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●今日は夕食をあきらめた。●
 さて,私はこのコロニアル・ウェイリアムズバーグでちょっと豪華な夕食をと思っていたのだが,さにあらず,レストランは豪華すぎ,あるいは休日で予約が一杯だった。そんなわけで,一人旅の身の上,適当なところがまったく見つからないのであった。しかも,こういう場所にはファーストフードレストランどころかコンビニすらない。
 私は困ってしまったのだった。
 そこで,近隣の町に行くことを考えた。私にとって一番いいのはデニーズのようなファミリーレストランなのだが,国道沿いにありそうな,そうしたレストランを探して,というわけであった。

 ここでいつものように,私のいい加減さが顔をだす。きちんと調べてから走り出せばいいものを,何とかなるだろうと,適当に走り出してしまったのである。ここは日本ではない。こういうのは最悪の方法である。
 私は普段日本では何かの事情でひとりで夕食をとるときや旅先でさえ,酒は強いがひとりで飲む気はないから吉野家かココイチがあればそれで十分なのである。ファミリーレストランすら必要ない。しかし,アメリカには吉野家どころか弁当屋すら皆無なのである。
 ウリアムズバーグを出た私は「ジェームズタウン」(JamesTown)と書かれた道路標示を見て,この町に行けばレストランくらいあるだろうと思った。これが誤った選択だった。後で知ったことには,「ジェームズタウン」もまた,「コロニアル・ウィリアムズバーグ」同様の観光地で,普通の町ではなかったのだ
 私は,「ジェームズタウン」という道路標識に従って,コロニアルパークウェイという真っ暗な林間道路をあてもなく延々と20分以上も走っていったのである。ここは昼間であれば美しい風景の広がる場所であったが,真っ暗な夜ではそんなものは何も見えず,遠くの海岸沿いに漁火が見えるだけであった。
 ジェームズタウンに着いたが,そこは広い駐車場があるだけだった。ここで私は,この日の夕食をあきらめざるを得ないと覚悟して,ホテルに戻ることにした。

 ホテルの近くまで戻ってきたときに,なんと,1軒のピザ屋を見つけた。
 普段私はピザは好まないし,そこがどんなレストランなのかも定かではなかったが,もう,選択する猶予もなかったので,車を停めてなかに入って,ウエイターのいうままにテーブルに座った。店は閉店間近ではあったが,まだ営業中であった。
 私の座ったテーブルの隣では,この店のオーナーらしき恰幅のいい男がその日の売上を計算していた。こういうことを客のいる店内で平気でしているのもまた,日本と違うところである。そして,客がいるにもかかわらず,新入りの店員を厳しく指導していた。私は,そこに日本の社員教育のような姿を思い出して,アメリカで生きてゆくのもまた大変なことだと,ふと日常に戻ってしまったのだった。