LIVEはまだワシントン州シアトルですが,その後私はアラスカ州フェアバンクスに行って,ついに,8月28日から29日の深夜,この旅であきらめていたオーロラを見ることができました。そこで今日はまた少し先回りしてオーロラの写真をご覧ください。
フェアバンクスに住んでいる人でもオーロラを見たことがない人も多いのです。それは日本の都会に住んでいて天の川を見たことがない人が多いのと同様です。どおりで到着した日に,チェックインしたとき宿泊したB&Bのスタッフにオーロラのことを聞いても見られるはずないよという顔をされた理由がわかりました。
フェアバンクスはずっと曇りか雨,しかも市内は明るくオーロラはすっかりあきらめていました。しかし,28日の夜は少しだけ晴れ間が見られたので,ダメ元で遠征することにしました。調べた結果,フェアバンクスから100キロばかり離れたチナホットスプリングリゾートなら見られるかもしれないという淡い期待を抱いて,現地の事情も知らず,車を走らせました。
夕刻,1時間半ほどかけて到着してみたら,そこにいたのはなんと日本人ばかりじゃあないですか。JTBとクラブツーリズムのツアー客を乗せた日本からのチャーター機で着いたという話でした。ニュージーランドのテカポ湖の星空観察ツアー同様,日本の教育の成果を象徴する,英語が使えず,主体性のない,安心・安全・快適,おまかせで生きている「人生全てパック旅行」という人たちの集団でした。彼らのすごいのは自分で写真を写したいのにもかかわらず事前にオーロラを写すために何も勉強してこないことで,全て人に言われたまま,挙げ句の果てはうまくいかないと私にさえ頼ることでした。ここには「最も騙しやすい」と陰口される日本人の姿がありました。
ここは日本人観光ツアー御用達の安扶持の観光施設でした。こんなところでも宿泊すると結構高価なんです。スタッフもまた日本人ばかりでしたが対応に忙しそうだったので,暇そうだった日本語のできない唯一のアメリカ人スタッフにオーロラの話を聞くと,昨日は天気が悪かったけれど,今晩は深夜2時過ぎになればきっと見られるよ,という話だったので,そんなに遅くてはとも思ったのですが,ともかくしばらく待機することにしました。それでも疑心暗鬼でしたが,午後10時を過ぎて空が暗くなって来たら ……見えました。オーロラです。本当に感動しました。
あまり遅くなると帰りが心配だったので ー動物が飛び出してきますー 午前1時に現地を出ました。帰路,時折,キャンプ地があるごとに車を停めて空を見ると,北から西の空にかけてまさにカーテンのようなオーロラが明るく輝いていました。私はツアー客のいない真っ暗な現地のキャンプ地でたったひとり地球の不思議に浸りました。結局,チナホットスプリングリゾートまで行かなくてもいいのでした。巨大な野生のトナカイに遭遇しながらもなんとか2時間かけて,B&Bに戻って来ました。奇跡の夜でした。
地球も夢を見るのです。

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