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そのうちに雲が切れてきて,遠くにラピッドシティの夜景が見えるようになった。
夜10時少し前,ラピッドシティに到着。こぢんまりとしたきれいな空港だったが,売店はすでに閉じられ,閑散としていた。
入国1日目。久しぶりのアメリカ,しかも深夜なので,ちょっと緊張した。
さて,問題なのは,空港のシャトルバスである。ラピッドシティから事前に予約済みの宿泊先のホテルまでは20キロメートル近くあって,空港シャトルバス(バン)で行くのだという。日本で調べても,それ以上のことがよくわからない。シャトルバスが空港にいつもいるのか,電話をしたらすぐに来るのか,そういったシステムがわからないので不安であった。
しかし,案ずるより生むが易しであった。
バゲジクレイムの隣が空港の出口で,出口の右隣にはレンタカーのカウンタが並び,反対側にシャトルバスの受付があって,そこに係員がふたりいた。
シャトルバスの受付で話をすると,さっそく手配をしてくれたが,今外に止まってバスは,すでに,乗客が一杯だという。次のバスまで待てといわれたが,どこで待てばいいのか,どのくらい待てばいいのか,こちらから聞かなければ,なにも指示がない。
この不親切さこそ,アメリカらしくて好きだ。日本の親切さは客にとれば便利でここちよいが,働いているほうは,ストレスだらけだろう。そして,客はますます横柄になる。
やがて,5分もしないうちに,同乗する人たちも集まり,次のシャトルバスが来た。出口を出ると目の前にシャトルバスがいて乗り込んだ。他のお客さんたちは,モンタナ州やらサウスダコタ州やらを旅している老人の5人組だった。このシャトルバスの料金はいくらだと隣に座った老人が聞くが,私が持っているガイドブック「地球の歩き方」は日本語だ。これは日本語だけど,といって見せると,今度は,私も昔日本にいったことがあるという話になって,そして,質問ぜめになった。一番の話題は3・11の東日本の地震のこと。
ちなみに,シャトルバスの料金は20ドル。それにチップが少々である。
バスの中にはカントリーミュージックが流れ,老人たちと運転手の合唱が始まる。ウ~ム,アメリカだ! 車内は私のほかはアメリカ人が運転手を含めて6人。話に花が咲いている。
雨は上がっていたが,道がぬれていた。今年の夏は,異常に暑いのだそうだ。しかし,湿気がなく過ごしやすい。サウスダコタ州の辺りは影響がないが,アメリカの穀物地帯は,ドラウト(干ばつ)で大変であるらしい。
やがて,バスは,ラピッドシティのダウンタウンにある,老人たちが泊まるホテルに到着して,彼らと荷物が降ろされ,次に,私の泊まる郊外の「モーテル6」へと向かった。
予約されたホテルはラピットシティのインターステイツ90とノースラクロスストリートの立体交差点(インターチェンジ)のところにあって,付近は,レストランやモール,多くのホテルが立ち並ぶ便利な場所だった。
ホテルのフロントは深夜でもあり閉じられているという話だったが,実際には開いていた。チェックインをしようとするが,宿泊者である私の情報がないという。困っていると,あすのツアーのガイドの高木さんが現れて,もう,チェックインはしてありますと言われた。このホテルは,今日,団体客が来ていたので,この時間にフロントが開いているのだという。ホテルは,中庭にプールがある2階建ての,ごく普通のアメリカのホテルであった。バスタブはなく,シャワーだった。そして,ここにも大きな韓国製のテレビがあった。
これで,きょうの長い長い1日は終わった。来ることができてよかった。