金星と天王星_20200312s金星_海王星 _20170112C_2017T2_PanSTARRS_20200312

 コロナウィルス騒動が続いていますが,気がつけば3月,もう春です。そしてまた,3月も満月が過ぎて,星見の時期になってきました。
 私は人混みがきらいだし,スポーツジムもライブハウスも無縁で,誰も人がいない空の広い,そして暗い場所で星空を眺めるのがもっとも落ち着きます。しかし,こんなものが流行してしまうと海外旅行をする気にならないのだけが誤算です。
 現在,夕方の西の空に「宵の明星」とよばれる金星が高く輝やいています。実はその近くに天王星がいるのですが肉眼ではまず見えません。そこで,3月12日の夕刻は天気がよかったので,金星と天王星を同じ画面に収めようと,画角を調べてみると180ミリ望遠レンズなら一緒に撮ることができることがわかったので,そのレンズを持って,日没を待って写しにいきました。

 子供の頃,惑星の名前を「水・金・地・火・木・土。天・海・冥」と覚えました。今は冥王星は惑星の座から降りた(降ろされた)ので「水・金・地・火・木・土。天・海」です。
 これを英語では,
 My Very Educated Mother Just Served Us Nine Pizzas.
というように,惑星のスペリングの先頭の文字で覚えるのだそうです。ちなみに,
 水星=Mercury
 金星=Venus
 地球=Earth
 火星=Mars
 木星=Jupiter
 土星=Saturn
 天王星=Uranus
 海王星=Neptune
 冥王星=Pluto
です。しかし,冥王星を抜いてしまうと文書にならないので,新たな覚え方というのが発案されたそうです。
 それは,たとえば
 My Very Educated Mother Just Served Us Nachos.
 My Very Educated Mother Just Served Us Noodles.
の類ですが,最後の「Nine Pizzas」を別のモノに変えただけです。
 
 さて,水星から土星までは明るく,簡単に肉眼で見ることができるのですが,天王星と海王星は暗いので,簡単には探せません。とはいえ,天王星は意外と明るく,理屈では肉眼で見られないこともないのですが,海王星となるとお手上げです。たとえ,天王星や海王星を位置を調べて望遠鏡の視野に入れても,小さな望遠鏡では単に恒星のようにしか見えないので,それが天王星や海王星なのかはなかなか区別がつきません。そこで,金星が近くにあると,星の並びから容易に探しだせるというわけです。
 ということで,今日の1番目の写真は,この晩に写したものです。
 ちなみに,2017年1月12日に金星は海王星と接近しました。そのときに金星と海王星を同じ視野に入れて写したものが,今日の2番目の写真です。
  ・・
 この晩はこれで目的を果たしたので早々に帰ろうと思ったのですが,せっかくなので,機材を入れ替えて,いつもの望遠鏡でパンスターズ彗星(C/2017T2 PanSTARRS)も写してみました。それが3番目の写真です。この彗星は7月ごろまではまだ今よりも少し明るくなる予報なので,まだまだ写すことができます。
 また,この晩は写しませんでしたが,アトラス彗星(C/2019Y4 ATLAS)が5月ごろに,ずいぶんと明るくなるという予報が出ています。ひょっとしたら大化けするかもしれません!
 それに加えて,3月18日から19日にかけて,明け方の東の空に,火星と木星と土星,それに加えて月が大接近するので,今から楽しみです。午前3時30分ごろ,東の空が開けたところなら,3つの惑星と月が同じころに昇ってくる姿が見られます。晴れるといいなあ。

◇◇◇
私は,星を見ていると,もののスケールや時間のスケールがいつも気になりますが,多くの人はそういうことをほとんど考えません。たとえば,今流行しているコロナウィルスですが,愛知県で感染者が100人といっても,愛知県の人口は750万人あまりだから,感染者は7万人に1人。日本中では感染者が1,500人弱で日本の総人口は1億3,000万人弱なので,10万人に1人ほどです。これは,「年末ジャンボプチ」の1等1,000万円に当選するのと同じくらいの確率です。ちなみに,コロナウィルスほど騒がれませんが,2018年9月第1週から2019年2月第2週までのインフルエンザの累積予想患者数は10,448,891人(約1千万人)でした。
また,マスクを買うのに行列を作っていますが,私はこのご時世,人混みで行列を作っていることのほうがずっと危険だと思うのです。実際,マスクの目の大きさは約5μm,それに比べて,コロナウイルスの大きさは0.05μmから0.2μmで約50分の1ほどなので,マスクの目をすり抜けます。しかし,ほとんどの人は,こうしたことをまったく知りません。マスク洗って何度も使っているいる人,マスクを汚いポケットにしまったり,テーブルに置きっぱなしにして食事をしている人さえいます。屋外や車の中のように,マスクが必要でない場所で貴重なマスクを無駄遣いしている人もいます。さらに,マスクを顎に下げて,コロナウイルスよりよほど有害なタバコを吸っている人もいます。マスクを市販の布で自作している人もいますが,マスクはマフラーとは違います。目の粗い布で作っても,それは,形がマスクであるだけで,マスクの機能をみたさなけば意味がありません。それはたとえば,「倍率100倍の双眼鏡!」のような,双眼鏡の形をしているだけのマガイモノのようなものと同類です。
スギ花粉はマスクの目よりもずいぶん大きくて20μmなのでマスクで侵入を防げるのですが,正しくマスクを使わない人がマスクを買い占めることで,気の毒にも花粉症でマスクが本当に必要な人や,医療従事者のようにマスクの必要な人の手にゆきわたらないということにもなっています。
ちなみに,政治家など言わずもがな,「情報の信ぴょう性」を指導しなけらばならない教育者や「正しい情報の伝達」を最も重視しなけらばならない報道関係者でも,こんなことすら知らない人がいます。また,そうした人に限って,正しい使い方を知らず教えず単にマスクの着用をよびかけたりしているのは,「偏差値」の正しい意味も知らずに進路指導をする教師同様,きわめて嘆かわしい話です。
無題