●アメリカの高速道路は美しい。●
窓際の座席を選んで座ったので,晴れ渡る窓の外にはフェニックスの町がよく見えた。
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すでに書いたように,19年前,私はロサンゼルスから車でインターステイツ15を北東にラスベガスを経由して,国道93を南東にキングズマンへ出て,そこからインターステイツ40でセリグマン,ウィリアムズと東に向かってに走り,ウィリアムズで北上してグランドキャニオン国立公園のサウスリムにたどり着いた。
古いことなのでほとんど記憶にないが,ロサンゼルスからグランドキャニオン国立公園がえらく遠かったことと,ウィリアムズから北に向けて走っていたとき,こんな大草原の向こうにグランドキャニオンという大渓谷が本当にあるのだろうかと思ったことだけは覚えている。
その後,橋のないコロラド川を延々と迂回して対岸のノースリムへ行き,さらに,その先のモニュメントバレーまで行った。そして,南西へ引き返し,フラッグスタッフを経由して,フェニックスへ着いたのだった。
その時の旅では,フェニックスからロサンゼルスまでも車で帰るつもりだったが,さすがに力尽き飛行機を利用した。
当時のフェニックスの見どころは,お昼間は動物園くらいのものであったが,夜はMLBダイヤモンドバックスのゲームを見た。先発はあの有名なランディ―・ジョンソン投手であった。私はいつもツイているのだ。
そのときのフェニックスの印象は,ものすごく暑かったことと,1泊したあと,目覚めたらすでに午後で,こんなに寝てしまったことは人生で後にも先にもなかったということだ。私が当日探して泊った場所は,結構「ヤバい」ところで,周りは古びた家だらけで,昼間から怖そうな男がふらふらしていた…,と当時は思ったが,今考えるとそうでもない普通のアメリカの普通の場所だったかもしれない。
当時はまだアメリカのことは今ほど知らず,なにもかもが怖かった。であるのに,行動は今よりずっと大胆であった。
飛行機の窓から見ていると,そんなことを思い出してきた。
おそらく飛行機はインターステイツ10に沿ってその上空を飛んでいたのだろうが,フェニックスの町を過ぎると,眼下にはオーストラリア大陸の荒涼とした大地のような,砂漠の荒野が広がってきた。どの国でもそうだが,空から見るとそんな景色であっても,地上を走ると結構人が住んでいたりするのが不思議だ。それにしてもいつも思うのだが,地球というのは広いのやら狭いのやら…。新型コロナウィルスのようなたわいもないものが発生するだけで,地球上のすべてがパニックになり,人間の作ってきたシステムはすべて台無しとなり,逃げ場所すらない。
いずれにしても,未開の地などというものはもはや地球上のどこにも存在せず,人間は地球をぐっちゃぐちゃにしすぎた。地球の代わりになるものはないのだから,やがては破壊しつくして地球をぶっ潰してしまうのだろう。それも近い将来…。人類の滅亡も近いかもしれない。そして,人類に代わる新しい生物がまた登場して,同じ愚を繰り返すのだろう。
やがて,ロサンゼルスの広大な市街地が見えてきた。大自然をぶっ潰して作ったアメリカの大都市はどこも高速道路がとても美しく見える。ジャンクションの幾何学的な模様には,いつもほれぼれする。
☆ミミミ
6月21日は,夏至であり,台湾では金環日食,日本では部分日食が見られましたが,残念ながら曇り空でした。雲を通して,なんとか写真を写せました。