オルガ岩群に向かいました。オルガ岩群はオルガ山(Mount Olga)とよばれる約22平方キロメートルに広がるいくつもの岩山(礫岩)で,高さは海抜1,066メートル,地表からの高さは546メートルです。アボリジニの人たちはカタジュタ(Kata Tjuta)とよんでいますが,これは「多くの頭」という意味です。オルガという名前はヨーロッパ探検家アーネスト・ジャイルズ(Ernest Giles)がキングス・キャニオンを登頂した際にそこからカタジュタを見つけ,ドイツのヴュルテンべルク王妃オルガにちなんで名づけたものです。
ここもまたアボリジニの聖地のひとつで,特に夜間に多くの儀式が行われます。この儀式は過去には罰を与える場であり,時には死に至るほどの重い罰が与えられることもあったといいます。オルガ山の頂上にはワナンビと呼ばれる蛇が住んでいて,乾期にのみ下山するという伝説があります。
車でオルガ岩群に向かうと,はじめは小さかったこの岩山がどんどん大きく迫ってきました。ここは登ることはできませんが,ふたつのトレイルがあります。そのひとつはワルパ渓谷(Waipa Gorge)で,もうひとつが風の谷(Valley of the Winds)とよばれるものです。このふたつをこの日の午後に歩こうというわけでした。
まず,2キロメートルと距離の短いワルパ渓谷からです。駐車場には車が数台停まっていて歩いている人がいました。マウントオルガに沿ってできた渓谷を歩いていきます。ここはエアーズロック以上にコバエが多く,歩いていても本当にいやになってきました。
トレイルの両側にそそり立つドーム形の巨石に圧倒されると「地球の歩き方」には書かれてありましたが,別段それほど大したこともありませんでした。私は歩いていて,こことよく似たところに行ったことがあると思いました。それはアメリカのユタ州にあるアーチーズ国立公園でした。どちらがと言われれば,圧倒的にアーチーズ国立公園のほうがすばらしいです。
暑いし,コバエは多いし,私が着いたときに先に歩いていた人たちが去ってからは,ほかにだれもいなくなりました。そもそも,こんな時期にお昼間に観光をしていること自体無理があります。さらに,早朝からエアーズロックを登頂して,さらに午後,また別のトレイルを歩くというのは無謀だと悟りました。
このあと風の谷に行こうと考えていましたが,それは限界だと思いました。ということで,この日は風の谷に行くことはあきらめ,ホテルに戻ることにしました。