●今年もまたここにやって来た。●
☆5日目 2019年6月29日(土)
5日目になった。明日は帰国するだけなので実質上最終日である。この旅は5泊7日だが,1日中観光ができるのは途中の4日間,つまり,海外旅行では,旅行する日にちマイナス3日ということになる。だから,最低限6日,つまり4泊6日はないと満足な海外旅行はできないことになる。
この旅はそれより1日多い7日間だったが,過ぎてしまえばあっという間であった。毎日まったく無駄なく旅を楽しめたのは,慣れているからだろう。
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昨年(2018年)の旅で,私は,子供の頃からの念願だったパロマ天文台を訪れた。パロマ天文台は年中無休で公開されているということだったのだが,私が訪れたちょうどその日は天文台構内の駐車場の工事をしていて,公開が中止となっていて中に入れなかったということは,これまで何度かこのブログに書いた。
そこで,今年(2019年),再び来ることになったのだが,パロマ天文台に再訪するためだけにアメリカまで行くのは... ということで,今年は,フラグスタッフやバリンジャー隕石孔などを旅程に加えた。それらの場所は,いつかは行ってみたとと思っていたところばかりであった。しかも,期せずして,大谷翔平選手まで見ることができた。
昨年パロマ天文台の中に入れなかったから,こうして,それ以外の長年の夢もかなったのだった。もし,この旅をしていなかったら,コロナ禍でしばらく海外旅行ができなくなった今,ものすごく後悔していたことだろう。そう考えると,本当に幸運であった。
が,幸運はそれだけではなかった。
パロマ天文台を訪れたこの日が土曜日というのが,まさに奇跡であった。私は,曜日すら考慮しないで,偶然,土曜日にやってきた。私が見たかったパロマ天文台の200インチ反射望遠鏡は,通常はガラス越しにしか見ることができないのだが,ドームの中に入って見学できるツアーというものが,なんと,土曜日と日曜日のみ実施されていたのだった。
つまり,昨年(2018年)はゲートが閉まっていてせっかく来たのに中に入れなかったが,入れなかったからこそ,今年(2019年)再びパロマ天文台にやって来て,それが偶然土曜日だったから,今年はドームの中まで入れたというわけだった。
しかし,昨年はパロマ天文台に入ることができなかった代わりに,偶然,ウィルソン山天文台を訪れたその日が特別公開であった。そして,今年もまた,偶然,パロマ天文台のツアーに参加できたのだから,結果的にこれでよかったわけだ。
昨年は,パロマ天文台へはサンディエゴから往復した。パロマ天文台はサンディエゴからのほうがはるかに近いということに加え,サンディエゴにも行ってみたかったからであった。サンディエコに行きたかったのは,MLBのサンディエゴ・パドレスの新しいボールバークでゲームが見たいというのが理由であった。
今年は,サンディエコに行く理由がなかったので,ロサンゼルスから往復することになった。そこで,昨年とは経路が異なっていた。
ロサンゼルスからパロマ天文台までは120マイル(約200キロメートル)あって,片道2時間以上と結構時間がかかるので,アメリカに来るまで気が重かった。しかし,この旅では,この日以前に,フラグスタッフまで行ってみたり,さらに,ホースシューベンドまで遠出したりして,すでにもっと長距離を走ったので,このころには,パロマ天文台への2時間の往復くらいどおってことなくなっていた。要するに気持ちの問題なのだった。
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パロマ天文台は午前9時に門が開く。早朝6時すぎに,時間が惜しいので朝食抜きでモーテルを出発した。モーテルからは昨日ロサンゼルス・エンジェルスのゲームを見にいったときに通ったのと同じ国道91を走り,アナハイムを過ぎて,さらに東に進んでいってインターステイツ15に入る。そして,インターステイツ15を南東に進んでいって,テメクラ(Temecula)という町でインターステイツ15を降り,州道76に入る,という経路で走っていった。
テメクラからは一般道である。このあとはわずか36マイル(約60キロメートル)なのだが,州道76は一般道かつ山道なので,まだそれから1時間程度かかる。パロマ天文台を目指して日本の山道のようなところを走っていくと,やがて,リンコン(Rincon)という数件の家がある小さな町に着いた。リンコンにはアメリカにはめずらしいロータリーがあった。このロータリーがこの小さな町のただひとつの交差点というわけであった。このロータリーの角によろずやがあったので,車を停めて中に入って,菓子パンと冷たい飲み物を買ったが,これが結果的に今日の朝食となった。この時点では,パロマ天文台にカフェくらいはあるだろうからそこで朝食を,と思っていた。
リンコンから先は昨年走ったのと同じ道であった。昨年と今年,たった2度走っただけだが,なんども来たような気がしてすごく懐かしかった。途中でシカの親子が横切った。数年前,ワシントン州で巨大なシカが私の車にぶつかってきた記憶がよみがえったが,今回のシカは小さくおとなしかった。
さらに山道を走っていくと,やがて,昨年も見たパロマ天文台の口径200インチ反射望遠鏡の巨大なドームが見えてきた。昨年はここで感激したが,今年は,果たして昨年開かずだった門は時間通り開くのだろうかと,少しだけ不安な気持ちになった。