●タイ料理でライスのお代わりは?●
オーロラどころか雨さえ降ってきた。
アラスカの大地を歩きたい,というのが第一の目的で,あわよくばオーロラを見てみたいというのが第二の目的でやってきたのだが,事前の研究もしていないものだから,オーロラを見る方法すらわからず,私はすっかりあきらめぎみであった。
特にすることもないし,フェアバンクスのダウンタウンは歩いて回れるくらい狭いし,雨は降ってくるし…。せめて夕食くらいは満足に食べようとお店をさがした。
驚いたことに,フェアバンクスにはタイ料理のレストランが目についたのだった。どうしてアラスカにタイ料理なのか,私にはさっぱりわからなかった。後で調べても一向にわからない。
そのときは,こうなったらタイ料理に挑戦してみようと思った。「タイ・ハウス」とかいう名の老舗があるということだったので,行ってみることにした。
私は,弟がタイに住んでいることもあって,タイなんて隣町のような身近な存在で,その気になれば明日にでも行けるのだけれど,まったくタイには興味がない。したがってタイ料理も食べたこともないので,これもまたまったくわからない。
私はタイどころか,中国にも韓国にも,当然インドにも,まったく興味がない。それは人が多いという理由からである。日本のような人だらけの国に住んでいて,外国に行ってまで人混みに出会うなんて懲り懲りなのである。そうした国だけでなく,私の好きなアメリカやオーストラリアであっても,大都会には興味がない。私が行きたい外国というのは,人が少なく自然が多い,そんな場所なのだ。
そんなわけで,タイ料理を食べたいというわけではなかったが,店に入った。
タイ料理の魅力というのは辛さなのだということを後で知った。私は辛いものが苦手である。もともとは好きだったのだが,いつのころからか,辛いものを食べると頭のてっぺんから汗が噴き出すようになって食べられなくなった。辛いものを食べると汗まみれになってしまうのだ。幸いメニューを見ると辛いものは印がついていた。そこで辛くないものを選んだのが今日の写真の食べ物である。
お店はよい雰囲気であった。アメリカなどによくある中国料理店の小汚さもなく,清潔感と,そしてちょっぴり高級感があった。店員は女性で,タイの民族衣装を着ていた。食事はおいしかったけれど,タイ料理についてはまったくわからないのでこれくらいのコメントしか書けない。
それより,私がとまどったのはライスであった。アラビアンナイトの壺のような入れ物にライスが入ってきて,料理より先にこれが運ばれて来た。それを自分で皿によそうのかよそってくれるのか,といったマナーがわからないのだった。そのままにして待っていると,店員が皿によそってくれた。このライス,食べ終わったら自分でお代わりをよそっていいものかどうか今でもわかりかねている。そうだ,今度弟が帰国したら聞いてみよう。