新千歳空港に到着しました。相変わらず,曇り空でした。
この春に行った京都もそうですが,少し前までのインバウンド(和製英語!)によって,この国の観光地はどこも,従来の「よさ」や「のどかさ」を失っていて,やたらとわけのわからない警告が表示されていたりと,居心地が悪くなりました。
国土の広いアメリカやオーストラリアでは,都会や観光地以外は交通の便も悪いことから,観光客の訪れないところが今もまだたくさん残っていて,そういった場所に行けば観光客の毒気に触れることもないのですが,狭い日本では,どんな山奥まで行ってもインバウンドの影響を受けていて,逃げ場がまったくありません。改めて,国内を旅するには,再びインバウンドが起きる前の今に限るなあと痛感したことでした。

新千歳空港でレンタカーを借りました。
私は,海外に出かけて,空港でレンタカーを借りて移動するという旅をこれまで頻繁にしていたのですが,日本ではほとんどしたことがないので,むしろ日本のほうがシステムがよくわかりません。こうして日本で体験してみて,海外と比べてみると,日本のほうが手続きは面倒だし,時間がかかります。
アメリカなら,空港のシャトルバスに乗ってレンタカー会社の営業所に着いたらそのままカウンタを通らずとも車を選んで出発するだけだし,オーストラリアでは,空港にあるレンタカー会社のカウンタで簡単な手続きをして車のキーをもらって駐車場に行き,車を出発させるだけです。
それに対して,日本では,まず,空港にあったレンタカー会社の意味のないカウンタに行き,番号の書かれた用紙をもらいます。そのあとで係員についてシャトルバスの乗り場までわざわざ案内され,それに乗ってレンタカー会社の営業所に行きます。…と,ここまでの手順は,別に空港にある無意味なレンタカー会社のカウンタに行かずとも,ひとりでできることです。シャトルバスで営業所に到着したら,自分の番号の呼び出しを待って,再び営業所のカウンタで細かな書類の説明を受け…,と,まあ,時間はかかるし,意味のない作業が延々とあって,なかなか車が借りられません。こういったことひとつとっても,いかに日本人がほとんどムダとしか思えない仕事をバカ丁寧にしているかということがわかるというものです。
ちなみに,日本ではレンタカーの車両ナンバーが「わ」ですが,北海道では,過去にその通達を役人が読み間違えたために「わ」ではなく「れ」だという都市伝説があります。そして,それは本当です。しかし,現在では「れ」と「わ」のレンタカーが共存しています。

さて,そうこうして,やっとのこと車を借りることができました。いよいよ出発です。
新千歳空港から高速道路の入口までがまた,結構距離がありました。これもまた,都市計画がなっていない日本らしい姿です。空港からすぐに高速道路に連絡できるのが常識でしょう。
ともかく高速道路に入りました。この先私の目指すのは留萌でした。留萌まではおよそ2時間30分ということでした。高速道路もまた,札幌の手前と札幌を越えたところにそれぞれ料金所があって,これもまたムダというか,日本は何という国なんだろうということを再発見します。道路の標識もまた,意味のないモノばかりで,肝心な情報がありません。気分は海外旅行だったのに,こういうときにここが海外でないということを実感します。
そうこう思いながら,ともかく,留萌市までやって来ました。
私が想像していた留萌というのは,もっと小さな漁村だったのですが,予想以上に町が広く,高速道路を降りたところで,いつものように,土地勘のない私にはどこがどこだかわからなくなりました。
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1泊目だけ,ゲストハウスのようなところに泊まることになっていました。いわゆる「民泊」というやつです。これもまた,インバウンドのときにできた外国人向けの施設です。私が使っていた iPhone のナビ(車についているカーナビより使いやすい)で示した場所に着いてもすぐには見つからず,建物を探すのに苦労しました。看板が地味だったのです。
以前泊まったアイスランドのゲストハウスを思い出しました。アイスランドのゲストハウスはバストイレが共有でひどい思いをしましたが,ここはいわゆるマンションの1室でかなり豪華でした。しかし,やたらと注意事項が書かれていたのが興をそぎました。これもまた,インバウンドの悪影響でしょう。つい数か月前まで世界中のいたるところに生息した,ブランドバッグを持ち,黒色のレンズの入った眼鏡をかけ,やたらと声の大きいどこぞやの国の団体さんがこの部屋で,名古屋市の河村市長の言葉を借りるといわゆる「どんちゃん騒ぎ」をしている姿を想像してしまいました。

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