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 ヒスイ海岸あたりはまだ海岸線はずっと平地で,この先に本当に断崖絶壁があるのだろうか,という雰囲気でした。
 日本海の海岸にそって地元道をくねくねと富山県から新潟県に入ると,急に山が迫ってきます。アメリカの州境も日本の県境も同様ですが,あとで地図で線を引いたような場所はともかく,歴史的に自然に境ができたところは,やはりそれなりに理由があるものだなあというのを実感します。

 新潟県に入るころには一般道は国道8号線に吸収されました。県境を越えたところに市振という集落がありました。この集落はその先の難所を控えた宿場だった場所ですが,いつものとおり私はともかく目的地に到達するのが第一なので,この場所で停車することもなく先を急ぎました。この集落は帰りに寄ってみたので,そのときにまた書きたいと思います。
 市振を過ぎると,突然,海岸線は崖になりました。高台には高速道路が走っていますが,私は,高速道路を走る予定はなく,ずっと一般道の国道8号線を走ることにしていました。
 海岸にそって走る国道8号線は海の迫ったこの場所では日本海の荒波が直に打ち付ける場所で,塩害が強く,走っていると,道路は絶えず補修をしたり,作り直されたりしていることがよくわかりました。断崖絶壁である数十メートルの区間は切り立った断崖をトラバースします。国道8号線は総延614キロメートルにも及ぶ日本海側の大動脈で,多くの車が行き交っていました。覆道あるいはトンネルは多くのトラックが走っていてカーブになるとオーバーハングしてくるので,油断のならない道路でした。
 この場所が断崖絶壁なのは,日本列島の大地溝帯フォッサマグナが南端である静岡県焼津市大崩海岸から続く北端にあたる部分で,北アルプスの山塊が日本海に潜り込む場所だからです。
 車中から眺められる豪快な海岸線はまさに絶景なのですが,よそ見をする余裕はなく,景色を見るのは展望台までお預けでした。
 
 やがて,ようやく待ち望んだ展望台に到着したので,駐車場の車を停めて外に出ました。
 海岸線に続く,車の通行禁止の道路があったので,まず,そこを歩きました。いつものように,私はほとんど下調べをしないで来たので,この場所がどうなっているのかは到着してのお楽しみでした。このときわかったのは,今のような国道8号線ができる前,この展望台のはるか下の海岸線近くに鉄道のトンネルが掘られたということで,今は廃線となったそのトンネルは歩いて抜けることができるのでした。
 ただし,私が今歩いている道路は,トンネルの西の端の入口に続いているのですが,冬場は徒歩でもトンネルの入口へは通行できないということで,途中で引き返すしかありませんでした。
 それにしても,想像以上にすごい風景でした。