乗せて,人々に引き継がれていく名車の存在は,希久夫の人生に意外な展開を及ぼしていく。
原作,脚本,演出は「京都人の密かな愉しみ」などで日本人の心を細やかに描きだす源孝志です。
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ということで,私は,今回の旅で,この地を訪れたことでこのドラマを知り,家に帰ってから,NHKオンディマンドで夢中になって見てしまいました。「グレースの履歴」で写されたのはもっと青葉が茂っている時期ですが,今回のような,枯れた姿の方がきれいだな,と思いました。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは