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●不人気車は売れ残る。●
 ロサンゼルスのダウンタウンが眼下に見えてきた。大きな学校があった。おそらく高等学校だろう。それにしても豪華だ。専用のフットボール競技場やベースボールスタジアムがある。
 こういうのを比較すると,常にいわれるのは,日本は狭いから,という言い訳である。しかし,土地があるかどうかというような問題ではないだろう。日本は教育に金をかけなさすぎるのだから,もうどうしようもない。と,こういう景色を見るといつも思い,絶望的になる。
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 やがて,定刻ロサンゼルス国際空港に着陸した。
 ロサンゼルスに戻ってきた。
 この旅では,来たときはロサンゼルスに到着して,そのまま乗り換えてフェニックスに行ったので,ロサンゼルスの町に降りるのはこれが最初だった。しかし,昨年もロサンゼルスには来たので,昨年は少し戸惑ったが,もう,すっかり勝手がわかっていて,空港ビルを出て,レンタカー会社のシャトルバス乗り場に行った。
 そういえば,19年前,知ったかぶりでロサンゼルスに着いた私は,そのときは空港ビル内のターミナルにレンタカー会社のカウンタがあるものと思い込んでいたから,それが見つからず,空港で困り果てた。どうすればレンタカーオフィスに行くことができるかさっぱりわからなかった。仕方なくビルの外に出たが,案内標示もなく,しばらく途方に暮れたのを思い出した。
 忘れていることも多いのに,こうした困ったことだけはずっと覚えているのはどうしてだろう?

 レンタカー会社のシャトルバスに乗り込んだ。乗ったときは空いていたが,このシャトルバスは,空港のターミナルを巡回して,それぞれのターミナルで客を乗せていくので,次第に混雑してきた。こういうシステムは,知ってしまえば当たり前なのだが,はじめて行ったときはずいぶんと心細いものだろう。
 隣に乗り合わせた男性が話しかけてきた。日本と違って,見ず知らずの人とも隣り合うと雑談を交わすのがアメリカ流といったところだ。彼はこれまで78か国に仕事で行ったと言っていた。すごいものだ。もちろん日本も行ったことがあるということだった。
 私が行ったことがあるのは…,そう,考えてみると,せいぜい11か国でしかない。

 ロサンゼルス国際空港はめちゃくちゃ混んでいたが,これは,空港のターミナルビルが工事中であることと,ターミナルのアクセス道路が空港の中央部分にすべて集まっていて,これもまた工事中であることが原因であろう。これは,2028年に開催されるオリンピックの準備である。
 シャトルバスは,やっと空港エリアを出て,まもなくレンタカー会社の駐車場に到着した。ロサンゼルスは空港の周りにそれぞれのレンタカー会社の敷地が別々にあるので,自分の借りたレンタカー会社のある場所を覚えておかないと,返すときにパニックになる。これもまた,昨年学んだことだ。
 レンタカー会社のゴールドエリアには多くの車が並んでいて,そのどれを選んでもいいというのもまた,昨年知った。借りるときにインターネットで選んだ車の車種など全く無関係で,車のランクが同じならどれを借りてもいいわけだ。オプションでカーナビを借りたときは,別途出口で受け取ることになる。
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 昨年借りたときは車のほとんどがカローラだったので今回もそれを期待したが,カローラは1台しかなかった。それにしようと思ったが,ほかの車も見てみようと物色しているわずかの間に私が借りようと思ったカローラはとられてしまい,後悔した。仕方がないのでニッサンのアルティナにした。
 レンタカーもこのようなシステムにすると,自分で車を選べるので便利だし,レンタカー会社もまた手間がかからないからウィンウィンである。しかし,このシステムは車の人気投票という事実を呈する。まず売れ行きがいいのは故障のない日本車である。最後まで残ってしまうのは不人気車であるが,それはいつもヒュンダイであった。