●旅先での出会いは…●
日ごろから親しい人でも,一緒に旅をすることは,若いころとは違って,簡単なことではない。まして,日ごろおつき合いのない人と旅先で出会ってその町の案内をしてもらうということは,なかなか難しいものだ。
私は,旅行先やそれ以外にも様々な方法で知り合った人と,遊びに来て,という誘いに応じて,出かけたこともこれまでに少なからずあったが,いざ会っても,そのあとがけっこう難しいのだ。それは好みが違ったり,行きたいところや行動様式が違うからだ。さらに,友達とならフィフティフィフティで何とかなるが,お招きにとなると,お金をどうするかという問題もある。
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私は,旅先では,地元の人に,旅人では行くことができないところに案内してもらうのが最もうれしい。特に,レストランなど,知らないところにはなかなか入りにくいから,最も楽しい時間となる。だから,もし,海外から日本に友人が来たら,そういった場所を案内するのがいいと思うのだが,そのとき,問題なのは食習慣の違いを理解しているかどうかということだろう。私は好き嫌いがないからまだしも,それでもやはり,これまで食べたことがないものの中には抵抗があるものが少しはある。
それよりも,観光地を案内されるほうがより難しい。この旅の1年前の2014年,これもまた,友人の招きでテキサス州のサンアントニオに行ったとき,私はまずアラモ砦に行きたかったのに,あんなところは観光用だといって興味を示してもらえなかった。それは,たとえば,京都に行って外国人を案内するときに,鹿苑寺金閣は再建だから見る価値などなく,慈照寺銀閣は国宝だからこちらのほうが価値があるといわれるようなものだった。
そのように,なかなか波長が合わないこともあって,そういったときは,結局,ひとり旅のほうがずっと居心地がいいということになってしまうことも多い。しかし,この旅で会った友人は,そういうことを心掛けてくれて,楽しい時間を過ごすことができた。
この日は,ポートランドのダウンタウンをひと通り案内してもらった後で,ウィラメット川(Willamette River)畔のトムマッコールウォーターフロントパーク(Tom McCall Waterfront Park)にあったレストランで昼食をとった。平日なのに多くの人がノンビリと景色を眺めながら食事をしていて,とてもいい雰囲気であるとともに,うらやましかった。
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ウィラメット川は,オレゴン州のポートランドおよびセイラムを流れる川である。コロンビア川の支流で,長さは187マイル(301キロメートル)および,ひとつの州の中だけを流れている川としてはアメリカで最大の面積をもっている。
トムマッコールウォーターフロントパークは,ポートランド市内を東西に分けるウィラメット川の西ダウンタウン側に約2.4キロメートル続く公園である。
この区間には,北からスティール橋(Steel Bridge),バーンサイド橋(Burnside Bridge),モリソン橋(Morrison Bridge),ホーソン橋(Hawthorne Bridge)の四つの橋がかかり,徒歩や自転車,インラインスケートなどで「橋の街」ともよばれるポートランドの姿を楽しむことができる。夏場は水遊びする子供達でにぎわうサーモンストリート噴水(Salmon Street Springs)や桜並木と石碑が並ぶ日系アメリカ人歴史プラザ(Japanese American Histrical Plaza),川に浮かぶオレゴン海洋博物館(Oregon Maritime Museum)といった見所もある。
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ポートランドはどこに行っても美しいところだったが,特に,このウィラメット川のほとりの公園が過ごしやすかった。このときはまだ知らなかったが,のちに行ったオーストラリアのブリスベンのダウンタウンに似ていないこともない。いずれにせよ,こんな過ごしやすい町は,日本にはない。





