それにしてもずっと晴れません。ここ数か月星を見たことがありません。おまけに,関東から東北にかけては,大災害が発生しました。
私は,前回「星見」に出かけたのが5月27日なので,あれからずいぶんと日にちが過ぎてしまいました。ついに,この夏は,夏の星座を見ることがかないませんでした。こんなことになるのなら,5月27日に,ラブジョイ彗星の北極星とのランデブーだけで満足しないで,朝までさそり座といて座の星団たちを堪能すべきでした。メシエ天体制覇まで1年お預けです。
あれから,新月が3度過ぎて,4度目が9月13日。そういえば,この次の満月はお月見であり,日本では見られませんが皆既月食であり,スーパームーンです。
昨晩の天気予報も微妙で,信じていいのかいけないのか,随分と迷いましたが,ともかく出かけました。いくら日の出が遅くなったとはいえ,まだ午前5時20分くらいなのですが,幸運なことに空が明るくなりはじめる午前4時までずっと快晴でした。日の出とともに曇ってきたのもまたご愛嬌かな。
昨年は,ラブジョイ彗星(C/2014Q2 Lovejoy)という思わぬ伏兵が登場して,ずっと楽しむことができましたが,さすがに暗くなってしまいました。それでも今まだ9等星ですが。これからの楽しみは,11月に明るくなるといわれているカタリナ彗星(C/2013US10 CATALINA)です。
この日は出かけたのが遅かったので,ラブジョイ彗星はすでに沈んでいて,もう何もありません。
実は,この日の私の目的はチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P Churyumov-Gerasimenko)を写すことでした。暗くなったラブジョイ彗星よりもさらに暗くて,最接近時の8月13日の光度予報は11等星やら13等星やら。明るさがよくわからなかったのですが,12等星までなら写す自信があったので,なんとか,とこれまで晴れるのをずっと待っていました。でも,写るといっても,単に小さなゴミのような点が写るだけ。そんなもの,何になる? と問われればそれだけのことですが,この彗星,特別な意味があるのです。
このことはすでに書きましたが,少しだけおさらいです。
2004年3月2日に欧州宇宙機関が打ち上げた彗星探査機「ロゼッタ」(Rosetta space probe)は,2014年8月にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到着し,11月12日には地表に着陸機「フィラエ」(Philae)(=1番目の写真)を投下,「フィラエ」は彗星の核に着陸し,史上初の「彗星に着陸した探査機」となったのです。
ところが,史上初の彗星着陸を果たしたものの,太陽光がじゅうぶん当たらない日陰に着地してしまったために着陸後しばらくして電力不足により冬眠モードに入ってしまいました。彗星が太陽に近づくにつれて日照時間が増えて再起動を果たし通信を再開すると期待されていたのですが,ついに目覚めて,6月13日に7か月ぶりの交信に成功(=2番目の写真)。しかし,24日から再び通信が途絶えてしまいました。そして7月10日再び通信に成功して,彗星核の内部構造を探る観測機器からのデータを受信,というわけなのです。
つまり,チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は人間が手に入れたはじめての彗星なのです。これは写すのが礼儀というものでしょう!
先日,冥王星にも探査機が到着して,それを機会に,愛好家に冥王星を写すというのがはやったのですが,こっちこそ,単なる点が写るだけ。しかも,写っていても,どの星が冥王星なのか探すのにまる1日かかったとかいう笑えない話もあります。しかし,冥王星は別に焦らなくても写せるのです。しかし,彗星はそうはいきません。太陽に近づいている今だけ明るくなるのです。
東の空に彗星が昇るのが朝2時30分ごろなので,それまで,天王星(=3番目の写真)を双眼鏡で見たり,星雲の写真を撮ったり(=4番目の写真・M42,5番目の写真・M77)していました。天の川が天頂まで横たわっていて,それはそれは美しい星空でしたが,南の空に輝いているのは,すでにさそり座ではなく,秋の夜空のたった1つの1等星フォーマルハウト,そして,不気味な存在をしめすのが,くじら座でした。
東の空にオリオン座が堂々と昇り始めました。やたらと流れ星が多く,まるでオリオン座流星群のよう,と思ったら,この日は奇しくもペルセウス座ε流星群の極大期でありました。
やがて,ふたご座が姿を現して,ついに,現在ふたご座をかに座の向かって移動中の彗星を写真に収めるこができました(=6番目の写真)。彗星は地平線に近く,写せるかなと少し心配だったのですが,東の空が暗く,彗星も予想より明るくて助かりました。
私が念願の彗星の写真を手に入れて満足したころ,東の地平線にまばゆいばかりの金星が昇ってきました。そして月齢27の細長い月(=7番目の写真)が昇りはじめると,地球照と青みがかった空が美しく輝きはじめました。やはり,いつでも夜明けはすてきです。
久しぶりの星見を堪能した晩でした。
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お正月の贈り物-ラブジョイ彗星が明るく輝く⑨
星を見るのも大変だ-探査機「ロゼッタ」



