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一向に晴れません。これでは世紀の大彗星「ネオワイズ」(C/2020F3 NEOWISE)を見ることもなく終わってしまいます。それが残念で仕方ありませんでした。これまでどれだけこうして世紀の瞬間を見損ねて後悔したことでしょう。こういうトラウマはずっと後まで尾をひきまます。
運というのは自らつかみにいくものです。…ということで,何とかならないかと天気予報をにらむこと,日本でかろうじて晴れているのは北海道と沖縄くらいのものだと悟りました。ネオワイズ彗星は北斗七星に近く,北に行くほど高く見えるので,沖縄は却下して,北海道に狙いをつけました。週末は晴れるという天気予報を信じて,7月16日木曜日から3泊で行ってきました。そして,彗星をこの目で見てきました!
旅の様子はまた後日書くことにして,今日は彗星の話です。
北海道,私が選んだのは留萌でした。しかし,16日は残念ながら夕方から曇ってしまい見ることができませんでした。翌日17日は午前中は曇っていましたが,午後から晴れてきました。せっかく来たからには少しでも条件のよい場所でと,留萌から2時間30分かけて,サロベツ原野まで行きました。そして写したのが1番目の写真です。
サロベツ原野を北に北に走っていくと,街灯のない絶好の展望台を見つけました。空が暗くなるのを待っていると,現地在住のカメラマンの方が彗星を写しにやってきました。そこで仲よくなって,楽しい時間が過ごせました。
北極星が見えだしたころ,まだ肉眼では彗星は確認できませんでしたが,おおよその位置を広角レンズで写してみると,彗星が簡単に写って驚きました。目を凝らすと次第に肉眼でも見えました。そして,空が暗くなると,あざやかな彗星の姿が浮かび上がりました。
サロベツ原野からは利尻富士が見えます。そこで,魚眼レンズで利尻富士と彗星一緒に写すことにしました。この晩は流れ星がたくさん現れ一緒に写すことができました。3番目の写真です。また,ISS(国際宇宙ステーション)まで見ることができました。ISSも一緒に写すことができたのに,そのチャンスを逃したのが贅沢なこころ残りとなりました。
翌日18日。その次の日19日は早朝に留萌を発って朝9時40分発の飛行機で新千歳空港から帰宅です。そこで,前日と同じようにサロベツ原野まで行ってしまうと,その次の日の朝がたいへんなので遠出はあきらめ,留萌から少し海岸線を北に走ったところで海岸に降りられる場所を17日の夕方に見つけておいたので,そこで写しました。それが2番目の写真です。前日の晩に彗星の様子はわかったので作戦を立て,この晩は彗星全体の姿を捉えることを目的としました。レンズの画角は55ミリ。ネオワイズ彗星はこんなに広い画角でも尾がはみ出てしまうほどの大彗星でした。
こうして,私は北海道まで出かけ,ついに念願のネオワイズ彗星を見ることができました。この機を逃さず行ってみてほんとによかったと思いました。もし行っていなかったら,この先もずっと後悔しながら生きていくことになったことでしょう。
彗星は思ったよりずっと明るくて,北斗七星ほどもある尾をひいた美しい姿を肉眼でもはっきり見ることができました。こんなに明るい彗星を見たのは「1997年の大彗星」とよばれるヘールボップ彗星(C/1995O1 Hale-Bopp)以来23年ぶりのことでした。感動しました。