●ローウェルが設立した天文台●
「化石の森国立公園」から戻って,次にローウェル天文台に向かうことになった。これをもって,念願のフラグスタッへ来て,観光1日目にして,私はここに来た目的のすべてを達成することになる。
旅慣れてくると,こうした要領がよくなってくるのだが,それはそれで,次第にときめきもなくなる。何も知らなかったころは驚きの連続で,どこまでもまっすぐに続く道を走るだけでも感動したものだが,それもあたりまえになってしまった。このごろは,アメリカを旅行しても,数日間東京に行ってきたのと違いがないみたいになってきた。帰国した後で,本当に行ってきたのかという実感すら乏しくなってきたのが,さびしい限りである。
インターステイツ40を西に走ってフラグスタッフまで戻ってくると,オールドルート66という茶色の道路標示があったので,そのジャンクションでインターステイツを降りた。
アメリカでは,観光名所の案内標示はすべて茶色で統一されているからわかりやすい。フラグスタッフの町はメインロードがオールドルート66が走っていたところなのだ。
オールドルート66はダウンタウンを西に進んでいくと突き当りを左折していくが,その交差点を左折せず直進すると狭い道になって,そのまままっすぐに進んで行くと坂道になる。その坂を登っていくとその先にあるのがローウェル天文台である。ローウェル天文台のシンボルである口径24インチ屈折望遠鏡の収められた白いドームは坂の下からも見ることができる。
ここに来るまで不安だったのが,果たしてローウェル天文台は自由に見学することができるのだろうか? 念願だったクラウド・トンボーが冥王星を発見したという望遠鏡は見ることができるのだろうか? ということであった。ネットで事前に調べた限りでは,朝から夜まで終日一般に公開されているらしいのだが…。
ローウェル天文台(Lowell Observatory)は,1894年パーシヴァル・ローウェル(Percival Lowell)が私財を投入して設立した天文台である。現在はローウェル天文台財団(Lowell Observatory Foundation)が運営している。歴史的に有名なローウェルが使用した口径24インチ(61センチメートル)の屈折望遠鏡と,クライド・ウィリアム・トンボー(Clyde William Tombaugh)が冥王星の発見に使用した口径13インチ(32.5センチメートル)の天体写真儀があり,ともに一般を対象として公開されている。
私は,トンボーが冥王星を発見した天体写真儀をこの目で見たくて,この天文台に足を運んだわけであるが,むしろ一般に有名なのは,ローウェルが火星を観測したほうの24インチ屈折望遠鏡で,こちらの望遠鏡のほうがさまざまな本に紹介されている。日本人がこの天文台に行ってブログなどに載せている望遠鏡もほとんどがそちらのほうである。この後で詳しく書くが,私が実際に参加した天文台のガイドツアーも,ローウェルの使用したほうの望遠鏡がメインだし,予備知識がないと,トンボーが使ったほうの13インチ天体写真儀はうっかり見逃してしまうかもしれないから,わざわざこの地を訪れて,ローウェルの使った望遠鏡だけを見学してきた人も少なくないと思われる。
ローレル天文台に行く坂道の途中に展望台があって,そこからフラグスタッフの町を一望することができた。さらに進んでいくと天文台の門があって,それを過ぎると,その先に広い駐車場があった。結構多くの車が停まっていたが,スペースを見つけて車を停めた。天文台の入口まで歩いていって中に入った。
扉を開けるとそこに受付があった。見学料を払うと,この日に行われているイベントにすべて参加できるということであったので,さっそく料金を払った。ちょうどガイドツアーがちょうどはじまったところで,受付のとなりの小部屋でレクチャーをしていたので,私も参加した。参加者は十数人といったところだった。レクチャーではビデオを見ながら天文台の説明をしていた。私はものすごく興味があったからとても楽しく聞き入っていた。やがてレクチャーが終わると,いよいよウォーキングツアーがはじまった。




