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 ネオワイズ彗星(C/2020F3 NEOWISE)は,赤外線観測衛星「NEOWISE」によって2020年に発見された彗星です。以前,このブログにかいたネオワイズ彗星(C/2016U1 NEOWISE)とは別物です。
 2020年3月27日,2009年アメリカ航空宇宙局(NASA)によって打ち上げられた赤外線観測衛星「NEOWISE」の観測から発見されました。こちらのネオワイズ彗星もまた,オールトの雲(Oort Cloud) から飛来してきた天体とされています。
 オールトの雲というのは,太陽系の外側を球殻状に取り巻いていると考えられている理論上の天体群で,1950年オランダの天文学者ヤン・オールト(Jan Hendrik Oort)が,水,一酸化炭素,二酸化炭素,メタンなどの氷が主成分である長周期彗星や非周期彗星の起源として提唱したことに由来します。

 ネオワイズ彗星は,発見当時は17等星でしたが,予想を越えて急激に明るくなり,6月30日には0等星にまでなったそうです。2020年7月3日に太陽に最も近い近日点を通過しました。地球上からは,夜明け前の空の低い位置に尾をなびく様子が肉眼でも観測されています(1番目の写真)。
 日本でも,現在は明け方の北東の空低くに見え,やがて太陽を回り込んで,7月中旬からは日没前の北西の低空で見えるようになり,7月23日に地球から約1億300万キロメートルまで接近します。
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 と,高らかに歌って,この彗星の私が写した写真をブログに載せる予定でしたが,
    晴れません。
 しかたがないので,国立天文台がハワイ島マウナケア山頂で写した写真を載せることにしました(3番目の写真)。

 このところ,ずっと雨です。この先もまたずっと雨です。久々にやってきた明るい彗星を写すこともなく月日が流れていってしまうのでしょうか。
 雲の間からのぞく彗星を写しても大した写真が写せるわけでもないのですが,なんとか少しでも星の見える日があれば写してみたいと準備だけはしているのですが,毎日,無残にもその期待は裏切られてしまいます。そしてまた,美しい写真を手に入れようと思うのなら,天気のよい日に空の暗い場所まで出かけて撮影したいものですが,その希望はかなうのでしょうか? どうしても,というなら,梅雨のない北海道か梅雨の明けた沖縄に行くより方法がないのかもしれません。
 私がこれまでに見た最も明るい彗星は,ヘールボップ彗星(C/1995O1 Hale-Bopp)でした(2番目の写真)。長く生きているとこういうものも一度くらいは見られます。ヘールボップ彗星はものすごく明るくて,これを見た経験があるので,もし,ネオワイズ彗星が見られなかったとしても,なんとか我慢ができるというものですが,明るい彗星を見たことのない人にとってはとても残念だろうと思います。
 もし,南半球でしか見られないというものなら,それでもあきらめがつくのでしょうが,晴れていれば簡単に見られるものが,雲があることで見られないというのは,悔しい限りです。
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 これまで何年もの間,消滅してしまったアイソン彗星(C/2012S2 ISON)以来,ずっと明るい彗星がみられなかったのに,突如このところ立て続けに明るい彗星が地球に接近しています。というのに,これもまた明るくなるという評判倒れに終わったアトラス彗星(C/2019Y4 ATLAS),条件最悪だったスワン彗星(C/2020F8 SWAN)など,そのすべてが満足に見られません。
 コロナ禍だけでなく,ついに,星空もまた,人間を見捨てしまったのでしょうか?

☆ミミミ

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