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☆3日目 3月15日(土)
 3日目の朝になった。外を見ると雨が降っていた。天気予報によれば,この後,雨は上がるらしいということであった。
 いつものように,とても早く目が覚めたので,朝食を食べたり,あたりを散歩したりした。
 サンアントニオという大都会も,ピッツバーグやらクリーブランドといったアメリカの普通の大都会と同じく,朝は静寂に包まれて,散歩していても気持ちがよかったが,まだ,少し雨が残っていた。
 出会った人に,あいにく雨ですね,といった会話をしたが,すぐに上がるだろうと言われた。

 やがて,午前9時を過ぎた。そして9時半になろうとしていた。しかし,友人からは何の連絡もなかった。
 私は,だんだんといらだってきた。
 本来ならば,この日の朝8時にレンタカーを借りて,ニューメキシコ州へドライブに出かける予定であった。友人が,2日間サンアントニオの観光をするから,変更するように言ったので,1日この予定を延長することになったのだった。

 あすは,日曜日で,レンタカーの営業所(ホテルのカウンタ)が開くのは通常よりも1時間遅く,午前9時であった。しかも,昨日このレンタカーのカウンタに行ったときのことを考えると,時間通りに車が借りられとは思えなかった。だから,日曜日の出発になると,さらにニューメキシコ州へ出かける時間が遅くなってしまうのだった。ニューメキシコ州は果てしなく遠いのだが,それがさらに遠く感じてしまった。
 こんな状況では,きょうまでしか予約のないこのホテルをチェックアウトして,今晩は友人が住む家の近くのホテルに移っても,あすの早朝に,友人が私をダウンタウンのレンタカーの営業所に時間通りに送ってくれるとはとても思えなかった。

 私は,友人など当てにせず,今晩のホテルは自分で探して,明日の朝は自分で営業所に行くことを考えた方がよさそうだと思った。しかし,昨日,ホテルのフロントで観光客が満室だからと予約を断られていたのを考えてみても,今晩部屋があるとはおもえなかった。私は,ホテルのフロントで,もう1泊このホテルに宿泊できないかと聞いたが,やはり,満室ということであった。
 アメリカには学生でなくとも春休みというのがあるらしく,今がその時期,しかも,月曜日はセントパトリックデーの祝日であった。日本のゴールデンウィークと同じであった。
 ダウンタウンの近くのホテルはどこも高級ホテルだったし,きっとどのホテルも満室だろうと思った。いったい,今晩はどうなるのだろうかと心配になった。

 そうこうするうちに,午前9時30分をとおに過ぎて,それでも,友人からは何の連絡もなかった。
 昨日のこともあるし,友人のことなどどうでもよくなりかけていた。
 もう,友人など無視して,変更した予定をまた変更して,きょうレンタカーを借りて,このままニューメキシコ州へ行こうと思って,レンタカーの営業所のあるマリオットホテルへ歩いていった。
 もし,ここでレンタカーの営業所にスタッフがいたならば,私は,この日にレンタカーを借りて,友人を無視して,ニューメキシコ州へ旅立ったに違いなかった。しかし,レンタカーのカウンタには,すでに先客がいたが,スタッフは不在であった。その先客に聞くと,スタッフはレンタカーの駐車場に行っているのではないか,と言った。でも,きっとそうではなく,このスタッフがまた遅刻しているだけであろうと思った。
 スタッフがレンタカーの駐車場に行っているのであろうと,それともきょうも遅刻しているのであろうと,これで私は気合いがそがれてしまって,私は,きょうレンタカーを借りるのをやめて,友人が来るのをいつまでも待とうと,泊まっていたホテルに戻った。
 すでに午前10時を過ぎていた。

 ホテルに戻ってみると,友人が不機嫌そうに,ホテルの駐車場に車を停めて待っていた。
 彼女は,朝,家を出ようとしたときに,急に仕事が入って,なんらかのトラブルをかかえ,その対処に手こずっていたといった。困ったクライアントだ,と捨て台詞を吐いたが,私は私で,プライオリティはどっちだ,と思った。
 今日もまた朝からそんな状況であったが,ともかくも,ホテルのチェックアウトをして,カバンを友人の車のトランクに詰めて,出発した。