●これも合理的なアメリカらしいと●
開館の時間が近づいたので,私は再びウドバーハジーセンターに戻った。開館にはまだ少しだけ早かったが駐車場のゲートは開いていたので,駐車料金を払って駐車場に入り車を停めた。
この博物館はフロリダ州のケネディ宇宙センターとは違って,ワシントンDCのナショナルモールにある博物館同様無料なのだが,15ドルもの駐車料金がいる。
開館まではまだ少し時間があったが,建物の入口は開いていたのでなかに入った。入口を入るとそこは建物の2階の部分になっていて,そこのコンコースから階下に降りるのだが,まだ階下に降りる部分は閉鎖されていた。ただし,すでに2階のコンコースから階下の展示を見ることはできて,はるか先にはすでにスペースシャトルを見ることができた。
2階の左手には売店とマクドナルドがあって,売店は開いていなかったがマクドナルドはすでに開店していた。私は,ここに来る前にすでに別のマクドナルドで朝食をとっていたので,することもなくそこに座って開館する時間まで待った。
やがて開館の時間になったので,私は階下に降りて,真っ先にスペースシャトル「ディスカバリー」の展示されたスペースに急いだ。
スペースシャトルの展示スペースはディスカバリーの他にも宇宙に関する様々な展示物があって,私には大変興味深いものであった。これまで本やテレビで見たことのあるもの,それらのまさに「ホンモノ」がここにはあって,ほかの場所では絶対に見られない貴重なものばかりであった。
「ブラックバード」と呼ばれるこの展示スペースの入口の奥にディスカバリーが堂々と鎮座ましましているのはかなり感動的であった。
ケネディ宇宙センターの,飛行して貨物室が開いた状態の展示とはちがって,ここのディスカバリーは着陸用のタイヤが出ている点が見所ということであった。それぞれの展示場所によって展示の方法が異なっているのが,また,素晴らしいことだ。
スペースシャトルの展示スペースには,マーキュリー計画で飛んだ「フリーダム7」,ジェミニ計画で飛んだ「ジェミニ7号」のカプセル,そして,人類初の月面着陸を成し遂げた「アポロ11号」が帰還したときに宇宙飛行士が検査のために隔離した隔離室も展示されていた。
これもまたいつも書いていることだが,アメリカでは何事も単純で,この隔離室も特別なものではなく,最高級キャンピングカーの「エアストリーム」(Airstream)が改造されただけのものだった。こういうところがとても合理的なアメリカらしいと思ったが,「エアストリーム」を知っているからこそこうした感想をもてるわけで,これもまた,これまで多くの旅をしたことによる成果である。
これで私は「エンデバー」を除いた残りの現存する3機のスペースシャトルを見ることができた。
では最後に「エンデバー」について書いておくことにしよう。
エンデバーが展示されているのはロスアンゼルスのカリフォルニア科学センターであるから,最も多くの日本人が見たスペースシャトルはこの「エンデバー」であろう。カリフォルニア科学センターの入場料もまた無料なのだが,「エンデバー」を見学すると2ドル必要といういうことだ。この科学センターの展示は,バンカーにスペースシャトルのだけが置いてあるだけのシンプルなものだから,ウドバ―ハジーセンターとは違って全体をじっくりと見学できるのだそうだ。さらにまた,カリフォルニアへ運んできたときの記録映画やスペースシャトルの全ミッションに関する展示もあるのだという。将来は発射台に見立ててスペースシャトルを立てて補助ロケットも装着した状態で展示する計画があるということなので,私が数年のちにそこに行くときにはそれが実現しているのを楽しみにしている。
さらに付け加えると,テキサス州ヒューストンにあるNASAには実物のスペースシャトルは展示されていないが,スペースシャトルを移動するときに使われたボーイング747の実物が展示されているということである。