2019年の6月,念願だったローウェル天文台に行って,冥王星を発見した望遠鏡を見てきたことは,すでにブログに書きました。
ここで,天王星・海王星・冥王星について,私の知識を整理したいと思います。
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私が子供のころの惑星の名前の覚え方は「水・金・地・火・木・土・天・海・冥」でした。その後冥王星が準惑星と新たに分類されて惑星から脱落してしまいましたが,それはともかくとして,水星から土星までは自然な名前なのに,どうして天王星,海王星,冥王星の三つだけ名前が異質なのか,子供のころ気味悪く思ったものです。
ところで,この惑星の覚え方ですが,英語では「My Very Educated Mother Just Served Us Nine Pizzas.」と覚えたのだそうですが,現在は,冥王星に加えて,新たに準惑星となったケレスとエリスを含んで,「My Very Exciting Magic Carpet Just Sailed Under Nine Palace Elephant.」と変わったそうです。 ちなみに,準惑星は冥王星,ケレス,エリスの三つに加えて,さらに,マケマケとハウメアのふたつがあります。
水星から土星までは肉眼ではっきり見えるので,古から惑星として認知されていたのに対して,天王星,海王星,冥王星はのちに望遠鏡で発見されたもので,そのとき名前がつき,それを日本語で別の表記をしたことから,異質なものになったというわけです。
では,これからは,天王星,海王星,冥王星の発見物語を書きます。今日は天王星です。
天王星は最大等級が5.6等なので,そのときは肉眼でも見えることができるといいますが,ほかの星と区別がつかないので,もし見えても,それが天王星だということは容易にはわからないでしょう。
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●天王星の発見
太陽系第7惑星である天王星(Uranus)は,1781年3月13日,イギリス人のウィリアム・ハーシェル(Sir Frederick William Herschel)によって発見されました。「Uranus」という名前は,ヨハン・ボーデ(Johann Elert Bode)が提案しました。これは,ギリシア神話における天の神ウーラノス(Ουρανός=Ouranos)のラテン語形で,これを中国で「天王星」と訳したものが日本に広まったのです。
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天王星は,1690年,ジョン・フラムスティード(John Flamsteed)がおうし座34番星として記録したものが最古の記録で,それ以後も何度も観測されていましたが,惑星とは認識されていませんでした。
1781年3月13日,ウィリアム・ハーシェルが自宅でこの星を見て「新彗星」であると思いました。しかし,その後の観測から軌道を決めるとき,彗星であれば,まず,放物線と仮定するのですが,それではうまくいかず,アンデル・レクセル(Anders Johan Lexell)が円軌道と仮定して軌道を求めたところ観測結果を説明することに成功し,求められた軌道は長半径が土星のはるか遠方の巨大な天体であることがわかりました。これ以後、新天体は惑星と見なされるようになりました。
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天王星を発見したと思われる,1781年にウィリアム・ハーシェルが自作した口径7フィート,約21センチメートルの反射望遠鏡のレプリカは,現在,ロンドンから電車で2時間ほどのバース・ニュー・キング・ストリート19番地にある彼の自宅を改築して作られたウィリアム・ハーシェル博物館(William Herschel Museum)にあります。一度見てみたいと思い続けているのですが…。