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2月の上旬の5惑星のそろい踏みは,1晩に明るい惑星がすべて写せるので,私の「2016観測機材整備」で作った拡大撮影アダプターの実験には最適でした。拡大撮影アダプターの詳細は後日書くことにして,今日はそれを使って写した写真のお話です。
まずは,家から少しドライブして木曽川のツインシティー138の上空に輝く5惑星を写したので,この写真をご覧いただきましょう。2月8日の夜明け前に写したものですが,水星が昇るのを待って写したので,午前5時30分過ぎ,すでに,世の中は活動を始めていて,通勤する人がいたり,犬を連れて散歩している人がいたり,という時間でした。見上げればこれほど素晴らしい星空が輝いているのに,多くの人はそんなことも知らず,もったいない話でした。
なお,この日は月齢28.8。昨日は水星の隣に美しい月が見られたのに,この日は,そんなことは夢だったかのように月の姿はなく,まだ地平線の下でした。
その後,月が昇ったので探してみたのですが,全く見つかりませんでした。
先月月齢28.4は容易に見ることができたのですが,どうやら月齢28.5くらいが見ることができる限界なのでしょうか?
そういえば,私の愛読しているアメリカの天文雑誌「Sky & Telescope」誌の今月の特集のひとつに,新月前後の月を写すというのがあったのにはびっくりしました。まるで私のための記事のようでしたから。
こうした惑星のそろい踏みを写すのならともかく,月や惑星を拡大撮影するだけなら,星が見られる遠い山の中に出かける必要もなく自宅からでもできるので,寒い冬には最適です。ただし,冬の夜空はシンチレーションが悪く像が安定しないのが難点ではありますが。
そんなわけで,新しく作った拡大撮影アダプターを利用して望遠鏡にカメラを取り付けて写してみたのが,今日の2番目から5番目の写真です。
順に,月,火星,木星そして土星です。
天文雑誌や本には鮮やかで大きな写真しか載っていませんが,実際に小さな望遠鏡で写すとどのくらい写るものなのかという情報はほどんどありません。星に興味にない人や,興味があっても図鑑でしか見たことのない人,そして「ドリラー」の気の毒な少年少女たちは,だれでも大望遠鏡で写した写真のように見えたり写せたりすると思っているのでしょうが,そんなわけがないのです。
だから,望遠鏡を買って一度惑星を見るとがっかりして,その後は押し入れの中になってしまいます。
写真でお分かりのように,火星は,この程度にしか写せません。
小さな望遠鏡で写しても面白いのは、木星と土星です。
木星は,衛星を写しても模様を写しても面白いのですが,両方を同時に写すのは露出時間が違うので無理なのです。インチキ? をするなら画像処理という手段を講じましょう。それが今日の一番下の合成写真です?!
土星は,フィルムカメラの時代には写すのが非常に困難だといわれました。なにせ有名なので期待が大きすぎるのですが土星は結構暗く感度が低い時代,ずいぶんと露出をかける必要があったのです。そうしたフィルムカメラの時代を知っている人ほど,口径75ミリの小さな望遠鏡では無理と思ってしまいますが,それが存外いけるのです。図鑑にのっている写真と比べたらがっかりですが。
実際に写してみると,このように,お金のかからない暇つぶしとして十分に楽しめることがわかりました。この先もっと良い写真を写すには,画像処理を工夫する必要がある,ということでしょう。
それはそれとして,惑星は,写真で写すよりも肉眼で眺めるほうが最高です。