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●航空会社で違うこと●
☆6日目 2019年6月30日(日)
 帰国する日になった。
 昨年はレンタカーを返却するときに場所がわからず苦労したので,今年はそういったことがないようにと,地図を頭にいれてきたのだが,道路標示に従って運転していくと何の苦もなくレンタカーリターンの場所にたどりついた。昨年戸惑ったのはどうしてだったのだろう?
 レンタカーを返すときは車にトラブルもなく旅が無事終わることでいつもほっとする時間である。
  ・・
 今回はわずか5泊7日の旅だったが,ロサンゼルスとフェニックスの2か所でレンタカーを借りた。フェニックスではトヨタのカローラ,ロサンゼルスではニッサンのセントラであった。
 私は今後もアメリカに来る機会があることを望んでいるが,こうして旅をしていると,アメリカはストレスがない国だとわかる。というか,アメリカの田舎は誠に旅がしやすいと感じる。しかし,アメリカの都会には興味がなくなったし,アメリカには住みたいとも思わなくなった。
 こうして旅を振り返っていると,いつも頭に浮かぶのがフラグスタッフののどかな町の風景であるのが不思議なことだ。というより,フェニックスに限らず,アメリカのさまざまな地方で泊まったモーテルをチェックアウトをしようと迎えた朝の景色ばかりなのである。
 そうしてモーテルを出発するときは,また,いつでもその場所に来ることができるだろうと思うのだが,再びその地に行くことはほとんどない。
 地球は狭そうで広く,人生は長いようで,かくも短い。

 ロサンゼルスでは事前にチェックインがしてあったし荷物はキャリーオンだったので,セキュリティを通って,そのままデルタ航空のラウンジに向かった。ここで朝食をとって,搭乗時間までゆっくりと過ごす,これもまたいつもと同じであった。こうしたラウンジもまた,日本の空港では味わえないゆったり感である。
 やがて,搭乗時間になったので,ラウンジを出て,ゲートに向かった。
 帰りもまた,行きと同じくプライムエコノミーの先頭席である。ファーストクラスやビジネスクラスのようなフルフラットにはならないが,席が広く,また,食事が豪華で,これなら長時間のフライトも苦にならない。

 飛行機も,以前はデルタ航空ばかり乗っていたのでわからなかったが,航空会社によってさまざまなことがずいぶんと異なる。それぞれ長所もあり短所もあるが,今回,デルタ航空であっても機体がヨーロッパ製のエアバスだったので,イヤホンのジャックの形状が異なっていて2口のものだったのには驚いた。
 USBコネクタは,もう,ずいぶんと前からデルタ航空の飛行機にはついていたが,フィンランド航空の飛行機には最近までなかったし,オーストラリアのカンタス航空だと,離着陸のときイヤホンやUSBのコネクタに接続しているとはずせと言われる。食事もまた,航空会社によってずいぶんと異なるのだ。
 少し前,ひさびさにシドニーからの帰国便でJALの国際線に乗ったが,トイレに歯ブラシが用意されていたのには驚いた。いつも思うのだが,日本人というのは,こうした過剰なサービスには気が回るのに,というか,飛行機のトイレで歯磨きなどされたら,混雑して仕方がないと思うのだが,その反面,街を歩いていてトイレで入っても,手拭きペーパーさえない。立派なコンサートホールのトイレでさえ,なにもない。
 なんか,やっていることがものすごくちぐはぐなのである。

 まあ,それが日本である,ということにしておこう。
 とまれ,広い機内では,いつものように,特にすることもなく,だらだらと時間をつぶすことになった。映画を見るも,本を読むも,何をするのも,歳をとると面倒になってきた。時間を忘れてわくわくできるような何かがないだろうか,といつも思うのだが,妙案がうかばない。将棋の棋士なら詰将棋でも解いていれば時間を忘れるのだろうが,無能な私は歳をとって頭を使う気にもならなくなった。地上の旅なら風景を見ているだけで何時間もすごせるのだが,空の上ではそうもいかない。
 ところで,アメリカからの帰国便は地球の自転の逆らった飛ぶので,太陽から見たらいつも同じところを飛んでいる,というより浮いているから,ずっと太陽は同じところにある。だから,座席は太陽の光が直接入ってこない右側に座るに限るのである。
 やがて,日付変更線を越えて,日にちだけが1日過ぎ,行きに徳をした分を回収されて,そのうちに日本の陸地が見えてくると着陸である。そういえば,行きは着陸前の食事がでてくるのが遅くて,離陸直前にはっちゃかめっちゃかになったことを思い出したが,帰りはそういうこともなく,食事が出てきた。
 これで旅も終わりである。この時は,この旅は旅をしたという高揚感もときめきもなく単に通勤をしているような気持ちになってしまっていたのがとても寂しかった。しかし,今は,そういう旅すらできなくなってしまった。それもまた,寂しい。