☆5日目 7月25日(水)
朝5時起床。ホテルに朝食コーナーがあったので,とりあえず,シリアルとコーヒーをとる。他のお客さんが来て,雑談をする。彼女は,私を,時間をつぶしているホテルのフロントマンと勘違いしていたようだった。
朝食を終えて,部屋に戻って,バッグを車に入れ,チェックアウトをする。とはいえ,フロントには誰もおらず,フロントの机の上には部屋のキーが一杯ちらばっていたので,同じようにキーを置いて,勝手にチェックアウトをした。
まだ,午前6時だというのに,どの客もチェックアウトが早い。観光施設もほとんどない町でのんびりしていても,どうしようもないから,みんな先を急ぐ。給油地のような町だ。
国道85に沿って進む。町の北のはずれに,博物館という小さな建物があったが,何が展示されていたのかは,行かなかったのでわからない。
きょうは1日,ノースダコタ州をまわれるだけまわろう。そして,最終の目的地はノースダコタ州の一番の観光地だというメドラであるが,どういうところか想像がつかない。
まず,ノースダコタを東西に走る主要道路インターステイツ94を目指すことにして,ともかくこの国道85をインターステイツ94の走るベルフィールドという町まで北上した。
はじめは晴れていたが,しばらくして,あたり一面霧になった。車の窓からは何も見えなくなった。
朝霧は晴れという。きょうも天気に恵まれそうだ。
あたり一面真っ白な中を,道の黄色線だけを頼りに慎重に走る。
時折,すれ違う車のライトと,前を走る車のバックライトだけが妖しく光る。
本当に,ずっと真っ白いだけの不思議な世界が続く。時折,霧のはれたところにきて,一瞬,きのう見た大平原と牧草の緑色があざやかになるが,また,すぐに,真っ白な世界に舞い戻る。
そんな,真っ白な世界が永遠に続いている。
本当に本当にしばらく走っていくと,やっとのことで,霧が晴れわたる。すると,夢から覚めたように,緑色の色彩に目を奪われた。そして,牧草地に道だけがまっすぐに伸びる,そんな,これまでの風景に舞いもどった。
この道を,また,しばらく走ったら,やがて,遠くにベルフィールドの町が見えてきて,右手前方にモーテルがあった。そして,そのはるか向こうに,ノースダコタ州を東西にまっすぐ横断するインターステイツ94が走っているのが見えてきた。
インターステイツ94に沿った町で,きょうの宿泊先を探そうと思った。といっても,ホテルのありそうな町は,この国道85とインターステイツ94が交差するベルフィールド,その東のディキンソンくらいだった。その次は,もう,ビスマルクになってしまうので,きょうの目的地のメドナからは遠すぎる。
確かにベルフィールドにはモーテルが存在したが,なぜか宿泊する気が進まず,次の大きな町であるディキンソンを目指し,インターステイツ94を東に走ることにした。
午前8時ごろ,ディキンソンに到着した。この町も,例によって,インターの近くに数件のホテルやガソリンスタンド,そして教会や学校,住宅地がある町だった。町の中の道路はどこも工事で,車線の規制があって走りにくかったが,ともかく,一番手前にあった「スーパー8」に入る道を見つけてなんとか右折して,ホテルの駐車場に車を止めて,フロントへ行った。
ノンスモーキングのシングルという条件の部屋が空いていないかと聞いたが,部屋がないということを言われた。親切なフロントのおばちゃんは,隣のホテルに聞いてみるといって電話をかけてくれた。
道の向こう側に,「セレクトイン」というホテルがあって,そこには希望の部屋があるということだったので,そこまで道を横断して歩いて行って,ホテルに入ると,すでに連絡を受けていますといった顔をしたフロントの男性がチェックインの手続きをした。結構値段が高かったが,仕方がない。
石油ブームでノースダコタ州はホテルが取れないという話は,まんざらうそでもないようだった。
もう,部屋に入っていいということだったので,とりあえず,部屋にカバンだけ入れて,改めて出発だ。