夕日が海に沈むまでは水平線付近は雲が切れて,とても美しい景色を見ることができました。ただし,空全体にはかなり雲があって,この分では,雲の間からかろうじて彗星がみえるかな? といった程度だったので,がっかりしました。これでは,たとえ彗星が見られても写真は無理だな,と思いました。雲が切れる淡い期待をしながら暗くなるまで待っていると,雲は,切れるどころか次第に厚くなってきて,ついに,一面が雲に覆われてしまいました。
今晩は無理だな,と宿泊先に戻りました。
こうなると方針変更です。この晩は,彗星はあきらめ,宿泊先で,藤井聡太棋聖誕生を楽しみにABEMAで対局のライブを観戦することにしました。そして,藤井聡太棋聖誕生が実現しました。
翌7月17日金曜日。
朝,窓のカーテンを開けて外を見ると,どうやら深夜に雨が降ったようで,駐車場に停めた車がぬれていました。空には一面雲が垂れ込めていました。天気予報では,昼過ぎから回復して快晴になるということでしたが,心配なのは,天気の回復が日に日に遅れていることでした。
ネオワイズ彗星見たさだけに北海道までやって来たのに,見ることができなかったら,いったい何をしに来たことになるのだろう,と思いました。しかし,日本で晴れという予報が出ていたのがこの場所だけだったから,それはそれでやることはやったとあきらめがつくのかなと思いました。もしここで見られなかったとしても,北海道に来ることなく,自宅でまったく彗星が見られなかったとしたら,行けばよかったのにとそれ以上に後悔したことでしょう。
しかし,たとえ観光目的でないとはいえ,せっかく北海道まで来たのだから,お昼間は,どこかに行ってみようと思いました。しかし,行きたいと思う場所が思い浮かびません。多くの人が行くような都会の観光地には興味がありません。
私が1日目に泊まったこのゲストハウスはこの1晩だけで,この日の晩と次の日の晩は,留萌市の市街地にあるホテルに予約がしてありました。ホテルのチェックインは午後3時ということだったので,それまでどこかに時間つぶしに出かけることにしました。
昨日の晩,友人から電話がかかってきました。
留萌市周辺ではなかなか星を見る場所がないという話をしたら,サロベツ原野まで行けばいい,とアドバイスを受けました。サロベツ原野は留萌からは車で2時間30分ほどです。せっかくここまで来たのだからよりよい場所を求めて,今晩はサロベツ原野まで行くことにしました。サロベツ原野の天気予報は今日も明日も晴天でした。そこで,午後3時にまず今日と明日泊まるホテルのチェックインを済ませてから,サロベツ原野まで往復することにしました。
朝食は近くにあったコンビニでサンドイッチを買ってきて済ませ,ゲストハウスをチェックアウトして出発しました。
まず,星を見ることができる場所探しを兼ねて,留萌の町を少しだけ散策してみました。留萌市には,黄金岬のほかに,千望台と礼受牧場という高台があります。千望台は昨晩行ってみたのですが,街灯が明るくて,星は見えませんでした。そこで,この日は礼受牧場に行ってみました。留萌の町の南の山を登っていきます。そこはきっと夜になれば美しい星空見られるだろうと思う場所だったのですが,この牧場に至る道路は夜は閉鎖されていました。
次に,JRの留萌駅に行ってみました。時刻表を見ると,2時間に1本程度の列車がありました。日本は鉄道で旅をすると急に不便になりますが,それと反比例して旅情をそそります。そして,日本の貧しさとわびしさを感じます。昨年,車を使わずに東北に行ったときに感じたことです。旅をするだけなら,不便であっても,そのほうがずっと楽しいのかもしれせん。
観光案内板を見ても,市内には特に見どころ,というところもなかったので,留萌観光はやめて,内陸側を通って遠出して,朱鞠内湖まで行ってくることにしました。
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私は,若いころ,ずいぶんと北海道旅行をしたので,ほとんどのところには行ったことがあります。当然,稚内も宗谷岬も行きました。そのときに,サロベツ原野も朱鞠内湖も行ったようにも思うのですが,今となってはまったく記憶がありません。というか,私の記憶は,どうやら,サロベツ原野と釧路湿原がごっちゃになっているようなのです。