●はじめてB&Bに泊まった。●
私が予約をしたのは「アラスカ・ヘリテッジ・ハウス」(Alaska Heritage House)という名前のB&B であった。ここを予約した理由は,単に安かったというだけであったが,結果的にとてもよい選択であった。ちなみに,B&Bとは主に英語圏の国における小規模な宿泊施設のことで,宿泊と朝食の提供を料金に含み低価格で利用できるもののことをいう。多くのB&Bは家族経営による小規模な宿泊施設である。
私は旅というのは現地行くための航空券と宿泊先,それに現地での移動手段さえあればあとはなんとかなると思っているので,旅行社でパック旅行を購入することはないが,一番の問題は宿泊先なのである。これまで私も数多くの失敗をしてきた。
以前は,現地で飛び込みでホテルを探した。その当時はマクドナルドなどにクーポンがあって,それを頼りにして当日の夕方に直接フロントに行ったものだが,ホテルが見つからず苦労したこともあった。そのうち,エクスぺディアなどで予約ができるようになったので,逆にホテルを見ないで予約するリスクが生れた。
おそらく今でも直接現地に着いてからホテルを探せばよいのだろうが,予約をしておいた方がホテル探しをしなくてよいので安心だからである。しかし,このエクスペディアの口コミというのもあまりあてにならないものなのである。それよりも,やはり,安いホテルにはどこもそれなりのリスクがある,と思った方がいい。
私は,今回予約したところがB&Bだという認識すらなかったが,事前にメールが来て,そのメールに,到着時にスタッフが誰もおらず玄関が締まっていたときに家に入るキーナンバーが書かれていた。
幸い私が到着したときはスタッフがいたので何の問題もなかったが,後でわかったことに,このスタッフというのは単なるバイトであってこのB&Bの経営者ではなく連日人が変わった。そして,朝になると,朝食を作ってくれる別のスタッフが来たが,その人たちも日替わりであった。そんなわけで,一応玄関にキーがあるにはあったがけっこう不用心で,だれでも自由に入ることもできるので,部屋のキーだけが支えであった。
私のあてがわれた部屋はとても狭くベッドと椅子だけで,ほとんど残りのスペースがなかったが,寝るだけなのでそれで充分であった。それよりも,部屋の調度品がとても素敵だった。
部屋にはバス・トイレがなく,これは部屋を出たところにあって,隣の部屋と共有であった。使うときだけ隣の部屋のキーをかけるのである。これもまた,それで実用上は十分であった。
建物には1階と2階があって,さらに地下にも部屋があった。私の部屋は1階であった。
1階の中央に大きな部屋があって,そこが食堂になっていた。
この家のは100年以上も前に作られた,いわば欧米のペンション,つまり「大邸宅」だった。要するにB&Bは朝食付きの「民泊」のようなものだが,こんな大邸宅に泊まれるというのもかななか貴重な体験であった。外には3台ほど車が駐車できるスペースがあったが,あたりの道路も路上駐車が可であった。また,このB&Bの付近は清楚な住宅街であったが,フェアバンクスのダウンタウンには徒歩でも行くことができるくらいの距離であった。