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 今晩は皆既月食が見られます。
 子供のころ,皆既日食というものをはじめて知ったとき,一度は見ていたいものだと思いました。しかし,日本で皆既日食を見ることができるのは遠い先のことで,落胆しました。
 恐竜やマンモスの化石,オーロラ…。どうして,日本ではそういうものに無縁なのか,子供ごころに日本に失望した思いがたくさんありました。
 そのとき,皆既月食のことも同時に知ったのですが,皆既月食は皆既日食に比べて日本でも頻繁に見られるから,それはそれほど珍しい現象でもないし,皆既日食で見られるダイヤモンドリングもないし,私は,あまり興味がわきませんでした。

 それに,子供のころに,私は皆既月食をはじめからおしまいまで見てがっかりした記憶がありました。
 それは,15歳まで住んでいた家の近くの公園でブランコを漕ぎながら見たのだから,おそらく1960年代のことだと思うのですが,皆既月食といっても,日食とは違って,月が見えなくなるわけでもなく,やたら赤っぽい月が浮かんでいただけでした。なんだ,赤いだけじゃないか,と失望したことや,あまりに,皆既の時間が長く飽きちゃったことが,がっかりの原因でした。
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 やがて,月日が流れ,私は,1999年には念願の皆既日食をハンガリーで見ることもできたし,オーロラも見たし,マンモスの化石も見たし,恐竜の化石もたくさんアメリカで見ました。それは,子供ころの失望が反骨精神となって外国に行ってこれらを見てみたいと思っていたからこそ実現したのかもしれません。そして,今でも失っていない星への興味が,歳をとるにつれてさらに深まって,月も素敵なものだという気持ちに変わってきました。

 日食は,太陽と地球の間を月が通過するとき,つまり,ちょうど新月である月が,太陽の前を通過することで起きるわけだから,皆既日食というのは,実は太陽の前の月を見ているということになります。見かけ上の大きさがほぼ同じという偶然から,それが皆既日食になるわけです。だから,地球上で見ることのできる範囲は狭く,皆既になる時間もわずか数分です。
 それに,地球をまわる月の軌道は楕円だから,地球から月が遠いときには月の方が太陽よりも見かけ上小さくなるから,太陽をすべて隠すことができず,このときは残念ながら皆既日食にはならず,金環日食になってしまいます。これは2年前に日本でも見られました。私もしっかりと観測しました。
 それに対して,月食は,夜,月を輝かせている太陽の光を地球が邪魔して起こるので,地球上の非常に広範囲で見ることができるし,皆既の時間も1時間程度にもなるので,それほど珍しい現象でもないわけです。そして,私が子供のころに見たように,皆既月食では,地球の大気によって太陽の光のうち波長の長い赤系の光が屈折・散乱されて本影の中に入るために,月は真っ暗にはならず,暗い赤色(赤銅色)に見えるのです。
 しかし,火山爆発などで大気中に多量の微粒子が浮遊している場合には,月が非常に暗くなって灰色かほとんど見えなくなることもあるらしいです。今回の皆既月食は,赤銅色だと言われているのですが,実際はどうなのでしょうか。御嶽山の噴火は影響があるのでしょうか?
 それよりも,実は,今回の皆既月食で私が興味があるのは,皆既中に月の光が弱くなることで,満月の夜空には消えてしまう星々が皆既中には見られるということなのです。特に,今回の皆既月食では,月のわずか右側に天王星がいるので,これが見られるかどうか,ということが最大の楽しみなのですが…。