DSC_8591DSC_8606DSC_8599DSC_8594

●大金持ちの作った博物館●
 パイプラインを見終わった。
 フェアバンクスに戻る途中に「ファウンテンヘッド・アンティーク・オート博物館」(Fountainhead Antique Auto Museum)というクラシックカーの博物館があるということだったので行ってみることにした。
 ところが場所がよくわからないのだった。近くまで行ってもよくわからない。散々迷ったすえ見つけたのは,私の思っていた場所とは違っていた。 
 「ベアー・ロッジ・アット・ウェッジウッド・リゾート」(Bear Lodge at Wedgewood Resort)というホテルの駐車場を抜けた向こうにその博物館はあった。それもそのはずで,ここはウェッジウッド・リゾートのオーナーが長い年月をかけて収集したという車が展示されている博物館であった。

 アメリカ人は飛行機と車が大好きである。日本でも車マニアは多いが飛行機マニア,特に飛行機所有マニアというのはそれほど多くない。自家用飛行機を買ったところで活用する方法がないからである。再三書いているように,車だって走る道すらないような狭い国で,飛行機など論外である。この日本という国しか知らない人にとっては世界の大きさは全く想像の範囲を越えているだろう。
 ともあれ,これもまたいつも書いているように,博物館というのは実質はガラクタ置き場である。こうした大金持ちさんはこうでもしてお金を使わないとお金の使い道がないのだから,博物館でも作って多くの人に夢を与えて社会貢献をしてもらったほうがいいだろう。日本でも私設の美術館などを作って自分がコレクションしたものを公開している大金持ちさんがいる。

 この博物館はとても興味のもてるものであった。
 アメリカ本土でもよく似た博物館はあるが,これほど充実した,そしてきちんと展示されたところはそうはない。そしてまた,ここアラスカという地の特性上,冬の寒さに打ち勝つような工夫がされた車なども展示されていておもしろく見学できた。
 展示されていた車には,180年代古きよき時代の蒸気車やゴールドラッシュ時代に実際にアラスカで走っていた車,さらには,1931年製のCord,1920年製のArgonneなど,さまざまな種類のアンティークカー,はたまた,女性が運転するために作られた対面式に座れる車から電気自動車までがずらりと並んでいた。
 また,車だけでなく,当時の服装も展示されていて,車の前では記念撮影もできるし,展示されている車を整備するための工場もガラス張りになっていて見ることができるようになっていた。
 博物館の自動車はすべて今でも使用可能で,夏の夕方には,ドライバーが敷地のまわりで騒々しい回転音を立てて車が走り回るのを見ることができるということであった。

 こうして,滞在2日目のこの日は,たった1日でフェアバンクスの見どころのほとんどを見ることができて,私はすっかり満足した。この日の夕食は博物館の近くのモールにあったフードコートでとることにした。