到着するまで大変だったのですが,到着してからはきわめて順調で,まだ1泊しただけだったのに,すでに夕暮れの赤く輝くエアーズロックを見ることもできたし,曲がりなりにも夜明けのエアーズロックも見たし,さらにエアーズロックに登頂することもできてしまいました。もう望みもかなったのでこれで帰国してもいいなあ,とさえ思いましたが,まだ,午前10時過ぎなのです。
エアーズロックの外周道路の入口のロータリーのあたりにカルチュラルセンター(Cultural Centre)がありました。アメリカの国立公園のビジターセンターのようなところでした。そこで駐車場に車を停めて中に入りました。ここにはアボリジニの人たちの生活様式や文化を紹介する展示がありましたが,館内の撮影は禁止でした。
こうして世界の様々なところを旅していると,いわゆる文明社会といわれる先進的な科学技術を手に入れ優位に立った民族が世界に乗り出して,従来住んでいた人たちを服従させたり侵略をした人間の愚かな歴史と直面することになります。先進的な科学技術は,人間を幸福にするために使われるのならいいのですが,その反対に人間を不幸にしていったわけです。そしてまた同時に自然も破壊していったわけです。およそどの国にもそうした歴史を抱えていて,日本も例外ではありません。そしてまた,外国に出かけても,そうした現実をまったく知らずに観光をしていることが少なくありません。私はなんとか少しでもそうしたことを知ろうと博物館などにも足を運ぶのですが,ではそれを知って何ができるのか,といわれると辛い限りです。

このカルチュラルセンターにはレストランもありました。エアーズロックリゾートにあるレストランは豪華なものばかりだったので,こうした一般向きのレストランは助かります。朝食セットがあったので,少し遅めの,かつ,少し早めの昼食を兼ねて食事をすることにしました。
もうこの時間は外の気温は35度を超えていたので,クーラーの利いた室内は快適でした。そしてまた,この高温はコバエにとって快適らしく,外に出るとブンブン飛び回るコバエの大群が顔にまとわりついてかなりうっとおしくいやになりました。

さて,このあとどうしようかと考えました。
エアーズロックリゾートには3泊するので,観光ができるのはこの日の午後と翌日,そして,最終日の午前です。日本で有名なのはエアーズロックだけですが,ここはウルル・カタジュタ国立公園といい,ウルル,つまり,エアーズロックとエアーズロックから40キロメートルほど離れたところにあるカタジュタ(Kata Tjuta),つまり,オルガ岩群(The Olgas)という巨石群が対になっています。それ以外に,さらに300キロメートルほど離れたところにあるワタルカ国立公園(Watarrka)にキングスキャニオン(Kings Canyon)という大渓谷があります。
今日の午後と最終日の午前にエアーズロックとオルガ岩群を観光して,明日の早朝にキングスキャニオンまで遠出する,ということもできそうでした。そこで,今日の午後はオルガ岩群へ出かけることにしました。
エアーズロックは登頂のほかに,ベースウォークという9キロメートルの外周トレイルがあって3時間程度で歩くことできるそうですが,このトレイルでの見どころはマラウォーク(Mala Walk)とクニヤウォーク(Kuniya Walk)のふたつで,これを見れば十分ということだったので,オルガ岩群へ行く前に,マラウォークとクニヤウォークを歩くことにしました。

マラウォークはエアーズロックの登頂口と同じ場所から出発します。正面にあるのが登頂口で左手に折れてトレイルを500メートルほど歩くのがマラウォークでした。団体ツアーバスが登頂口の駐車場に車を停めるのは,エアーズロックの登頂のためではなく,マラウォークを歩くためなのです。
歩きはじめるとまず洞窟がありました。洞窟内にはアボリジニの壁画が残っています。アボリジニの人たちはこうした洞窟に住んでいたということで,洞窟ごとにその役割が決まっていたそうです。その先に,雨が降ると滝になるという岩肌がありましたが,エアーズロックにも雨が降るということに驚きました。やがてカンジュ渓谷(Kantju Gorge)という池に着きました。
次に行ったのがクニヤウォークでした。ここは毒蛇男に甥を殺されたニシキヘビ女のクニヤがその復讐をした場所で,ここにマギースプリングス(Maggie Springs)という泉があって,ここに亡くなった甥が祀られているのだそうです。こんな場所に水をたたえた池があるのにびっくりしました。また,このあたりの岩肌には自然が作ったハート型の痕跡もありました。

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