●「石化の森」にある珪化木●
アメリカの「National Park」は「国立公園」という日本語訳になっているから,アメリカの国立公園と日本の国立公園を同じように思う人がいると思うが,これはまったく別のものである。アメリカの国立公園は例外はあるが入園料があって,ゲートを入ると,厳しい決まりがある。
また,ビジタセンターでは公園について詳しく学べるようになっているし,レストランや売店があるのはビジターセンターだけである。当然,公園内に自動販売機などというものはないし,ゴミを捨てたり植物や動物を採るなどという行為は厳禁である。
私は富士山は遠くから眺めるのは好きだが,登ろうと思ったことはない。それは,人だらけだということに加えて,ごみだらけだと聞いたことが理由である。入山料をとるとかとらないとかいう議論があるそうだが,入山料がないということのほうが不思議に思える。
私は「地球の歩き方」の国立公園編に書かれてあったようにして,この南北に広がる化石の森国立公園の北のゲートから入って南に向かった。これは,北のゲートにビジターセンターがあるからというのが理由だと書かれてあったからだが,実際は南のゲートにもビジターセンターはあったし,むしろ,南から北に向かう方が一般的なコースであった。しかし,北のゲートにあるビジターセンターにだけレストランがあったので,私にはこの北からのコースを選んで,結果的によかった。まず,このレストランで朝食をとった。
朝食後,ゲートで入園料を払ったときにもらった地図を頼りに,公園を巡った。
この国立公園には見どころが12指定してあって,それらを順に車で走るようになっていた。多くの国立公園ではトレイルが整備されていて,車を駐車場に停めてからトレイルをずいぶんと歩くこともあるが,この国立公園にはそういうトレイルはほとんどなく,駐車場に車を停めて,景色を見たり,なんらかの施設を見学したりと,そういう場所ばかりであった。
私は,この化石の森国立公園は,名前から,森のなかの国立公園だとばかり思っていたが,実際は,アメリカのユタ州にある多くの国立公園同様,赤茶けた大地が広がる広々としたところであった。
化石の森国立公園の見どころは,不可思議な色をした砂丘の連なりであり,柔らかい岩が浸食された奇岩群であり,古代先住民の住居跡や岩に刻まれた象形文字-これらはこの3月に行ったオーストラリアのエアーズロックに似ていた-であった。
では,最後に見どころを北から順にあげておこう。
はじめにあるのが,ペインテッドデザート(Painted Desert)であった。ここには展望台があって,広がる大地を一望できる。また,1920年代のホテルを改装した博物館(Painted Desrt Inn)がある。こうした建物をきちんと修復して再現してあるところがいい。
国立公園の周回コースはこのあとインターステイツ40を橋で越えることになるが,その前に,オールドルート66が走っていた遺構があってさびちゃけたトラックの残骸が残っていた。
インターステイツ40を越えてさらに行くとあったのが,プエルコ先住民遺跡(Puerco Indian Ruin)であった。この遺跡は14世紀のもので,日干しレンガで作った集合住宅の跡や岩絵が残されていた。14世紀といえば日本では鎌倉時代から室町時代だが,もっと古いもののように思えた。
そこから南へ行くと「化石の森」(次回書くが,ここは「化石の森」ではなく「石化の森」のほうがふさわしい名前だ)らしい丸太の化石がゴロゴロころがっているブルーメサ(Blue Mesa),アゲートブリッジ(Agate Bridge),クリスタルフォレスト(Crystal Forest),ロングログ(Long Logs),ジャイアントログ(Giant Logs)と続いていた。そこにあるのは,作ったかのように思われるような珪化木であった。こられらの珪化木をよく見ると,なかに水晶があったりして,とても不思議な気がした。また,アゲートブリッジというのは,小さな川をまたいで長さ12メートルの珪化木が横たわってまるで橋のようになっているところである。このブリッジ状の珪花木は,この場所国立公園に指定される以前に倒壊を心配してコンクリートで土台を作ってしまったもので,これによって自然が損ねられてしまったという悪評のあるものだ。
最後にレインボーフォレスト博物館(Rainbow Forest Museum)があって,南のゲートに至る。
日本のチンケな国立公園とは比べるべくもないが,アメリカの多くの広大な国立公園のなかでは素朴で小規模だった。しかし,思ったよりずっとおもしろい場所であった。石好きにはたまらないところだろう。





