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 早朝,ここにホテルを確保したことは,結果的に大正解 -メドナに泊まればもっとよかったのだか- であった。
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 きょう1日でノースダコタ州のどこまで行くことが出来るかを地図を見ながら考えてみると,まだ朝早いので,ここディキンソンから州道22をそのまま北上して行けば,ノースダコタ州の中央部にあるサカカウェア湖畔にまで足を伸ばせそうだった。
 そうして,そのあたりまで行ったら進路を西にとってワットフォードシティという町まで行って,今度は南に進路を変更して,コの字型にルートをとり,州道85を下れば,ちょうど,テオドア・ルーズベルト国立公園のノースユニットのゲートに到着し,さらに南下して,インターステイツ94のベルフィールドまで戻ってくれば,その西にあるメドラに着く。
 メドラには公園のサウスユニットのゲートがある。
 …そうしたコースが作れることがわかった。

 そこで,ディキンソンからインターステイツ94を横切って,州道22をひたすら北上することにして,車に乗り込んだ。
 きょうは平日。ディキンソンはちょっとした通勤ラッシュの真最中だった。町の北側に大きな会社があるようで,車線を広げている工事中の州道22はただでさえ走りにくいのに,やたら会社の駐車場に入れるために右折する車があるようで,渋滞気味だった。
 それでも,その地点を過ぎると,あっという間に市街地は終わって,また,一面に牧草地が広がるようになった。遠くに見える黒い点の集まりは牛の群れだ。

 サウスダコタ州との大きな違いは,石油だった。
 一面の牧草地に時折見えるのは,石油を採掘する旧式の井戸。そして,ひときわ目立つのが,シェール層から石油を発掘する新型の掘削タワーと採掘した石油をストックするのであろう石油タンク群。
 ノースダコタ州の西部からモンタナ州,そしてカナダに広がるバッケン油田は,シェール層という岩盤に大量の石油が眠っているということだったが,石油の高騰と技術の革新で,不可能であるとされてきたシェール層からの石油の採掘が採算的にも可能になって,現在,オイルラッシュの真只中。
 労働者が全米から押し寄せ,ノースダコタ州は好景気に沸いている。失業率は1パーセント以下である。
 アメリカは石油の輸出国に転換するということだ。

 うわさには聞いていたけれど,本当に目の当たりにすると,なぜかものすごく感動する。
 そんなわけで,道路も拡張工事中ばかり。道路工事用のトレーラーと石油を積んだトレーラーが頻繁に通過する。とはいっても土地は広く,道も広いので,雄大な景色に変わりはない。
 さらに,なお,延々と平坦な景色が続いて,それでも,日本ではこんな景色は見たことがないので,いつまでもいつまでもずっと感動しながら走っていくと,やがて,本当にしばらくして,州道22がリトルミッスーリ州立公園に近づいたころ,急に景色が変わり,地層の連なりが脈々と見えるビュート,そして,奇妙な形の山並みが続く,まったく別の風景になった。この景色であれば,日本なら超一流の国立公園だ。

 道も,これまではまっすぐだったのが,谷をぬうように曲がりはじめた。
 確か1年ほど前,このあたりは水禍に見舞われたところである。このあたりの道路工事は拡張工事か,はたまたその復旧か。
 その先も,延々と,そうした景色が続いていたが,やがて,しばらくして,ようやく,大きな川の見えるところまで来た。