暑さとコバエの大群に参ってしまって,この日は風の谷に行くのをあきらめました。予定変更です。そもそもそんな暑い時期のお昼間に観光をしようとすること自体に無理があるのです。そんなこんなで,明日早朝にホテルを出て3時間ドライブしてキングスキャニオンに行くのをあきらめて,明日の早朝に風の谷に行くことにしました。
オルガ岩群にもまた,夕日と朝日を見る展望台があって,太陽に岩群が照らされて赤く輝く様は絶品のようでした。しかし,日没にはまだ何時間もあるので,一旦ホテルに戻って早めに夕食を済ませてから再びオルガ岩群に来ることにしました。
オルガ岩群からエアーズロックリゾートへ向かう道からはエアーズロックが見えていました。エアーズロックは太陽からの光を受けている側だけが黄色く輝いていて,光を受けていない側が黒く,動物のバクのような感じでとても奇妙でした。道路の向きが変わると,それにつれてエアーズロックの模様も変化していきます。エアーズロックにはまったく草木がなく,一枚の岩盤は太陽の光によってさまざまな色彩を放つのです。
惑星にむかう衛星が写した写真を見る機会がありますが,木星や土星の色というものもまた同じようなもので,暗黒の宇宙で実際どんな色をしているのかというのは本当のところわかりません。コンピュータグラフィックでそれらしい色をつけているだけです。それと同じようなものかもしれません。

それよりももっと驚いたのは,エアーズロック周辺の野焼きでした。この野焼きは飛行機の中からも見えました。私ははじめエアーズロックリゾートから出ているものだと思っていたのですが,そうではなく,エアーズロック周辺を野焼きしているのでした。それはアボリジニのアナング族の教えで,火事防止と草木の成長促進のためということらしいのですが,確かに,山火事があっては大変です。むしろ,家事を起こして人間がそれを制御してしまうほうが安全なのかもしれません。それにしてもその規模の広大なことといえばあたり一面が灰色になるくらいですし,夜になれば,煌々と明るくなります。
時にはそのために道路が閉鎖されることもあって,私がエアーズロックリゾートに戻るときには,オルガ岩群に向かう方は閉鎖されていて,困っている車を見かけました。
野焼きはほったらかしにしてあるわけではなく,それを監視したり消すためのトラックがいて,それを制御していました。風向きのためにエアーズロックリゾートに煙がくることはなかったのですが,いつも大丈夫なのかなと心配になりました。

エアーズロックリゾートにはいくつかのレストランがあって,せっかく来たのだから,順番に別のレストランに行くことにしました。昨日はまともな食事もできなかったので,この日はまだ早かったけれど,豪華な食事をすることにしてアンガスステーキを所望しました。オーストラリアといえばオージービーフです。
アメリカでもそうですが,いつもビーフを食べているかのように思う人もいるかもしれませんが,手っ取り早い食事はハンバーガーとかサンドウィッチです。こうしたものは日本人の思うマクドナルドハンバーガーのようなものとはまったく違っていて,量も多く野菜も豊富なので,ちゃんとした夕食となります。
それに対してステーキといいうのは贅沢品という位置づけです。アメリカに「いきなりステーキ」という日本のチェーン店が進出したのですが,苦戦しています。それは,アメリカ人にとってステーキというのはあのようなものではないということが最大の理由です。アメリカ人がアメリカで寿司チェーンをはじめて流行ったからといってそれを日本に上陸させても集客が望めないのと同じようなものでしょう。日本は今や世界標準から孤立したガラパゴズ国家となってしまっているのに,多くの日本人はそれを認識していないと,私は海外に出かけるたびに思います。

このレストランのウェイターさんがとても感じのよい人だったので,ひとつあった疑問を聞いてみました。それは,エアーズロックリゾートで働いている人たちはどこに住んでいるのかということでした。そもそも,エアーズロックから最も近い町がアリススプリングスなので,毎日通うことなどできません。途中に人が住んでいる場所もまったくありません。
答えは,エアーズロックリゾートの一角に従業員さんたちが暮らしている町があるということでした。約1,000人が暮らしているということです。そこで行ってみました。エアーズロックリゾートに警察署があって,その横の道を入っていくとありました。中には普通の住居やアパート,さらには学校も存在しました。
オーストラリアではエアーズロックというはかなり大きな観光資源なのだと思いました。ハワイのリゾートも同様ですが,ここもまた,アボリジニ文化との共存など,観光客にはわからない多くの複雑な問題を抱えている場所だと感じました。

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