●アラスカで唯一の歴史公園●
フェアバンクスにはパイオニアパーク(Pioneer Park)というテーマパークがある。このテーマパークはフェアバンクスの中央,チナリバーのほとりにあって,アラスカで唯一の歴史公園である。
この歴史公園は,1967年,アラスカがロシア領からアメリカ領になって100年目を祝う「アラスカ100年祭」の際に建設された。アラスカ開拓のなかでフェアバンクスが果たしてきた重要な歴史を表現した公園となっている。
アラスカを訪れる日本人で,私のように個人で来る人はどのくらいいるのだろう。しかも,この季節に来る人はどのくらいなのだろう。
私はたった3日の滞在だったが,それでも車が利用できたので,フェアバンクス近郊の観光施設を見て回るのには十分であったが,パイオニアパークのアトラクションをはじめとして,こうした施設のほとんどは夏季しか営業していないから,オーロラ目的で冬場にこの地を観光する人はお昼間にすることがほとんどない。
私はまた,この夏の旅の目的はアラスカではなくアイダホで見る皆既日食だったから,アラスカについては到着するまでほとんど何も知らなかったし思い入れもなかった。けれど,今こうしてこのブログを書いていて改めて調べてみると,アラスカは奥が深い。そしてまた,限りなく深く,厳しいところである。
さて,パイオニアパークに到着して,やたらと広い駐車場に車を停めて園内に入った。この公園は入るだけなら無料である。
園内は広々としていたが,観光客も特に多い,というわけではなかった。これでもこの日は日曜日なのである。というよりも,フェアバンクスを訪れる観光客自体が決定的に少ないのである。そこで,この公園を維持するのが一杯一杯という感じであったし,老朽化も否めなかった。それでもこの公園は,ここに住む人,特に子供たちの遊び場として貴重な存在であった。
ゲートをくぐるとまずあったのがゴールドラッシュ・タウン(Gold Rush Town)であった。これはゴールドラッシュ当時のフェアバンクスの街並みを再現したもので,当時のキャビン(小屋=家屋)をそのまま移築したものである。今はギフトショップやらレストランになっているというからずいぶんと期待したが,たいしたものはなかった。
このだだっ広い園内を周回していたのがディーゼルエンジンで動くクルックド・クリーク・アンド・ウィスキー・アイランド鉄道(Crooked Creek & Whiskey Island Railroad)であった。
また,公園の一角に大きな船が展示されていた。この外輪船「ネナナ」号(River Boat Nenana)は現存するなかで2番目に大きな木造の外輪船で,外輪船時代の末期1933年に建造されたものである。
この船のなかには入ることができて,内部には昔のフェアバンクスを再現したジオラマがたくさん展示されていた。
パイオニアパークはその程度のものであったが,それなりに時間を潰すのにはよい施設であった。
近頃私は思うのだが,観光地というのはいざ出かけても特にすることがない。昔の街並み,と言われたところでそれだけのことであるし,土産物なんて買ったこともない。レストラン,と言われても高いだけである。そこで,こうした観光施設に行っても時間を持て余してしまう。このことに対して自分が情けなくなる。これでは旅に出る資格すらないのかもしれない。