●ローウェル天文台の様々な施設●
ローウェル天文台はフラグスタッフの町が一望できる高台にあって,構内には,望遠鏡の他にいくつかの施設を運用しているが,天文台といってもそれほど広い場所ではない。
この天文台で最も有名なのはローウェルが火星を観測した口径24インチ(61センチメートル)の屈折望遠鏡とトンボーが冥王星を発見した口径13インチ(33センチメートル)の天体写真儀である。これらのものについてはすでに書いた。
これらの他に,公開はされていないが,最新の望遠鏡となる口径50センチメートルのTMT(=Titan’s Mmonitor Telescope )がある。TMTはローウェル天文学者ヘンリー・ローの研究である土星最大の月タイタンに関する天候を監視し,地球の初期の惑星の状態と進化について研究するためのものである。タイタンは地球に似たいくつかの特性を共有するので,タイタンの大気と表面の状態の詳細なデータを収集することによって,地球の初期の惑星の状態と進化に関する手がかりを提供している。
また,ローウェル天文台の構内には,1916年に完成し1970年代半ばまで図書館として機能したロタンダ博物館があり,この博物館には多くの重要な展示がされている。それらは,トンボーが1930年に発見した「惑星X」に関するもの,1912年にV・M・スライパーによる銀河膨張の発見に関するもの,アポロ計画のために作成された月の精密地図,ローウェルの火星研究の資料や計算器を含む測定器である。また,ドームの天井から吊り下げられているのはロサンゼルス・ライト・カンパニーが1918年に建設したステンドグラス「サターン・ランプ」である。
パトナムコレクションセンターの図書館やコレクションエリアでは,建物のロビーの展示エリアだけは一般公開されている。そこには,ローウェルが15歳になったとき母親が彼に与えたの最初の望遠鏡,V・M・スリッファーが宇宙の膨張する性質の最初の証拠を捕捉するために使用した分光計,パーシヴァル・ローウェルの手描きの火星儀には運河を含む詳細が書かれている。また,ローウェルの科学者によって,天体の物理的特性を測定するために使用された機器や数十年から何世紀にもわたる古典的な科学書がある。このロビーの目玉はパーシヴァル・ローウェルが使用した1911年のスティーブンス・デュリエア自動車である
ローウェル天文台は,フラグスタッフ以外にも新しい観測の拠点が作られた。
1959年,フラッグスタッフの南東約12マイルに位置するアンダーソンメサに新しい観測地が作られた。そこにある口径72インチ(1.8メートル)のパーキンス望遠鏡は,ボストン大学(BU)とジョージア州立大学との共有である。ワーナー・アンド・スワシー・カンパニーによって1931年に建てられたこの望遠鏡は,もともとはオハイオ州デラウェア州にあるオハイオ・ウェスレーヤン大学(OWU)のパーキンス天文台にあったが,1961年にアンダーソンメサに移転し,1998年にローウェル天文台が購入した。この望遠鏡はボストン大学との共同使用である。
また,口径42インチ(1メートル)ジョン・S・ホール望遠鏡は,アストロメカニクスによって制作され,1970年にアンダーソンメサに設置された。1990年に元ローウェル天文台長ジョン・S・ホールにちなんで命名されたこの望遠鏡は,ローウェル天文台の天文学者が彗星,小惑星,太陽のような星の研究のために使用している。2004年,この望遠鏡はジョン・M・ウルフ財団とローウェル天文台の友人からの資金で,CCD,光電光メトリーおよび分光法が活用されるようにリニューアルされた。
NSFが支援する太陽星スペクトログラフ(SSS)は、太陽と太陽のような恒星の長期比較研究に使用されている。
国立学部研究天文台(NURO)の口径31インチ(80センチメートル)望遠鏡は,アストロメカニクスによって建設された。もともとはNASAが所有し,1964年に米国地質調査所(USGS)の月マッピングプロジェクトのためにアンダーソンメサに設置されたものだが,1972年にローウェル天文台が購入し,1990年に改装され,ローウェルの科学者によって,月と惑星の観測のために使用している。
海軍精密光学干渉計(NPOI)はローウェル天文台,米国海軍天文台(USNO)フラッグスタッフステーション(NOFS),および米国海軍研究所(NRL)の共同研究である。施設の建設は1992年にはじまり,1994年にエンジニアリング試験が始まりました。
また,ローウェル天文台は米国海軍天文台と海軍研究所のパートナーとして,海軍精密光学干渉計(Navy Prototype Optical Interferometer=NPOI)を運用している。海軍精密光学干渉計は非常に高精度の測定が可能な非常に専門化された望遠鏡である。干渉計は,単一のミラーを使用する代わりに最大6つのミラーの配列を使用する。地球上や宇宙での位置を決定し時間を監視するための基準システムとして使用する空を横切る星の正確な相対的位置を測定する。
口径24インチ(60センチメートル)ローウェル天文台近地球物体探査(LONEOS)シュミット望遠鏡は小惑星やその他の地球近くの物体を探すために使用された。このシュミット望遠鏡は,1939年にJ.W.フェッカー社によって建てられ、1950年代にパーキンス天文台に与えられ,1990年にローウェル天文台によって購入された。1992年に改装され、1997年にローウェル・アストログラフを開催したドームで最初の光を見たが,望遠鏡の使用は2008年のLONEOSプロジェクトと一緒に終了した。
フラグスタッフの南東40マイルにあるハッピージャックには,口径169インチ(430センチメートル)のディスカバリー・チャンネル望遠鏡(DCT)があって,ローウェル天文台の主力機器となっている。この望遠鏡はボストン大学,メリーランド大学,トレド大学,北アリゾナ大学とパートナーシップを結んでいる。






