●この地域をアメリカとして受け止めて●
☆7日目 8月2日(火)
フロントロイヤルからワシントンDCまではわずか90マイルである。すでに私はフロリダ州の最南端キーウェストから車でフロントロイヤルまで1,300マイルほど走ってきたから,もう,この旅の9割以上の移動は終わったことになる。
これは後で地図を見ても信じられないほどの長距離である。旅に出る前は,本当にこんなに走れるものかと思っていたが,ほぼゴールに近づいた。
残すは,フィラデルフィアまで250マイルほどで,およそ京都から東京までの距離である。
なじみのない方も多いと思われるのでここでまとめてみる。
アメリカでは,大西洋岸に沿ってワシントンDC,ボルチモア,フィラデルフィア,ニューヨーク,ボストンと都会が並んでいる。ちょうど日本の太平洋岸と同じような感じであるが,距離は,ワシントンDCからボルチモアが40マイル,ボルチモアからフォラデルフィアは100マイル,フィラデルフィアからニューヨークまでも100マイル,そして,ニューヨークからボストンは200マイルである。
100マイルというとちょうど大阪から名古屋まで,200マイルというと名古屋から東京とほぼ同じである。だから岡山から東京という感じか?
このあたりの地域が日本で報道される「アメリカ」である。このあたりで起きたことを日本の報道機関は「アメリカから」として取材し発信し,日本人はそれをアメリカ全体のこととして受け止めているわけである。
このあたり,めちゃくちゃ人も車も多く,公共交通機関が発達しているから,ニューヨークへ行ってこのあたりだけを旅するのなら車も必要がなく,日本で旅をするのとさして違いはない。アメリカの雄大さを期待しても得られるものはない。
私が通常旅するアメリカとは異質の場所なのだが,日本でも東京が嫌いであっても一度は行ってみたいと思うように,アメリカでも都会が嫌いであっても一度は行ってみたいところである。
私がワシントンDCからニューヨーク,ボストンを「アメリカ」だと思って生まれてはじめて旅したのは24歳のときだったから,それからずいぶんと年月が経った。私は,この旅の後半はレンタカーを返却して,このあたりを再び公共交通機関を使って旅をしようと思っていた。そして,前回の旅で行くことができなかったけれど一度は行ってみたいと長年思い続けていたところにすべて行ってみようと思っていたのだった。
この日はボルチモアまで行くことにしていたが,ボルチモアまでは最短距離で走れば2時間くらいで着く。
ボルチモアへ行く理由はMLB(メジャーリーグベースボール)を見ることとベーブルースの生家を見ることであった。そのことはまた後日書くことになる。
この旅では後日,ワシントンDCでスペースシャトルを見ようとも思っていた。私はこの旅に出るまでスペースシャトルはワシントンDCのナショナルモールに展示してあるものだとばかり思っていたが,実は,ワシントン郊外のウドバーハジーセンターという,とんでもなく離れた場所に展示されているのだった。それでも私は絶対にそこに行きたかったから,ワシントンDCに着いてから1日かけて公共交通機関で行く予定をしていた。
この日に地図を改めて確認すると,このウドバーハジーセンターは,フロントロイヤルからは遠くなく,しかもボルチモアへ行く途中にあるということがわかった。そこで,今日,ボルチモアへ行く途中でウドバーハジーセンターに寄ることに決めた。
私の宿泊したぼろホテルにはすでに使われなくなった食堂は廃墟と化していて,当然ながら朝食サービスなどなかったから,ホテルを早朝7時にチェックアウトして,途中のマクドナルド朝食をとった。