●少しだけ遠回りをして…●
ウドバーハジーセンターで長居をしてしまったが,そろそろ話を進めよう。
ワシントンDCからポトマック川の西岸にそって南に30キロ行ったところに「マウントバーノン」というところがある。アメリカ合衆国初代大統領ジョージ・ワシントンの墓地があるところだ。私はここにジョージ・ワシントンが眠っているということは少し前にテレビの番組で知ったが,交通の便もあまりよくないので,まさか自分が行くことができるとは思ってもいなかった。
この私には縁のない場所だと思っていたマウントバーノンの位置関係を日本と比べて説明してみよう。
私が昨日走ってきたシェーランド国立公園が南アルプスで,宿泊したフロントロイヤルが甲府市,そして,ウドバ―ハジーセンターが府中の飛行場で,東京都心がワシントンDC,ボルチモアがつくば市という感じだと考えていただこう。
すると,マウントバーノンは横浜あたり,という感じになるであろうか。
この日,私の目的地はボルチモアの「デイズイン」というホテルであった。もともと,今日はこのボルチモアを終日観光するつもりであった。そして,夜,ボルチモアでメジャーリーグベースボール(MLB)のゲームを見て1泊したのちに,翌日はフィラデルフィアまで行ってレンタカーを返すことになっていた。
先ほどの例に従うと,フォラデルフィアは仙台あたり,という感じであろうか。
それが,ウドバーハジーセンターがフロントロイヤルとボルチモアの中間にあることとと,マウントバーノンもまた,行くことがができない距離ではないことと,さらには,ボルチモアは終日観光するほどの魅力がないように思えたことから,ボルチモアへ行く途中で,この2箇所に寄り道をすることになった。
つまり,私は甲府市(フロントロイヤル)からつくば市(ボルチモア)に行くのに,府中市(ウドバーハジーセンター),横浜(マウントバーノン)へ遠回りをして,そののち,東京湾アクアラインを経由して北上し,つくば市へ向かう,そんな感じになった。
マウントバーノンは,車がなければワシントンDCから地下鉄のイエローラインに乗って,ハンテイントン(Huntington)駅でバスに乗り換えてさらに30分,というアクセスになる。バスは30分おきに出るそうだが,それでもかなり不便である。要するにワシントンDCから行こうと思うと1日がかりなのである。だからこの旅でマウントバーノンに行くことは全く考えていなかったわけだが,車なら少し遠回りすれば行くことができないわけでもなさそうに思えたので行くことにしたのだった。とはいえあまり時間の余裕もなかったので,マウントバーノンではせめてジョージ・ワシントンの墓地だけみてこようと思って立ち寄ったわけだった。
ウドバーハジーセンターからマウントバーノンまでは1時間弱であった。
ワシントンDCの近郊もやはりフロリダ州のように有料道路があった。別に有料道路だからといって日本のように通行料が高額ということもないのだが,私はこの旅では,すでに書いたように,フロリダ州のややこしい有料道路のシステムにすっかり嫌気がさしていて有料道路恐怖症になっていたから,車のカーナビに有料道路をさけるように設定してマウントバーノンまで走っていった。やがて,マウントバーノンの広い敷地が見えてきた。入口は愛知県の博物館明治村のような感じであったが,ずいぶんと多くの観光客でにぎわっていた。アメリカでは,平日も休日も関係なくどこもものすごい観光客であふれている。
駐車場もたくさんあるのだが,空いたスペースを探すのにずいぶんと戸惑った。入口からかなり遠い場所まで行って,ようやく車を停めることができた。