●50年来の夢の実現●
早く着きすぎたので,ふもとの,景色がよく見える広い場所でしばらく休憩して,午前9時少し前にパロマ天文台の入口に着いた。
昨年来たときは9時を過ぎても決して開くことのなかったパロマ天文台の門だった。まだ,午前9時より少し早かったのにも関わらず,その私にとって「開かずの門」はそんな悪夢(=2番目の写真)はなかったかのように,難なく開いていた(=3番目の写真)。
こうして,私の50年間の夢が実現したのだった。何事も苦労して手に入れたほうがずっと思いが深いものだ。
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門を通り過ぎて天文台の構内の道路を入っていくと,その先に広い駐車場があって,すでに,2,3台の先客の車が駐車していた。車を降りると,駐車場の右手にビジターセンターがあった。私は,もっと大きなビジターセンターを想像していたので,正直少しがっかりした。
ビジターセンターに入ると,そこにはこれまた小さな売店と展示があった。軽食をとることができるレストランなどもあると思っていたが,一般の見学者用にあったのはこの建物だけだった。このビジターセンターは土曜日と日曜日だけ開いているということだった。
私は昨年,ロサンゼルス近郊のウィルソン山天文台と,サンディエゴ郊外のこのパロマ天文台を見ようとアメリカにやってきた。結局,昨年はパロマ天文台は構内に入ることができなかったが,ウイルソン山では特別公開を見ることができたことは,すでに何度も書いた。ウィルソン山天文台には軽食がとれるレストランや充実した展示室があった。
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実は,私は無謀に旅をしているわけではなく,ちゃんと昨年(2018年)アメリカに来るまえに,このふたつの天文台の公開情報について調べてきたのだった。そのときの結論は,パロマ天文台は平日でも一般の見学ができ,ウィルソン山天文台は週末のみの公開ということであった。そこで,ウィルソン山天文台には週末に行くことにし,パロマ天文台には,奇しくも,ちょうど今年(2019年)と同じ6月29日(ただし昨年は金曜日だった)に行ってみたのだったが,何度も書くように,駐車場の工事をしていて臨時休館で入ることができなかった。
そして,その1年後,どうしてもパロマ天文台が見たくて,またやって来た。この日に来たのは,週末だからではなく,単なる日程上の偶然だった。
私は,口径200インチ(508センチメートル)の反射望遠鏡はガラス越しに見ることができるものだと思っていたのだが,なんと,ドーム内に入って間近に見ることができるツアーが週末のみ実施されているということを到着してから知った。ツアーが実施されるのは週末の午前10時30分からと午後0時30分からと午後2時からの3回であった。
チケットはビジターセンターの売店で購入できるとあったので,さっそく午前10時30分のツアーを購入して,用紙に名前を書いた。その時に「昨年も来たのですがお休みでした」と告げたのだが,それがこのあとで幸運をもたらすことになる。
この時点では,午前10時30分のツアーの申し込み者は私ひとりだったから,いったい何人参加するのやら… と思った。ここは別に新しい観光地でもないし,私のような望遠鏡を見たいというオタクがそれほど多いとも思えなかった。しかし,帰国後,ネットを見ていたら,50年来の夢がかなってパロマ天文台に行くことができたといった,まるで私が書いたようなブログを多数発見して驚いたものだった。